ヒロムがマサルに確認したが、マサルの所には個別訪問は来ていなかった。さらにヒロムは集会にでれるか尋ねた。ヒカルの状況から考えれば危険があるのは承知の上で。ところがマサルが二つ返事で参加を承諾した集会はヒロムの期待を裏切るものとなった。集会は世田谷区の区民会館で行われた。入場に際して、お友達は、と聞かれたが最近、姿を見えないと言うだけで何も咎められなかった。しかも、マサルは本来、集会が行われる会場には案内されず、幹部らしき人間が集まっている別室に通された。マサルはヒカルのこともあり身構えたが、中に入ると一番奥に座っていた初老の男が立ち上がり、うやうやしく頭を下げた。
「S先生のご子息ですね。先生にはいつもお世話になっています。」
と、突然言われ、マサルさんも宗教に興味があるんですか、社会勉強ですか、集会はS先生のご子息が出るような所ではない、と言われ、どうしてもと言うになら見学してもいいが身分の低い人を対称にしているのでつまらないものだ。と締めくくられた。マサルは父親の名前が出た段階で既に嫌気が差し、男の整髪料の臭いに吐き気がし、話をする気もなくなり、背を向け退室してしまった。
「ベース」でヒロムに集会のことを聞かれてもマサルはムッとした顔をするだけで何も言わなかった。むしろ、ミサキからの聞き取りのほうがT会の勧誘方法については有効な情報が得られた。
ミサキとヒカルはというと、ヒロムの部屋についたのはいいのだが、悪臭と埃にまみれ足の踏み場もない部屋の片付けから始めなければならなかった。ヒロムの父親が投資も考えて購入したマンションは本と洗濯物、食べ残しや焦げ付いたナベ、ティッシュ、ベッドから落ちたままの布団、どうしたらここまで汚せるのかというほど惨憺たる物だった。ヒロムの部屋は8階建ての4階にあった。エレベーターを降りるとその回りに三つのドアがあり、その真中のドアがヒロムの部屋だった。そこまではヒカルもヒデオと同じような感覚、生まれるところでずいぶんと違うものだな、と思っていたが部屋のドアを開けたとたん、部屋はその人の心の中を表すという母親に言われた言葉が浮かんできた。ヒロムの頭の中は・・・・・・
ヒロムは本以外はすべて処分してもかまわないと言い、それなら、と二人は始めたが片付けが終わったのは三日後のことだった。それはともかく、ヒカルは所持金のなさに不安になった。仕事のあてなどないヒカルはヒデオに頼み、今まで一度もしたことのない肉体労働をすることになった。朝、ヒデオの車が迎えに来て、現場にいき、夜は電車で帰ってきた。疲れ果てて何もできず眠るだけの生活がしばらく続いた。しかし、日払いでもらえる日当にヒカルは少なからず感動した。ヒカルはこのきつい仕事の後、「ベース」にやって来るヒデオをスーパーマンのように感じた。
働き始めて、三日目だった。軽い神経症のような状態にあり、一人では一歩も外に出れないミサキをつれて買い物に出た。ヒカルはヒカルの部屋から始まった逃避行のままの格好のミサキに服を買ってやりたかった。
「S先生のご子息ですね。先生にはいつもお世話になっています。」
と、突然言われ、マサルさんも宗教に興味があるんですか、社会勉強ですか、集会はS先生のご子息が出るような所ではない、と言われ、どうしてもと言うになら見学してもいいが身分の低い人を対称にしているのでつまらないものだ。と締めくくられた。マサルは父親の名前が出た段階で既に嫌気が差し、男の整髪料の臭いに吐き気がし、話をする気もなくなり、背を向け退室してしまった。
「ベース」でヒロムに集会のことを聞かれてもマサルはムッとした顔をするだけで何も言わなかった。むしろ、ミサキからの聞き取りのほうがT会の勧誘方法については有効な情報が得られた。
ミサキとヒカルはというと、ヒロムの部屋についたのはいいのだが、悪臭と埃にまみれ足の踏み場もない部屋の片付けから始めなければならなかった。ヒロムの父親が投資も考えて購入したマンションは本と洗濯物、食べ残しや焦げ付いたナベ、ティッシュ、ベッドから落ちたままの布団、どうしたらここまで汚せるのかというほど惨憺たる物だった。ヒロムの部屋は8階建ての4階にあった。エレベーターを降りるとその回りに三つのドアがあり、その真中のドアがヒロムの部屋だった。そこまではヒカルもヒデオと同じような感覚、生まれるところでずいぶんと違うものだな、と思っていたが部屋のドアを開けたとたん、部屋はその人の心の中を表すという母親に言われた言葉が浮かんできた。ヒロムの頭の中は・・・・・・
ヒロムは本以外はすべて処分してもかまわないと言い、それなら、と二人は始めたが片付けが終わったのは三日後のことだった。それはともかく、ヒカルは所持金のなさに不安になった。仕事のあてなどないヒカルはヒデオに頼み、今まで一度もしたことのない肉体労働をすることになった。朝、ヒデオの車が迎えに来て、現場にいき、夜は電車で帰ってきた。疲れ果てて何もできず眠るだけの生活がしばらく続いた。しかし、日払いでもらえる日当にヒカルは少なからず感動した。ヒカルはこのきつい仕事の後、「ベース」にやって来るヒデオをスーパーマンのように感じた。
働き始めて、三日目だった。軽い神経症のような状態にあり、一人では一歩も外に出れないミサキをつれて買い物に出た。ヒカルはヒカルの部屋から始まった逃避行のままの格好のミサキに服を買ってやりたかった。