債務不存在確認の訴えに対して、反訴にて、被告が給付請求をした場合、同一の訴訟物であり、確認の訴えの利益を欠くとして、原告の債務不存在確認の訴えが却下される(最判平成16年3月25日)。
ここで、債務不存在確認の訴えだけだと、訴えの利益があれば(確認の利益)当然認められるのに、途中の反訴によって訴えが認められなくなるのは不自然のようにも思えます。
債務者としても、不存在部分の確定を求めたいと考えるでしょう。
しかし、訴えの利益は、口頭弁論終結時にあればよいと考えられることからすれば、口頭弁論終結時までに反訴がなされれば、その段階で訴えの利益を欠くことになっても不自然ではないといえると思います。
また、一部認容判決が認められる以上、その場合は、不存在部分に既判力も認められるので(100万円のうち50万円の支払いを命ずる、残りの部分は棄却する、とすればいいのかな?)、問題はなさそうです。
旧司平成22年の問題も似たような問題がありました。
「Aは,Bに対し,平成21年11月2日,返済期日を平成22年3月31日とする約定で200万円を貸し渡した。このような消費賃借契約(以下「本件契約」という。)が成立したことについてはAとBとの間で争いがなかったが,Bがその返済期日にAに本件契約上の債務を弁済したかどうかが争いとなった。
そこで,Bは,同年4月30日,Aを被告として,本件契約に基づくBのAに対する債務が存在しないことを確認するとの判決を求める訴えを提起した。
この事例について,以下の問いに答えよ。なお,各問いは,独立した問いである。
1.Bの訴えに係る訴状の送達を受けたAは,同年5月20日,Bの訴えとは別の裁判所に,別訴として,Bを被告として,本件契約に基づいて200万円の支払を請求する訴えを提起した。この場合のBの訴えとAの訴えのそれぞれの適法性について論ぜよ。
2.Bの訴えに係る訴状の送達を受けたAは,同年5月20日,Bの訴えに対する反訴として,Bを反訴被告として,本件契約に基づいて200万円の支払を請求する訴えを提起した。
(1) この場合のBの訴えとAの反訴のそれぞれの適法性について論ぜよ。
(2) 同年6月1日の第1回口頭弁論期日において,Bは,Aの請求に対して,BはAに本件契約上の債務を全額弁済したのでAの請求を棄却するとの判決を求めると述べるとともに,Bの訴えを取り下げる旨述べ,これに対し,Aは,Bの訴えの取下げに同意すると述べた。その後の同年7月15日の第2回口頭弁論期日において,Aは,反訴を取り下げる旨述べたが,Bは,Aの反訴の取下げに異議を述べた。この場合のAの反訴の取下げの効力について論ぜよ。」
ここで、債務不存在確認の訴えだけだと、訴えの利益があれば(確認の利益)当然認められるのに、途中の反訴によって訴えが認められなくなるのは不自然のようにも思えます。
債務者としても、不存在部分の確定を求めたいと考えるでしょう。
しかし、訴えの利益は、口頭弁論終結時にあればよいと考えられることからすれば、口頭弁論終結時までに反訴がなされれば、その段階で訴えの利益を欠くことになっても不自然ではないといえると思います。
また、一部認容判決が認められる以上、その場合は、不存在部分に既判力も認められるので(100万円のうち50万円の支払いを命ずる、残りの部分は棄却する、とすればいいのかな?)、問題はなさそうです。
旧司平成22年の問題も似たような問題がありました。
「Aは,Bに対し,平成21年11月2日,返済期日を平成22年3月31日とする約定で200万円を貸し渡した。このような消費賃借契約(以下「本件契約」という。)が成立したことについてはAとBとの間で争いがなかったが,Bがその返済期日にAに本件契約上の債務を弁済したかどうかが争いとなった。
そこで,Bは,同年4月30日,Aを被告として,本件契約に基づくBのAに対する債務が存在しないことを確認するとの判決を求める訴えを提起した。
この事例について,以下の問いに答えよ。なお,各問いは,独立した問いである。
1.Bの訴えに係る訴状の送達を受けたAは,同年5月20日,Bの訴えとは別の裁判所に,別訴として,Bを被告として,本件契約に基づいて200万円の支払を請求する訴えを提起した。この場合のBの訴えとAの訴えのそれぞれの適法性について論ぜよ。
2.Bの訴えに係る訴状の送達を受けたAは,同年5月20日,Bの訴えに対する反訴として,Bを反訴被告として,本件契約に基づいて200万円の支払を請求する訴えを提起した。
(1) この場合のBの訴えとAの反訴のそれぞれの適法性について論ぜよ。
(2) 同年6月1日の第1回口頭弁論期日において,Bは,Aの請求に対して,BはAに本件契約上の債務を全額弁済したのでAの請求を棄却するとの判決を求めると述べるとともに,Bの訴えを取り下げる旨述べ,これに対し,Aは,Bの訴えの取下げに同意すると述べた。その後の同年7月15日の第2回口頭弁論期日において,Aは,反訴を取り下げる旨述べたが,Bは,Aの反訴の取下げに異議を述べた。この場合のAの反訴の取下げの効力について論ぜよ。」