以前から苦手と思っていた瑕疵担保責任を勉強しました。
以下のようなものがちょっと難しいです。
売買契約の瑕疵担保責任
瑕疵とは、当該目的物が通常有すべき性質を有しないこと。
これに加えて、平成22年6月1日の判例は、
「当事者間において目的物がどのような性質を有することが予定されていたとみることができるかについては、売買契約締結当時の取引観念に照らして判断すべきである」、としていることから、
最初のが客観的概念、後者が主観的概念+客観的概念に当たるでしょうか。
瑕疵とは、当該目的物が通常有すべき性質を有しないことであり、その内容は当事者間の合理的意思及び取引観念に照らして解釈すべきである
ということになるかと思います。
そして、これが隠れた瑕疵に当たるかどうかがポイントになります。
すなわち、通常の注意義務を果たしても発見できない瑕疵といえます。
請負契約の瑕疵担保責任
本来559条が有償契約は売買契約の規定を準用するはずなのに、570条を除外して634条を規定している。
これは、請負契約が仕事の完成を目的とするものであり、その完成に至らないものは請負人が無過失であっても責任を負うべきとしたことを根拠とする。
瑕疵とは、当該目的物が通常有すべき性質を有しないこと。
ここに当事者間の合理的意思や取引観念を入れてもいいようにも思いますが、どうなんでしょう??
売買契約の判例であった事例を基にすると、
AはBから甲土地を買った。
しかし、甲土地は、その時には判明していなかったが、購入した翌月に甲土地にフッ素が基準値を超えて含まれていたことが判明した。
この場合、売買契約時には、フッ素が基準値を超えていないことが契約内容となっておらず、当事者間ではそのような合理的意思の合致はなかったし、取引観念上それが通例とはなっていなかったのであり、瑕疵に当たらない。
これを請負契約での事例にすると、
AはBに乙建物を建築するように請負契約をした。
Bは材料を購入して乙建物を完成させた。しかし、この材料には有機化合物が含まれており、人体に影響を与えるものであったことが完成後に判明した。
この場合、注文時には、有機化合物が含まれていないことが契約内容となっていない場合
客観的概念のみであれば、瑕疵に当たり
主観的概念+取引観念も含めれば、瑕疵に当たらない
となりそうな気がします。
売買と請負で契約の性質が違うことから、瑕疵の意味も異なることもアリなのかなぁ。
売買の目的物と瑕疵、仕事の完成と材料の瑕疵、やはり、瑕疵の意味を異ならせるようにして、売買では瑕疵に当たらないけど、請負では当たるとなるのかな。
そうすると、同じように建物の材料に有機化合物が含まれているとした場合、
これを販売すれば瑕疵担保責任は負わない。
これを注文されれば瑕疵担保責任を負う。
という異なる結論は不均衡??
しかし、請負の性質からありなのだろうか。
以下のようなものがちょっと難しいです。
売買契約の瑕疵担保責任
瑕疵とは、当該目的物が通常有すべき性質を有しないこと。
これに加えて、平成22年6月1日の判例は、
「当事者間において目的物がどのような性質を有することが予定されていたとみることができるかについては、売買契約締結当時の取引観念に照らして判断すべきである」、としていることから、
最初のが客観的概念、後者が主観的概念+客観的概念に当たるでしょうか。
瑕疵とは、当該目的物が通常有すべき性質を有しないことであり、その内容は当事者間の合理的意思及び取引観念に照らして解釈すべきである
ということになるかと思います。
そして、これが隠れた瑕疵に当たるかどうかがポイントになります。
すなわち、通常の注意義務を果たしても発見できない瑕疵といえます。
請負契約の瑕疵担保責任
本来559条が有償契約は売買契約の規定を準用するはずなのに、570条を除外して634条を規定している。
これは、請負契約が仕事の完成を目的とするものであり、その完成に至らないものは請負人が無過失であっても責任を負うべきとしたことを根拠とする。
瑕疵とは、当該目的物が通常有すべき性質を有しないこと。
ここに当事者間の合理的意思や取引観念を入れてもいいようにも思いますが、どうなんでしょう??
