よかど!鹿児島

企業家交流協会のモノづくり、人づくり、地域づくりのための支援活動や鹿児島の魅力などについて情報提供していきます。

岡野雅行氏の講演④/鹿児島の話題・情報(62)

2010-09-28 06:00:37 | 鹿児島の話題・情報

岡野工業では不良品を1個も出さない。

一体その秘密はなんなの だろうか?

なぜ不良品が出ないのか? こうして開発した注射針。「もう今から3年前に1億個達成しちゃった」と岡野さんが語るほど大量生産しているのに、不良品がないという。  

岡野社長の言葉で言うと、「大企業っていうのは、図面がありますね、図面書くと必ず業者に出すわけ。専門家に。こういうの作ってこい、ああいうの作ってこいってね。作ってるほうはプロだから、図面の通りにやってくるわけだよ。だけど、1枚の図面の中には、公差といってプラスマイナスいくついくつと書かなきゃならない。でね、プラス1000分の1なら1000分の1でも、そういう公差を書かないと、加工屋さんはやってくれないわけだよ。それが、10工程も20工程も入れていけば、最後にはどのくらい変わっちゃうか。1000分の1でもね、ずーっとやれば、1000分の5狂っちゃう。そんな事したら合うわけない。金型合うわけないんだよ。大会社の中には、一人で1から10までできる人はいないの。だって1から10までできるような職人仕込んじゃったら、会社辞めて独立しちゃう。町工場は1から10まで全部できなかったら、まとまんないんだよ。自分でやんなかったら」

 世界の誰にもまねできない、岡野さんのものづくり。その極意は三か条だそうだ。

第1条は、「応用、また応用で新しい技術を作る」。

金型で一枚の金属板を変形させるプレス加工技術は、金属の癖との戦いだ。岡野さんは、かつて手掛けたライターなどの金型を応用、ハイテク製品を作り出してきた。

第2条は、「これまでの限界を超えて金属を伸ばせ」。

 「直径に対して、5倍ぐらい伸びるのが限界だよね。それ以上は伸びないと言われていたんですね。で、岡野さんは、5倍伸ばせるんだったら、10倍伸ばせないわけないと、チャレンジして成功した。しかし、図面がなく手探りの状態の中では、失敗の連続。一歩間違えば大けがをする危険と隣り合わせの中で、60年間仕事をしてきた。

 「教科書には答えがあるんだよ。俺のやつには答えがねえんだもん。いくら勉強したって答えがないんだよ。だから自分で研究する。……苦しみが楽しいんだよ。苦しみが楽しみなの。自分で経験しなきゃだめだよ。だから、うんと失敗しなきゃ良い物できない。」(岡野社長

又、 「中学中退で学歴もなくてさ、劣等感でハンデを持ってるから、やっぱり、人間っていうのはある程度、劣等感を持たなきゃとダメ、ハンデを持たなきゃ」 岡野社長はそう答えたそうです。

第3条は、「ハイテクを進化させるのは職人の勘」。

量産プラントを開発する時、自動工作機械は使わない。さらに岡野さんは、通常必要とされる設計図も書かない。これまでの経験と勘を頼りに、量産プラントのための金型と、プレス加工機を忍耐強く作り上げていく。

 「図面を書かないっていうことは、同じものは二つできない。だから図面がないってことは、自由なんだよ。もっと良いものを作りたい、もっと良いものを作りたいって、欲が出てくるんだよ」(岡野社長)

やはり、岡野社長の言葉を聴くとびっくりしますね。今、77歳。まだまだ働き盛りの感じを受けました。今回で岡野社長の講演録は終わりです。

 

かごしま企業家交流協会

http:// www.kagoshima-kigyouka.com/ 

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