瀬戸際の暇人

今年も偶に更新します(汗)

うる星(映画)感想5~完結篇(プラスおまけ)~

2007年10月10日 21時35分02秒 | 漫画&アニメ
1988年2/6、映画うる星やつら第5作公開。

製作はキティ・フィルム、実制作はマジックバス。




或る日の授業中、ラムは夢を見た。
それは幼い頃、怪しい黒衣を纏った老人から、「大きくなったら、お前を嫁に貰いに来るっぽ」と迫られるものだった。

うたた寝から覚めて、あたるに夢の内容を話すも相手にされず。
その事から喧嘩になり、不機嫌なままUFOに戻る。
そこへ故郷の鬼星に居る両親から、「コールドスリープしたまま何十年も放置されていた祖父が見つかった」との通信が入る。
「孫の顔を見たがってるから帰って来い」と言われ、ラムは久方振りに実家へ帰る事にする。

丁度その頃、サクラの占い水晶玉には、ラムが闇に捕らわれるという暗示が現れていた。

故郷に戻り、祖父と対面したラム。
そこへ黒衣に身を包んだ客が訪れる。
なんとそれは、夢の中で見た、怪しい老人だった。
「闇の宇宙」に住む『ウパ』と名乗った老人は、昔行き倒れたラムの祖父を助けた礼に、「将来女の子が産れた場合、孫の嫁に貰う」約束をした事を告げる。
勿論激しく断りを入れるラム。
ラムの両親も怒ってウパを叩き出してしまう。

場面移って地球――友引高校に通うあたる達の前に、黒衣を纏った1人の男が、黒豚車に乗って現れる。
男の名前は『ルパ』…あの『ウパ』と言う男の孫だった。
「許婚のラムに会いに来た」と話す彼に、憮然とするあたる。
間の悪い事に、そこへラムが戻って来る。
隙を突いて、彼女の指に指輪を嵌めるルパ。
指輪から飛ぶ胞子を嗅ぎ、角が抜け落ちたラムは、超能力を封じられ、ルパに闇の宇宙へ連れ去られてしまう。(ジャリテンのおまけ付)
帰り道の途中、落ちていたラムの角に気付いたあたる――不審を覚えた彼の目に、攫われるラムの姿が映った。

面堂弁天お雪ランにレイまで巻込み、あたるはラムを救いに、闇の宇宙へと急ぎ向かう。
そこで出会った黒衣の花嫁、『カルラ』。
ルパの幼馴染で、以前から彼に思いを寄せていた彼女は、ラムとルパの挙式を妨害しようと潜んでいたのだ。

あたるを連れて、結婚式に殴り込むカルラ。
彼女がぶっ放すバズーカ砲で、阿鼻叫喚に包まれる挙式会場。
騒ぎの最中、あたるはラムを見付け出すが、彼女は何故かあたるを拒否する。

実はこのラムは、ウパが用意したコピーだった。

しかしそれを知らないあたるは、ラムが心変わりしたと勘違いしてしまう。
そしてラムも、一緒に居たカルラを見て、自分の危機を目の当りにしながら、あたるはまた浮気してたのだと勘違いしてしまう。
ルパはルパで、あたると一緒に居るカルラに、初めて嫉妬を抱く。
拗れ捲った末、ラムはルパと共に闇の宇宙に残り、あたるはカルラを連れて地球に帰ってしまった。

丁度その頃、サクラの占い水晶玉には、地球が闇に包まれるという暗示が現れていた。

ラムを置いて地球に帰って来たあたる一向。
諸星家では、サクラやしのぶ達も交えて、あたるへの説得が為される。
皆で鍋を突いてる時、ふとランが不思議な茸に気が付く。
喜んで鍋に入れようとする彼女の手を、慌てて止めようとするカルラ。
しかし1手遅く、茸は鍋でぐつぐつ煮られてしまう。

