「だれが「本」を殺すのか」(佐野眞一)ようやく読了。
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400ページを超える本で、けっこう疲れた。
「本」を巡る出版社・取次・書店・図書館・書評などの現状や問題点、
改革しようとする人々を取材を通して描いていく。
「誰が悪い」ではなく、それぞれの病巣を抉り出そうとする意識で
けっこう重みがある。
個人的には、本の流通形態や金の流れなどを知らなかったので、
特に取次のあたりの話が興味深かった。
若干古い(特に電子出版やネット書店あたり)が、
挙げられている観点は今でも有効だと思う。残念ながら。
# 単行本で読んだのだが、
このあたり、文庫版では若干追記されているのかな?
この人の「本」に対する思い入れはかなり強いのだと思う。
ただ、その分いろいろ複雑な感覚を持っているようで、
そこがちと分かりづらく感じた。
例えば、編集者は「自分の出したい本」を出すべきなのか、
「客が求めている本」を出すべきなのか。
今「ベストセラー」となっている本について
けっこう否定的に捉えている
(それは本当の「本」ではない、としている)と解釈したのだが、
他の部分では本を上から「与える」姿勢に嫌悪感を示している。
しかし「本当の「本」ではない」と断じる意識は、
読者の方を向いていない点で、
本を上から「与える」姿勢と同根なのではないか?
また、それとも絡むのだが、
「本」にまつわる関係者を章を分けて論じる中に
「読者」がないのは不足感がある。
各章の中で言及されてはいるが、
もっと集中的に取り上げるべき登場人物だと感じた。
私は「受け手」も本を殺していると思う。
読者が消費者になり、
本が物神性を削ぎ落とされた商品・消耗品になる中で、
分かる本、役に立つ本しか受け入れない、
退化した人間になっているように思う。
そして出版する側・書店も、そんな退化した人間から金を取るために、
劣化した印刷物を売る存在にならざるを得ないだろう。
まあ、今の時代、そんな状況も仕方ないのかも知れないが。
# 繰り言だが、本って
「分からなくてもとりあえず読んでみる」
「何か獲得することを目的にしない」
「ちょっとでもヒットしたら儲け物」
といった意識で読むと良いと感じている。
具体的に目的を持って読む場合よりも、
意外な発見・新たな視点を得られることが多いし。
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400ページを超える本で、けっこう疲れた。
「本」を巡る出版社・取次・書店・図書館・書評などの現状や問題点、
改革しようとする人々を取材を通して描いていく。
「誰が悪い」ではなく、それぞれの病巣を抉り出そうとする意識で
けっこう重みがある。
個人的には、本の流通形態や金の流れなどを知らなかったので、
特に取次のあたりの話が興味深かった。
若干古い(特に電子出版やネット書店あたり)が、
挙げられている観点は今でも有効だと思う。残念ながら。
# 単行本で読んだのだが、
このあたり、文庫版では若干追記されているのかな?
この人の「本」に対する思い入れはかなり強いのだと思う。
ただ、その分いろいろ複雑な感覚を持っているようで、
そこがちと分かりづらく感じた。
例えば、編集者は「自分の出したい本」を出すべきなのか、
「客が求めている本」を出すべきなのか。
今「ベストセラー」となっている本について
けっこう否定的に捉えている
(それは本当の「本」ではない、としている)と解釈したのだが、
他の部分では本を上から「与える」姿勢に嫌悪感を示している。
しかし「本当の「本」ではない」と断じる意識は、
読者の方を向いていない点で、
本を上から「与える」姿勢と同根なのではないか?
また、それとも絡むのだが、
「本」にまつわる関係者を章を分けて論じる中に
「読者」がないのは不足感がある。
各章の中で言及されてはいるが、
もっと集中的に取り上げるべき登場人物だと感じた。
私は「受け手」も本を殺していると思う。
読者が消費者になり、
本が物神性を削ぎ落とされた商品・消耗品になる中で、
分かる本、役に立つ本しか受け入れない、
退化した人間になっているように思う。
そして出版する側・書店も、そんな退化した人間から金を取るために、
劣化した印刷物を売る存在にならざるを得ないだろう。
まあ、今の時代、そんな状況も仕方ないのかも知れないが。
# 繰り言だが、本って
「分からなくてもとりあえず読んでみる」
「何か獲得することを目的にしない」
「ちょっとでもヒットしたら儲け物」
といった意識で読むと良いと感じている。
具体的に目的を持って読む場合よりも、
意外な発見・新たな視点を得られることが多いし。