ばぶちの仕事しながら司法試験を突破し弁護士になりました

仕事をしながら司法試験に合格したばぶち(babuchi)の試験勉強記録+その後です。

傷害致死罪、過失致死罪

2011年06月18日 00時26分39秒 | 刑法
甲は友人である乙に挨拶のつもりで軽くぽんっと頭をたたいた。

しかし、乙は脳に障害を持っており、脳の血管が切れて死んでしまった。

さて、これは何罪か?



この問題はどの構成要件で考えるべきか。


そもそも実行行為はあったのか?

挨拶のつもりであっても人の身体に向けた有形力の行使といえれば暴行罪となり、結果的加重犯である傷害致死罪となってしまう。

しかし、挨拶を暴行というのは社会通念上考えられない。

暴行罪の実行行為はなかったと考えられる。


とすると、過失致死罪の検討か?

しかし、過失といえるのだろうか?結果発生注意義務違反というのは重過ぎないだろうか?

結果予見可能性、結果回避可能性を前提とした結果回避義務違反があったとはいえないと考えられる。

この事案では実行行為がなく無罪とはならないのだろうか?

しかし、おそらく過失致死罪のような気もする。


過失としての実行行為はあったとするならば、因果関係はどうか?
脳梅毒問題と同じで、因果関係は否定されないだろう。

責任故意は?
違法性の意識の可能性があったのか?



結果無価値を取る人は、この問題は結果が発生しているから傷害致死罪が成立するなどという考慮のない結論を言っていました。

判例は、因果関係も否定しないし、実行行為も軽微であっても認めているからだと。

社会通念を考慮しない人は法曹としてはふさわしくないと思います。
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