カルラは蒼褪めた顔で話す。

それは闇の宇宙の茸…恐らく胞子が付着してたのだろうと…。
その茸は、熱や光で巨大化、繁殖する特性が有るのだと…。

鍋の中で煮られた茸は――あっと言う間に巨大化し、地球を埋め尽くす勢いで繁殖したのだった。

このままでは地球が闇に覆われる。
「茸を駆除出来るのは、ルパの飼ってる黒豚だけ」と聞き、カルラに連絡を入れさせるも、意地の張り合いから拗れるばかり。
終いには何故か「あたるがラムに好きだと言えば、茸駆除の黒豚を貸してやろう」と言う話になる。

――勿論、あたるは拒否。

此処に至り、ラムは1度たりとも、あたるから「好きだ」と言われた覚えが無いのに気が付く。
意を決したラムは、茸駆除と引き換えに、あたるに再び「鬼ごっこ」の勝負を持ち掛けた。

10日以内にあたるがラムの角を掴めば勝ち。
しかし自分は本気になって、飛んで逃げる。
もしも掴まえたければ、自分を「好きだ」と言え。

更にラムは、期限迄にあたるが自分を掴まえられなければ…つまりあたるが最後まで自分に「好きだ」と言わなければ…ラム達に関する記憶を地球人から消去する決意をした。


振り出しに戻って追う男、追われる女。

ア・ボーイ・ミーツ・ア・ガール――全ては出会ったその日から。

勝負の行方は、果たしてどっち!?




…本当だったら映画4作目が最終になる筈だったけど、出来があまりにあまりだったという事で(笑)、「今度こそ原作に則った最終作を!!」という声がファンの間で上り、製作されたのがこの『完結篇』。
もっとも『完結篇』と銘打ちながら、この後ビデオで何作も続いたんですけどね…。(苦笑)

丁度原作が感動の最終回を迎えた事も、原作回帰の気運を高める材料になりました。
これは自分の想像ですが…原作者高橋氏が作品を終らせようと決めたのは、映画4作目の影響が有ったんではないかと。


「(あの映画を観て)印象的だったのは、あたるが走って世界が再構築される場面でした。」


…こんな様な作者の感想が、当時発行された某アニメ雑誌に載ってたんすよ。
そう考えて最終話を読み直すと、ラムの角が無くなり超能力が失せる等、符合する箇所が多い。

それだけでなく原作最終話からは、作者のアニメに対する反論めいた要素が、多く垣間見られる。(笑)


・角が無くなって超能力が失せようともラムはラム、意に染まぬ相手には凶暴な牙を剥く気の強い少女。
・攫われたラムを救いに、直ちに駆け付けるあたる。(こっから先は映画3作目を思い起しながら、お読み下さいませ)
・ラムの行方が掴めない間、全く女の子に声を掛けようとしないあたる。(余裕が出ると声を掛ける)
・てゆーか露出度の激しいゲストを前にしながら、全くよろめかないし。
・記憶喪失装置を作動させようとするラムに、「帰りたかったら自分だけ星に帰れ!!あたいは地球の奴ら、結構気に入ってたんだ!!作動させてみろ…てめェとは縁切りだァー!!!」と叫ぶ弁天。
・「お前と別れるのなんか、悲しないけどな…さいなら…。」と、眠ってるあたるに向け、涙零して別れを告げるテン。
・「忘れるもんかーーーっ!!!」


…この中で弁天とテンの台詞は、自分、特に嬉しかったです。
元はラムを通してだったとしても、今やラムを抜いた個人的繋がりにまで発展してるんだなって。
そりゃそうだ…ランちゃんなんか、友引高校に入学までして、ラムとは別の友人関係築いてるんだから。
それぞれ地球の奴らから忘れられたくなくて、記憶喪失装置を停止させようと頑張ってる姿には、感動を禁じ得ず。
それと珍しくラムが怒られた事に、新鮮な驚きを感じた。(笑)
実際今回の彼女の行動は、怒られるべきだと思うのよ。
自分だけでなく、自分の周囲に居る人間の記憶まで、地球人から失くそうとしたんですから。
ついでに皆から忘れられちまったら、堪ったもんじゃない。(笑)


…いいかげんアニメ映画の話をしましょう。(汗)

