あるフォロワーの記事に「人生最高のレストラン」と題し、長年連れ添ったカミさんの作る料理を挙げていた。
”いいね”は全く好きになれないが、コメント欄がないので思わず4つのいいねをつけてしまった。因みに、ブログを開始して5年が経つが、4つのいいねをつけたのはこれが初めてである(多分)。
記事にある通り、”人生で最高のレストランを挙げてください”と言われれば、99%の人は”あの店のあの料理”という風に答えるだろう。遅咲きの芸人にとっては”駅前の立ち食いそば”かもしれないし、上京した田舎者にとっては”カルボナーラ”も悪くはない。
そんな中(ブログとはいえ)、奥さんの料理を”人生で最高のレストラン”と言える旦那を持つ奥さんは、人生で最高の幸せ者かもしれない。
言い方が自己言及的でラッセルのパラドクスを呼び込みそうだが(笑)、”カミさんの料理が最高のレストラン”という言葉自体こそ、長年連れ添った夫婦の食卓の極みではないだろうか。
そういう私は独り者だから、そんな洒落た褒め言葉を言える女性もいない訳だが、昨年亡くなったお袋が作る餃子も中々の物だった。
正直言うと、お袋の料理が美味しいと思う事はあまりなかった。共稼ぎだったが故に料理に時間を掛ける余裕もなく、”家庭の味”と胸を張って呼べるレベルではなかったと思う。勿論、不味くて食えないというものでもなかったが、そんな中でも餃子と雑煮とスイトンだけは美味しかった。
特に餃子は好んで作ってたせいか、ラーメン屋で食う餃子よりもずっと美味しかった。
材料は白菜と牛ひき肉だけで、味付けは塩のみという非常にシンプルなものだったが、不思議と美味しかった。お陰で(気が付いたら)、ラーメン屋の餃子を食う事がなくなっていた。いや(たまに付き合いで)、食ったとしても美味しいと感じる事はなかった。
ただ、餃子の皮が市販のものが故にとても薄く、それだけが不満といえば不満だったが、少なくともお袋の餃子が私を外食嫌いにさせた要因の一つである事は確かだろう。
そんな私も、ごくたまに自分で餃子を作るが(お袋ほどでもないにせよ)そこそこイケる。少なくとも、大手チェーン店の5個で500円の餃子よりかはずっと肉肉しく、リーズナブルで贅沢でもある。
最高の食卓
そういう私にとって生涯最高の食事と言えば、やはり”煮付け”である。
クチゾコ、鮒(堀の魚)、大根の3つは絶対に外せない。煮付け以外では、川ウナギの素焼きと赤モツの鉄板焼くらいしか思いつかない。
因みに、大根の煮付けを除けば全て子供の頃に食ったものである。
勿論、他に探せばいくらでも出てきそうだが、強烈な印象に残ってるのはこの5つくらいであろうか。
クチゾコと鮒(堀の魚)の煮付けは「銀鱈の煮付け」でも書いたが、特に、魚屋さんで食ったクチゾコの煮付けは大きくて身が分厚くて、人生最高の贅沢でもあった。あのフワフワの食感は今でも記憶にしっかりと脳裏に刻み込まれている。
一方で、家庭菜園で作られた大根の煮付けも衝撃的だった。口の中で崩れ落ちる様にとろけだす食感は異次元の体験でもあった。
我が地元・柳川と言えばうなぎの”蒸篭蒸し”が有名だが、私が初めて食ったうなぎは隣町の川で採れた天然のうなぎだった。
小さい頃に川うなぎを知ってしまったせいか、養殖のうなぎを使っていた元祖「本吉屋」の蒸篭蒸しを何度食っても”美味しい佃煮”にしか思えなかった。お陰で、今でも100円缶詰のサンマの蒲焼きと2000円を超えるうなぎの蒲焼きの違いが私にはわからない。
最後に、(牛の)赤モツの鉄板焼は子供の頃に父方の親戚らが集まり、ド田舎の焼肉屋で食べたものである。因みに、”赤モツ”とは心臓(ハツ)や舌(タン)やレバーなどをいい、胃や腸を白モツと呼ぶそうだ。
ただ、私が食ったモツ焼きというのが普通のレバ焼きやホルモン焼きではなく、今から思うと、心臓や肺(フワ)や大動脈(ハツモト)や腎臓などの当時は珍しい部位の内蔵を焼いたものだった様に思う。
とにかく、それまで経験した事のない様な食卓の光景が今でも脳裏に宿っている。
と言う事で、人生最高の食卓は洒落た高級レストランや有名な大手チェーンの外食店などにあるのではなく、人それぞれの大切な記憶の中にのみ存在する。
”記憶”という人生最高のレストランを私達は忘れてはいないだろうか。
私も餃子はお店より美味しく作る自信があります。転象さんと同じく、餃子の皮は市販のものを使いますが、白菜と豚ひき肉に生姜とニンニクをたっぷり入れて塩も多めに入れたら、それだけで絶品の餃子ができます。それこそ何も足さないで…。同様に、肉まんも市販のものより美味しく作る自信があります。これも当たり前に作るだけですが、お店のものには混ぜ物が添加物が入っているのか、家で作るほうが、断然美味しいです。そんなにしょっちゅうは作りませんが…。
お好み焼きもひょっとしたらお店のより美味しく作るかもしれません。私はおでんの中身を食べ尽くしたら、その残り汁でお好み焼きを作ります。キャベツを細かく切り、中には冷凍烏賊を細かく切ったもの入れて焼き、ご紹介のお好み焼きのように豚バラ肉をびっしり載せて裏返します。裏側はバラ肉の脂で焼きますからバラ肉の脂の旨味が入って美味しくなると思います。
お魚の煮付けは鮮度で決まりますね。新鮮な魚はどんな料理をしても美味しいと思います。
掘りを干しあげてフナを大きな釜で
大根葉を底に敷いて一昼夜竈で煮るフナが美味しいかったです 骨ごと食べました
大根もザックと切って味がしみていましたね
クチゾコ 今は高級品 手が出ません
買っても
昔ほど肉厚ではなくお慰め程度に身がついていました
懐かしさを思い出させて下さって有難うございました
それに、牛挽きは肉の味がしっかりと出るし、店の餃子は調味料を食ってるみたいで皮はパリッとして美味しいんですが・・・
それぞれに家庭の味があって、それが思い出となる。それだけでも贅沢ですよね。
骨ごと食えるんですよね。
一緒に煮た大根がこれまた絶品で。
クチゾコですが、今となっては高級魚に成り上がっちゃって・・・
でも、子供の頃は毎日の様にクチゾコで、飢え死にするかと思いました(笑)。時代は変わるもんです。
小さい頃に食った料理は全てが貴重な思い出で、美味しくとも不味くとも人生の食卓なんですかね。