鹿児島の「郷中教育」で育った人達が日本の歴史を変えました。
今でも「その教育システム」の一部は鹿児島で引き継がれています。
「郷中(ごじゅう)教育」とは、薩摩藩独特の教育システムでした。
4~5町(約440~550メートル)四方の「方眼」(ほうぎり)と呼ばれるエリアを基盤とする概ね40~80戸中で居住する地域で、青少年は、「小稚児」(こちご:6~10歳)、「長稚児」(おせちご:11~15歳)、「二才」(にせ:15~25歳)、「長老」(おせんし:妻帯した先輩)の4つのグル-プに分けられ、このグル-プごとに「頭」(かしら)を選び、この頭が郷中の生活の一切と監督の責任を負った師弟教育する仕組みでした。
この郷中教育と呼ばれる薩摩藩独特の教育制度の成功のモデル地域が、鹿児島城下の甲突川に面した下加治屋町です。
西郷誕生地付近 教育の一つ(薬丸自顕流)
ここには西郷家をはじめ御小姓与の家が七十軒 余り並んでおり、この限られた地域から西郷隆盛・大久保利通をはじめ、大山巌・東郷平八郎・西郷従道など挙げていけば切りがないほどの人材が輩出しています。
このすばらしい教育システムを 今に活かせられないか。いや何とか現代風にアレンジしてでも活かせるべきだと思っています。
実は、現在「鹿児島大学大学院理工学研究科」が主催して実施中の「サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト」事業には、この郷中教育の一部の試みが活かされています。 この事業は、県内の3つの高校(鹿児島情報高校、加治木工業高校、頴娃高校)の生徒約50名を対象に、5回シリーズで体験教育を受けてもらうもので、高校生が水素をテーマにした実験を先輩の大学生の指導で体験し、また現職の企業経営者が最新の先端技術や開発等の現状を講義方式で指導し、働くこと、挑戦すること等の意義・ノウハウを直接伝えるものです。
この事業での指導者は、先輩である大学の学生であり、色々な分野の先輩達です。高校生が先輩達のサポートを受け、実験を行い、講義を聴き、討議等を通じ、困難さや、達成感、さらに可能性への挑戦など、生きること、働くことについてのノウハウを学んでいくものです。
リーダーによる実験指導 討議の様子
同じような試みは、1回シリーズでは、鹿児島県内各地で、高専生や高校生が後輩達を指導する形で実施されています。
今私達は、この単発での試みを、学校跡地等を使い、通年で色々な分野(企業や学校OBなど)の先輩達が高校生や中学生を指導する現代版郷中教育システム(モノづくり塾)を立ち上げられないか、検討をしています。
この郷中教育システムの現代版を鹿児島県内各地で復活できれば、また、鹿児島を支える、いや日本の産業を支える人材が生まれるのではと思っております。
かごしま企業家交流協会
◇ http:// kagoshima-kigyouka.com