感想としては、「原作最終話の感動を再現してくれて有難う」っつか…。
ただ忠実にアニメ化したんじゃなく、挿入したオリジナルシーンも、ちゃんと話の盛上げに役立ってたし。
ラストのあたる回想シーンは、感動の涙流して観ました。
原作者が泣いて喜んだのも解ります。

監督を務められたのは出哲氏。
アニメ『キャプテン』等、地味ながらも、原作の持つ魅力を引き立てる仕事には、定評の有る方です。(実はあの出統氏の弟さんだったり)
氏曰く「原作ファン、アニメファン、その両方のファンを納得させられる様に、映画を作った」との事…思惑は成功してたと思います。
原作がどうの言う前に、1本通して素直に「面白い」と思える作品なのですよ。
…そういう「うる星」映画は、考えてみれば、今迄あんま無かったかもしれない。(笑)

あたるファンとしては、あたるが格好良く描かれてるのが嬉しかったです。(笑)
ラムを始めとした女の子はどんどん綺麗になるも、あたるはズッコケた絵で描かれてばっかだったからね~、それはそれで愛嬌有って好きでしたが…自分も女ですから。(照笑)
何より嬉しかったのは、学ランの下がちゃんとシャツだった事。
我侭言って申し訳無いですが、あの赤トレーナー、どうしても嫌だったんですよ…。(汗)

原作ではカルラが茸を「鍋の具材にしてくれ」と提供する。
「光と熱で茸が巨大化する」と解っててやるのは「?」と感じてただけに、「付着してた茸をランが見付けて入れた」と変更したのはナイスだったかと。

原作にだっておかしい点が無い訳じゃないですから。


毎度『ワンピ』を例に挙げて申し訳無いが(御免、今嵌ってるのそれだから)…

「ルフィの爺ちゃんに攻撃されてる最中、悠長に船の名前を考えてるクルー」の場面とか。

コマ送りの漫画では深く気にならなかったのですが、連続した時間の中で表現するアニメだと、「そんな暇無いだろう。てか何で攻撃休んでんだ爺ちゃん!?実は盗聴してて配慮でもしてくれてんのか爺ちゃん!?」なんて気になっちゃう。(笑)
「逃げてから船の名前を考える」展開に変えても良かったんじゃないかとね。
そんでかつての懐かしい人々出す場面は、回想シーンも入れて丸々1話使うとか。

週刊漫画の1話分をそのまんまアニメ化すると、約10分で終ってしまうんですよ。
とするとアニメ1話で進むのは、原作2~3本分の計算になる。
所で漫画は、連続した話だとしても、1回につき1本の軸が設けてある。(のが普通)
原作2~3本をただ繋いで作れば、1話の中に軸が2~3つ出来て、不自然な作りになってしまうでしょう。
それを避けるには、1度原作をバラして軸を1本に決め、再構成する必要が有る。

…原作をアニメ化する難しさは、そこに有るんだろうなぁと。


――話を戻して。(汗)


ロボットを出動させる面堂には笑った。
BGMがかつてのプロ野球ニュース調なのが細かい演出。(爆笑)

倒れたあたるに皆が声援を送るという、さながら熱血スポ根アニメの様な演出は、観ていて照れた…。(流石元『キャプテン』の監督)
もっともこれは好みの問題ですがね。(笑)

そしてあの回想シーンに入る訳で…。

噂ではあのシーン、描いたのは西島克彦氏らしい。
言われてマジマジ観れば、何となく絵が似て思える。(見事に修正入ってるので、判断難しいが…)

面白いな~と感じたのは、「原作通り」を目指しながら、回想シーンの多くがアニメオリジナル話だった事。
設定集見る限り、最初から予定してたらしく…だとしたら不思議…原作通りに作るなら、アニメ版「ときめきの聖夜」じゃなく、原作版「君待てども」で設定し直しそうなものだけど。
「君去りし後」だって、ラムが制服着てる点から判断するに、アニメ版からって事になる。(や、細かい事言えば、アニメ版とも制服違うんだけどね…あれは指定ミス?)
原作から抜き出したシーンって、「夢の実」と「腕相撲」ぐらいじゃないですかね?
そういやあ、友引高校もアニメ版のままだし。(これは単に美術設定し直すのが面倒だったからかもしれんが)

