仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

ジャングルに棲む奇獣Ⅲ

2008年05月21日 16時00分55秒 | Weblog
ヒロムの胸にすがりつくようにミサキは身体をよじった。ヒカルは胸に押し当てているミサキの顔を起こして口付けた。二人は確かめるようにゆっくりと唇を重ねた。一度離し、また口付け、舌を絡め、舌を吸い、また離し、口付け、何度も、何度も。
 ヒロムが席を立とうとした時、控え室のドアが開いた。マサルだった。ヒカルとミサキは抱き合ったままマサルを見た。
マサルはあッという顔をして、それから、にッ笑って入ってきた。
「ヒカル、お前ー」
などと言ったのも束の間、シリアスな雰囲気を感じ取り、現在の状況をどう対処するかの話し合いがもたれた。いくつかのパターンをヒロムが提起し、それについて個々の対応策を検討した。ヒカルが部屋に戻った場合、1人でいるのは危険があるため、何人かで泊り込む必要がある。また、その場合のミサキの宿はどうするか。あるいは、二人をどこかに隠し、しばらくヒカルの部屋を空にする。ミサキのよると勧誘対象地区は3ヶ月を期限に変更されるということだった。それが過ぎると次の勧誘対象地区へ回される。このとき、はっきりしたのだが、ミサキはMG大とはかけ離れたR大の英文科に席を置いていた。が、1回生の春に勧誘され、T会の活動に参加するため、大学へはほとんど行かなくなった。しかも、合宿所は某有名企業が運営する寮という形を取っており、保護者には企業の責任者の写真入の紹介状が送られ、承諾書を書かせて入寮させるということだった。当然、男子寮、女子寮と銘打っていたが、実際は