アジサイは、かのシーボルトも「日本の花」と紹介しておりますが、小ぬか雨と紫陽花をセットに、梅雨の鬱陶しさを紛らわす絶好の風景として古来より日本人の心に沁みついてきたのです。以来、雨を抜きにしては紫陽花を、決して、語れないほどこの二つがしっかりとタッヅを組んで日本人の情緒・心となっておるのです。
このアジサイは、「染井吉野」と同じような日本人が作り上げた日本人好みいっぱいの園芸種なのだそうです。今までに幾ほどの種類の紫陽花が日本で育ったかは知らないのですが、現在、普及しているアジサイの花を見るにつけて、かって芭蕉が詠んだ句で
“紫陽花や 藪を小庭の 別座敷”
のような趣のある紫陽花風景にはなかなかお目にかかりません。(なお、吉備津神社の紫陽花はそんな古い趣がいっぱいに残っております。雨の日にどうぞ!!!!)
「雨が紫陽花に合う。そんなこと、一体誰が言ったん???」
と、そこらじゅうから聞こえて来そうな現代です。その現代を将に語る新しい種類のアジサイが、近頃、しきりに花屋さんの店頭で目にすることがあります。その幾つかをお見せします。私の家の前の中田さんちのアジサイです。雨より太陽がよく似合うアジサイです。
そこで
アジサイの 雨待つ日にも 彩深み
太陽の 彩を映して 額の花