天石屋戸の外は笑いとどよめきの大騒ぎです。どうしてそんなに笑いの渦が起りのだろうと。むしろ世の中、天界も地界も真っ暗けになって、悲しんでいるのが普通だがとお考えになられます。どうも不思議て仕方ありません。そこで、石戸を細めに開けて、内からお尋ねになられます。
“何由以天宇受売者為楽<ナドテ アメノウズメハ アソビシ>亦八百萬神諸笑<マタ ヤホヨロズノカミ モロモロ ワラフト>”
「どうして、ウズメや八百萬神がそんなに楽しそうにしているのですか」と。すると、まず、これも脚本通りに、天宇受売はお答えします。
“益汝命而貴神坐故<ナガミコトニマサリテ タフトキカミ イマスガユエニ>歓喜笑<エラギ>楽<アソブ>”
「あなた様よりもっと貴い神様がここにいらっしゃいますので、それで、私もみんなも、{笑み栄え楽しむ}のです。」と。
この「楽」という字を、古事記では、特別に<アソブ>と読ませいております。お祭をしているように心がわき立つような遊ぶような楽しい気分になっておりますと言うぐらいの意味です。