……この辺り、ちょっとだけ理由を訊きたかったですね。(笑)

なぞと意地の悪い興味は置いといて(汗)…本当にこの回想シーンには感動しましたよ。
正に最終回に相応しい盛り上りでした。

残念だったのは…あたるがラムの角を手放した事かな。
あの角はあたるにとって、ラムの「代わり」。
だから手放さず、ずっと持っていた筈なのに…失礼ながら、読み込み不足に思えました。

後ラムの「忘れたくないっちゃ!!」と言う台詞は、聴いてて「お前がやった事じゃないか」と感じてしまったり。(いやおかしいだろう、脚本家の方)(苦笑)


んでも「うる星」の映画の中で、自分はこの5作目と2作目が最も好きです。
「キャラ皆を活躍させよう」という姿勢が窺えたのが先ず嬉しい。
1作目もそういう意味では面白いんだけど、ラムが悲劇のヒロインしてるのがちょっと…。(汗)
あれだけ活躍してたメガネら4人組が、5作目で出番少なくなっちゃったのは寂しかったけど…でも一応出してくれたしね。

本当に感動した。
けどこの映画が成功したお蔭で、アニメうる星は原作に縛られて動けなくなっちゃった様な気もするのだ。

原作が1番で、アニメは格下。

私は漫画原作の『うる星』も、アニメ版の『うる星』も、両方好きです。
どっちも下に見られたり、否定されたりするのは、ちょっと哀しい。
かつてこんな事書いた自分が言うのも何ですが…。(苦笑)

…原作付アニメについては、来年『めぞん』の章にて、引き続き話す予定。(汗)




【おまけ:いつだって・マイ・ダーリン感想】

…書くの止めようかと思ったんだけど……無視するのも失礼かと考え直して少しだけ。(汗)


1991年11/2――「アニメうる星10周年記念」という、よく解らん理由で公開された映画。


製作はキティ・フィルム、実制作はマッドハウス。


1作目、3作目、5作目と同じ脚本家(しかも今回は何故か旦那様も参加)が書いた話だからか、1作目、3作目、5作目を混ぜて作った様な話で御座いました。
5作目は原作が有ったから良かったけど、他は皆ラムが悲劇のヒロイン。(苦笑)
沢山キャラ出してる割には、ラム以外あんま活躍せず、ただ騒いでるだけにしか思えないという。(汗)


「全部、全部うちが悪いっちゃ!
 うちがダーリンに惚れ薬なんか飲ませたから…!
 うちの責任だっちゃ!
 うちはダーリンに嫌われても仕方ないっちゃ!
 でもダーリンだけは…ダーリンだけは、絶対に元に戻すっちゃ!
 絶対に…!」


この台詞が話の全てを語ってると思う。(↑)(苦笑)

評判悪かったみたいだけど、作画は悪くなく感じられた。
てゆーか少ない予算の中で、作画は良く頑張ってましたよ。
『カードキャプターさくら(1998年放映)』でキャラデザ&作監した方が作画を担当してるんですが、元気良い絵で私は嫌いじゃないです。
話が良ければ傑作になってたかも……そう考えると、涙。

それまで根強い人気を誇ってたうる星でしたが、この映画が大ゴケしたのと、セーラームーンブーム(1992年3月~)が起った事からファン離れが加速し、未練たらしく続いてたビデオシリーズも、漸く終焉を迎えたのでした…。

……いいかげん目を覚まさせてくれた意味では、良かったかもしれない。(笑)


アニメってのは、沢山の絵を繋ぐ事で、作られてる。
連続して見えるけど、元は全て1枚の絵なのです。

…制作の裏側にまで興味を持たした、実験的TVアニメで御座いました。



といった所で、高橋留美子先生、誕生日おめでと~~♪


原作者の誕生日祝にアニメの話するのも失礼な気がしますが(汗)……原作漫画の話はまた何時かしようと考えとりますんで。(←まだやる気らしい)(笑)
コメント (6)
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