象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

コロナ渦の可視化が日本を救う

2021年07月07日 06時10分11秒 | 新型コロナ渦

 イスラエル保健省は5日、新型コロナ変異株の”デルタ株”について、米ファイザー製ワクチンの感染予防効果は64%に留まると発表した。従来株には9割以上の予防効果がある為、効き目が大きく下がった形だ。
 一方、ワクチン接種を受けた人の9割以上は感染しても軽症で済んでるという。
 イスラエルは世界で最もワクチン接種が進み、接種済みは人口約930万人の5割を超える。だが6月中旬以降、海外渡航者のデルタ株が拡大。今月5日の新規感染者数は360人を超えた。国内では6月中旬以降、行動制限がほぼ解除されてたが、25日から屋内でのマスク着用が再び義務化された。
 デルタ株を巡っては、英衛生当局が5月にファイザー社製ワクチンの有効性を88%と発表し、調査結果にばらつきが出ている(毎日新聞)。


ワクチンは有効なんだが

 結局は、接種しても無茶しないのが一番の予防策なのだが・・・
 一方で、変異株の予防効果が64%という事は46%の変異株がワクチンをすり抜けるという哀しい現実。そして、そのすり抜けた変異株は更に毒性を増すだろうという深刻な未来。
 故に、予防効果が88%とされたものが65%に、更に50%以下に落ちる事も十分考えられる。

 ワクチンが全国民に行き届いたとしても、そのワクチンがある一定以上の確率で変異株に有効なのは事実で、更にコロナによる重症化を防いだとしても、変異株の感染拡大は止まらないとされる。
 結局は、ソーシャルディスタンスやマスク着用、うがいや手洗いや3蜜や無用な外出を避けるなどの”社会的制約”が必要となる。
 しかし、今の日本でこれ以上の自粛は無理であろう。都心部の飲食業は壊滅し、経済の復活は非常に困難を極める。
 万円札を国債をいくら刷っても、一時的な慰めになればいい方である。勿論、これには経済学者からの大反論もあろうが、ここではテーマにはしない。

 そこで今日は、コロナ対策の1つとして、コロナ渦の流れを可視化する事を提案したい。
 10万個のウイルスで感染(発症)するとされるPCR検査のサイクル回数は、20~25ほどで新型コロナウィルス感染の判定が可能とされるが、日本では40~45回も繰り返す。
 故に、粘膜にウイルスが数個でも付着していれば”陽性”となる。
 つまり、サイクル数が少ないほどコロナウィルスの濃度も強さも感染率(発症率)も、そして重症化率も高くなるという事だ。
 因みに、感染者(発症者)と陽性者は区別する必要があり、発症(発病)しない陽性者は無症状陽性者となる。
 ウイルスが体内に侵入し増殖して初めて”感染”が成立し、免疫暴走を引き起こす事で発症(発病)する。しかしニュースでは、無症状陽性者を含めた感染者数を公表しており、余計に不安を煽ってる所がある。

 新型コロナ感染初期では、このサイクル数の多さが検査を複雑にし、大量検査の敏速性を阻害するとして大きな批判に晒された。
 事実、陽性者の約半数が無症状の濃厚接触者とされ、この無症状陽性者を感染者と見るべきかの議論も交わされた。
 しかしこれは、感染死者数の多い英仏でも採用されてるもので、日本だけが特別という問題でもない。それに無症状と言ってもキャリアには違いないし、人に移す可能性がゼロという訳でもない。

 これは、ある保健所での現場の声であるが、保健所でコロナ感染者を追跡&監視し、隔離するのは既に限界があった。
 それに陽性者(感染者含む)の6割が経路不明という現実は、コロナ感染が夜の街の如何わしい店での身体的接触により、コロナ感染が異常なまでに強く(濃く)なり、爆発感染を引き起こし、慢性化した市中感染に至ったと考えられていた。
 ”夜の街”を全て悪者にする訳でもない。
 しかし、肉体の接触行為が50%で、野外での飛沫感染が0.8%の確率で感染するというデータを見せつけられると、経路不明による接触感染がコロナ感染の大半を占めてると断定できなくもない。
 

コロナ渦の可視化とテンソル場の概念

 しかしものは考えようで、コロナ感染者の流れを可視化する事で、社会的制約を効率的に行う事は可能だと思う。
 つまり、PCR検査での感染者(陽性者含む)のサイクル数をデータ化する。
 これも現場の声ですが、検査サイクル数をデータ化する事で、コロナ感染の濃度(強さ)を可視化する事ができるのではないか。
 コロナ感染の流れが可視化出来れば、爆発感染の中核をなす経路不明者のサイクル数だけを公表し、データ化すれば、コロナ渦の核の部分は判明できる筈だ。
 でも、具体的にどうやってコロナ感染のデータを可視化する?

 数学の世界には、”テンソル場”という概念がある。
 テンソルとは一言で言えば、”多次元配列”の事で、”基底を定めれば多次元配列が定まり、その多次元配列の各成分は基底の変換規則に従う”ような関数を言う。
 例えば、0階のテンソル(0次元配列)はスカラー(数または量)、1階のテンソル(1次元配列)はベクトル(運動量や力などの方向と大きさ)、2階のテンソル(2次元配列)は行列(ベクトルの間の異方的な関係を示す多元データ)となる。 
 ベルンハルト・リーマンは、位置によって変化する曲率を示す”リーマンテンソル”(計量テンソル)を発見しました。
 それを応用したのがアインシュタインで、(位置によって変化する)重力の大きさによって時空の曲率(歪み率)が変異する様を、テンソルを使った数式で表現しました。
 それこそが一般相対性理論ですが、彼がその中で生み出した方程式はアインシュタイン・テンソルとも呼ばれます。

 堅い話は抜きにして簡単に言えば、”テンソル場”の超初歩的な概念を使い、コロナ渦をデータ化する。
 因みに、テンソル場とは、幾何学的な空間の広がりの中でベクトル的な量分布を表します。
 つまり、各地域(地点)におけるコロナ感染の濃度(強さ)と感染者数(量)をベクトルデータ化した(色分けの)分布図をつくれば、自ずとコロナ渦の流れが可視化出来るのではないかと。
 テンソルの考え方とはこういう事で、もっと簡単に言えば、天気予報のアメダスみたいなのを感染の2次的データ群から作り出せないのか?