売買契約の判例であった事例を基にすると、
AはBから甲土地を買った。
しかし、甲土地は、その時には判明していなかったが、購入した翌月に甲土地にフッ素が基準値を超えて含まれていたことが判明した。
この場合、売買契約時には、フッ素が基準値を超えていないことが契約内容となっておらず、当事者間ではそのような合理的意思の合致はなかったし、取引観念上それが通例とはなっていなかったのであり、瑕疵に当たらない。
これを請負契約での事例にすると、
AはBに乙建物を建築するように請負契約をした。
Bは材料を購入して乙建物を完成させた。しかし、この材料には有機化合物が含まれており、人体に影響を与えるものであったことが完成後に判明した。
この場合、注文時には、有機化合物が含まれていないことが契約内容となっていない場合
客観的概念のみであれば、瑕疵に当たり
主観的概念+取引観念も含めれば、瑕疵に当たらない
となりそうな気がします。
売買と請負で契約の性質が違うことから、瑕疵の意味も異なることもアリなのかなぁ。
売買の目的物と瑕疵、仕事の完成と材料の瑕疵、やはり、瑕疵の意味を異ならせるようにして、売買では瑕疵に当たらないけど、請負では当たるとなるのかな。
そうすると、同じように建物の材料に有機化合物が含まれているとした場合、
これを販売すれば瑕疵担保責任は負わない。
これを注文されれば瑕疵担保責任を負う。
という異なる結論は不均衡??
しかし、請負の性質からありなのだろうか。
いつも読ませていただいて、勉強させてもらっています。
さて、記事にあるH22.6.1の判例を最高裁の原文で読んでみました。
もしかすると言われたいことを省略されているだけかもしれませんが、一点気づいた点を書かせてください。
上記判例の事案は、H3に売買契約、H13環境法令改正(フッ素についての基準値を規定)、H17に基準値を超えるフッ素が当該土地から検出、という経過をたどっています。
契約締結当時はまだフッ素が健康に害があると法令で定められていなかったようです。
であれば、ある値を超えるフッ素が土地にふくまれていない、という内容を当事者が特約で定めているなどの特段の事情がない限り、少なくともH3当時、H13以降に定められた基準値を超えるフッ素がその土地に含まれているからといって、それが目的物が通常有すべき品質に欠ける、ということにはならない、と判例は指摘していると考えられます。
そうすると、ばぶちさんの売買契約の設問では、フッ素に関する限り、「いつ」契約したかが重要になるかと思います。つまり、フッ素の基準値を定める法令が定められたのが契約の前か後か、です。
請負契約については確かに微妙ですよね。
有害物質が含まれている材料をどちらが出したかも関わってきますが、請負人が材料を購入して仕事を完成させた場合、その所有権は請負人が取得しますし、特定物となるのも同じ時期だと考えられるので、法理論上は、その時期より後に材料の一部について「有害物質認定」されても、請負人は危険を負担しないし、瑕疵担保責任に問われることもないのでは、と考えます。
実際そんなことが起こったら、請負人は社会的な目も気にするので、判決までいかず示談か和解になりそうですが。
長文失礼しましたm(__)m
コメントありがとうございました。
原文を読んでいなかったので、詳細は知りませんでした。
紹介いただきありがとうございます。
いつ契約したかが重要なのはおっしゃる通りです。
その際に通常有すべき品質といえたかどうかが問題だと思います。
>請負契約については確かに微妙ですよね。
>有害物質が含まれている材料をどちらが出したかも関わってきますが、請負人が材料を購入して仕事を完成させた場合、その所有権は請負人が取得しますし、特定物となるのも同じ時期だと考えられるので、法理論上は、その時期より後に材料の一部について「有害物質認定」されても、請負人は危険を負担しないし、瑕疵担保責任に問われることもないのでは、と考えます。
ここが請負契約の場合も売買契約の瑕疵と同じかどうかによって変わってくるような気がします。
所有権の有無ではなく、仕事の完成が完全か不完全かが問題だと思います。
仕事が完成し、注文主が住み始めても、欠陥住宅なら瑕疵担保責任があるように、材料の一部に有害物質認定がされると、瑕疵担保責任があるのではなないかな?と思います。
そして、その有害物質認定が仕事の完成時期の前後なのか、契約時期の前後なのかによっても変わってくるのかなぁとかも疑問に思いました。
答えは無さそうなので、説明がキチンとできていればいいかな、とは思っています。