よろず揉め事仲裁を生業としている神名平四郎。教科書で習った天保の改革(水野忠邦の政治)がいかに窮屈だったのかよくわかる。治世厳しき中で起きる離縁話、勘当息子の連れ戻しなどなど、人生の悲哀たっぷり、話しの終わりはほんわか暖かみを覚える見事な心情描写を楽しむことができる。私が藤沢周平の本を好きな理由は、夏の夕暮れの半刻(1時間)を、誰の目にも映るように書くことである。
とにかく肩を張らず読めるところがいい。「よろずや平四郎活人剣(上下)」(文春文庫 各629円)
とにかく肩を張らず読めるところがいい。「よろずや平四郎活人剣(上下)」(文春文庫 各629円)