冷静になることなどできなかった。夢の続きが目の前にいた。美咲はいつものように、はじめにヒカルの左側に座り、ヒカルの前にテキストを置いた。最初は肘が触れ合い、徐々に身を擦り付けるようにして美咲はヒカルに接近した。右手を床に落とし、胸がヒカルの左肩に、そして、肩甲骨の上に、もたれ掛かるようにしながら密着してきた。昨日と同じようにヒカルの股間は熱くはち切れそうになっていた。ヒカルは話をしながら、テキストの行を指差す美咲の左手に「ベース」の時のボディタッチの感覚で右手を触れてみた。人差し指の先端からゆっくりと心臓に向かって右の人差し指を這わせた。難しい言葉を続けていた美咲の声が詰まった。
「あッ」
ヒカルは指を先端に戻しもう一度同じコースを這わせた。
「あッ」
美咲は言葉を止めた。ヒカルの手は美咲の胸に触れた。ビクッと美咲は震え、少し後ずさった。ヒカルは美咲のほうに向き直った。今まで見たことのない美咲がそこにいた。正座をして頭をたれ、右手で左手の二の腕を持ち、髪が目を隠していた。
「竹下が来るわ」
ヒカルは立ち上がり、ドアの鍵を閉めた。美咲のところに戻ると美咲が足に抱きついた。顔を腿にうずめ、横すわりのような格好でヒカルの動きを止めた。
「むやみにセクスをしてはいけないの、本当に選ばれたもの同志でなければ、血が汚れるわ。」
ヒカルの脳に条件反射で記憶された言葉が拡がった。
「血の汚れは、人間を堕落させてきたの。浄化の道に入らない限り、人類は滅びるわ。」
美咲は徐々に立ち膝のような格好になり、その頬がヒカルの股間の上に来た。
「でも、テキストのどこを見てもセクス以外の行為については書いてないの。」
そう言うと後ろに回した手を離して、顔を離し、ヒカルのジーンズのボタンをはずし、ジッパーを下げた。ヒカル自身は極限まで勃起し、その頭をブリーフの上に覗かせていた。美咲はブリーフを根元まで下げ、右手で、あの隠微な感触を持つ右手でヒカル自身を握った。その瞬間、ヒカルの背中に電気が走った。今度はヒカルがビクンと仰け反った。美咲の手は柔らかいウェーブを描くように動いた。力任せに握り締めるのとは違い、体温が美咲の体温が掌から浸透してくるように快感が浸み込んできた。ヒカルはたまらず美咲の頭を押えた。抵抗することなく美咲は口を開きヒカル自身を含んだ。手の動きは止めずに舌先でヒカル自身の頭を転がした。
ヒカルは「ベース」で体験した柔らかな快感とは違う激しい突き刺すような快感に襲われた。
と、そのときノックの音がした。
「竹下です」
ドアのノブを回す音がした。引いても開かないドアをガチャガチャ鳴らした。
ヒカルは焦った。美咲も焦った。ヒカルは思わず腰を突き出した。その弾みで、美咲も顎に力が入った。歯がヒカル自身を刺激した。痛みと快感が同時にヒカルをとらえ、思わず発射した。その勢いで美咲は飲み込んだ。慌てて口を離し、台所に走った。ノックの音が美咲の立つ玄関脇の台所のすぐそこから、苛立たしく響いた。ヒカルはブリーフを引き上げ、身づくろいをした。
「竹下です」
美咲は軽く口を漱ぎ、答えた。
「はいッ」
ドアを開けた。美咲の顔は火照り、息は荒かった。それを隠すように髪を後ろに払った。見下すような竹下の視線が痛かった。
「会場までの地図をお持ちしました。」
「それなら私も持っているわ。」
そういうと部屋の中に戻り、黒い鞄を開いた。
「あらッ、ないわ。」
竹下は、また、何も言わずに上がり込み、無造作に地図の載った何枚かのチラシを手渡した。
「これが会場の地図です。」
そういうとその中から一枚を引き出してヒカルに渡した。いつもの顔に美咲は戻っていた。自信を表面に表し、確信をその視線に載せた美咲の顔が戻っていた。先ほどまでの柔らかな感触が消えていた。
「あッ」
ヒカルは指を先端に戻しもう一度同じコースを這わせた。
「あッ」
美咲は言葉を止めた。ヒカルの手は美咲の胸に触れた。ビクッと美咲は震え、少し後ずさった。ヒカルは美咲のほうに向き直った。今まで見たことのない美咲がそこにいた。正座をして頭をたれ、右手で左手の二の腕を持ち、髪が目を隠していた。
「竹下が来るわ」
ヒカルは立ち上がり、ドアの鍵を閉めた。美咲のところに戻ると美咲が足に抱きついた。顔を腿にうずめ、横すわりのような格好でヒカルの動きを止めた。
「むやみにセクスをしてはいけないの、本当に選ばれたもの同志でなければ、血が汚れるわ。」
ヒカルの脳に条件反射で記憶された言葉が拡がった。
「血の汚れは、人間を堕落させてきたの。浄化の道に入らない限り、人類は滅びるわ。」
美咲は徐々に立ち膝のような格好になり、その頬がヒカルの股間の上に来た。
「でも、テキストのどこを見てもセクス以外の行為については書いてないの。」
そう言うと後ろに回した手を離して、顔を離し、ヒカルのジーンズのボタンをはずし、ジッパーを下げた。ヒカル自身は極限まで勃起し、その頭をブリーフの上に覗かせていた。美咲はブリーフを根元まで下げ、右手で、あの隠微な感触を持つ右手でヒカル自身を握った。その瞬間、ヒカルの背中に電気が走った。今度はヒカルがビクンと仰け反った。美咲の手は柔らかいウェーブを描くように動いた。力任せに握り締めるのとは違い、体温が美咲の体温が掌から浸透してくるように快感が浸み込んできた。ヒカルはたまらず美咲の頭を押えた。抵抗することなく美咲は口を開きヒカル自身を含んだ。手の動きは止めずに舌先でヒカル自身の頭を転がした。
ヒカルは「ベース」で体験した柔らかな快感とは違う激しい突き刺すような快感に襲われた。
と、そのときノックの音がした。
「竹下です」
ドアのノブを回す音がした。引いても開かないドアをガチャガチャ鳴らした。
ヒカルは焦った。美咲も焦った。ヒカルは思わず腰を突き出した。その弾みで、美咲も顎に力が入った。歯がヒカル自身を刺激した。痛みと快感が同時にヒカルをとらえ、思わず発射した。その勢いで美咲は飲み込んだ。慌てて口を離し、台所に走った。ノックの音が美咲の立つ玄関脇の台所のすぐそこから、苛立たしく響いた。ヒカルはブリーフを引き上げ、身づくろいをした。
「竹下です」
美咲は軽く口を漱ぎ、答えた。
「はいッ」
ドアを開けた。美咲の顔は火照り、息は荒かった。それを隠すように髪を後ろに払った。見下すような竹下の視線が痛かった。
「会場までの地図をお持ちしました。」
「それなら私も持っているわ。」
そういうと部屋の中に戻り、黒い鞄を開いた。
「あらッ、ないわ。」
竹下は、また、何も言わずに上がり込み、無造作に地図の載った何枚かのチラシを手渡した。
「これが会場の地図です。」
そういうとその中から一枚を引き出してヒカルに渡した。いつもの顔に美咲は戻っていた。自信を表面に表し、確信をその視線に載せた美咲の顔が戻っていた。先ほどまでの柔らかな感触が消えていた。