仁、そして、皆へ

そこから 聞こえる声
そして 今

ジャングルに棲む奇獣Ⅳ

2008年05月22日 17時24分47秒 | Weblog
木造の玄関が一つで四畳半の部屋が1階と2階にずらっと並んでいて、トイレと台所は共同といったところだった。1階は男子、2階は女子には分かれていたが同じ屋根の下に変わりはなかった。保護者の仕送りも寮長が全額徴収し、活動費を日々受け取るという仕組みになっていたらしい。場所は目黒と五反田の間の山手通りから少し環七よりに入ったところにあった。ヒカルは思わずミサキに聞いた。深夜の勧誘の後、帰りはどうしたのか。ミサキによると寮の管理部から、ワゴン車が出て、決められた場所で拾われる。寮に帰ると個々の部屋に戻る前に勧誘状況を報告し、日報を書く。実際に勧誘が成功した人数によって、寮内での地位が決まるということだった。まるでセールスマンだな。ヒロムは思った。ミサキは散歩に行くといって寮を出て、ヒカルの部屋まで徒歩で来たのだった。さて、どうする。ヒロムのもう一つの提案はミサキが道に迷ったといってとりあえず今日は寮に戻り、後日、脱寮を計画する。といって二人を見てそれは無理かと、笑った。
 そうこうしているうちにヒデオが、アキコが、ヒトミが控え室に集結してきた。ヒデオは事の始まりがにヒロムがヒカルとマサルにT会を調査するように言ったことにあると知るとその理由をヒロムに問いただした。二人が口論のようになるとミサキが泣き出した。こうなるとヒデオは弱かった。話は元に戻り、結局、いまは空き家のようになっているヒロムの部屋に二人が行くことになった。