引首印というのは、作品のはじめに押す印のことで、関防印ともいいます。
古典的な作品には、よく押印させていますが、僕の場合、ほとんど使ったことはありませんでした。
それで、もちろんあまり刻してもなかったのですが、出来上がった書作品を見ていたら、はじめの空間が何かもの足らなく感じたのです。
もちろん、僕の作品は古典的なスタイルではありませんから、普通の引首印では、全く似合いません。
やはり、作るしかないので、引き出しの中から、やっと見つけたちょうど良さそうな印材を取り出しました。
三十年も前に、誰かから中国のお土産にもらったものですが、獅子の彫刻のある茶色の石です。
印面を平らにした段階で、石の本当の色が現れました。安物の青田石です。色を塗っているということがわかりました。
でも、刻し味はとてもいい。昔の青田はいいのです。
今回は、ちょっと細かな作業なので、愛用の自作印刀を使用しました。(工業高校時代に鉄を鍛錬したものです。)
出来上がって、ふと手を見たら、真っ赤になってました。