アメダス的なコロナ分布図

 例えば、アメダスでは可視化された雨量や雲の流れから、天候を予測します。
 しかし、メイン局のニュースでは決まりきった様に、今日の感染者が何人だとか、総数が前週と比べてとか、1次的な(スカラー)データばかりを伝えてます。
 専門家のHPでも多少は詳しいですが、データに関しては同じ様なもんですね。

 ガウスやリーマン風に言えば、”位置の幾何学”っぽくなりますが、このテンソル場の概念を活かし、ある場所(a,b)での感染者のPCR検査サイクル数dと感染者数cのデータを行列にして表し、状況に応じては、アルゴリズムから弾き出した係数(因数)を掛け合わせ、アメダスみたいな精密なコロナ感染の流れを可視化する事は可能だと思う。
 つまり、サイクル数dからコロナ濃度は1/dとなり、可視化に必要なデータは(a,b,c,1/d)だけとなる。勿論、発症率や重症化率は毎日公表すべきだが。
 つまり、いくら感染者が多くてもサイクル数が多ければ、コロナの濃度は低くなり、感染率も発症率も重症化率も低くなる。逆に、感染者が少なくてもサイクル数が小さければ、それだけコロナ濃度も感染率も重症化率も高くなる。
 故に、コロナ渦の可視化が可能なら、地下に潜ったままの(今では放置状態である)経路不明感染者を追いかける手間は省ける。

 私は過去、偉そうに経路不明の濃厚感染者(接触者)を徹底して追跡すべきだと書いた。しかし現実的に見て、可能ではない事は明らかだった(悲)。
 しかし上で述べた様に、サイクル数と感染者数のデータだけで、アメダスみたいなコロナ感染の(強さの)分布図をつくれば、経路不明者の”濃い”感染の流れも、個人情報を暴露せずに明らかになるのではないか。
 勿論、風俗店やクラブの名をバラしてくれればもっと精密に可視化出来るが、そんな正直者はどこにもいない(悲)。


最後に

 上で述べた事は単なる机上の理論にも思えるが、仮に効果が出なくとも、そんなにお金が掛かるプランではない(勿論、知恵は掛かるが)し、試す価値はあると思うのだが・・・

 例えば、夜の街の飲食街でも一斉に自粛や閉店するでなく、感染数が多くてもサイクル数が大きく、コロナ濃度(強度)がある一定以上低ければ、店をオープンし、対策を十分にする事で営業を再開する事は可能だろう。
 当然、毎日のPCR検査は必須だが、コロナ濃度が高くなれば、コロナの濃度が低くなるまで営業をストップする。 
 勿論、これは如何わしい風俗店やクラブでも徹底して行う必要がある。

 少なくとも支援金を無造作かつ無作為にバラ撒いたり、何度も何度も緊急事態宣言を繰り返すよりは、経済的な損失の視点で見ても、有効な手段だと思えるのだが。

 専門家はしきりに、社会的制約を我等国民に要求するが、既に限界である。
 それに、今や日本の100倍ほどのコロナ感染の規模だった欧州の先進国も何とか抑え込みに成功している。
 日本にはお金がない事は先にも書いたが、お金がないなら知恵を使え、知恵がないなら、ない知恵を絞りだそう。
 ”コロナは本当は怖くない”とか”ウィズコロナ”とか、聞こえのいい論説にはアホ臭だが。ここまで追い詰められた国民からすれば、コロナ撲滅の見通しが不透明な状況の中で、こうした陳腐な陰謀説が拡散するのも理解できなくもない。

 私が今日述べた事は私の意見ではなく、現場の意見を改良したものだ。
 しかし、日本政府は目先の経済を優先する余り、コロナ対策もワクチン接種も世界からは大きく遅れを取っている。
 一方で専門家たちも社会的制約という自粛にばかり拘り、何ら有効な手段は持ち合わせてはいない様な気もする。

 多くのメディアは内閣と癒着し、聞こえのいい事ばかりを配信する。
 国民は既に自粛とキレイ事には疲れきってている。せめてコロナ渦の流れを可視化する事で何か突破口を見い出せないのだろうか?

 それとも、ダラダラと惰性に任せ、オリンピックで感動と勇気をもらい、変異株再感染の状況に陥り、何ら解決策を見出す事もなく日本列島は壊滅するのだろうか?



8 コメント

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ミニマリズムとコロナ対策 (paulkuroneko)
2021-07-07 13:51:21
必要最小限主義
完成度を追求する為に装飾に凝るのではなく、必要最小限まで省略する表現スタイルのことですよね。
今の日本政府のやり方は、全てにおいて金!カネ!かね!です。予算さえ注ぎ込めばって考えが浸透してますが、効率や追求や考察といった思考がない為に、コロナ対策が打てないというより何やっても外れてしまいます。
自粛や社会的規制や緊急事態とか、これらは解決策ではなく、その場しのぎです。

数学の世界ではこのミニマリズムの手法がよく使われますが、徹底して無駄を省いた理論には美しさが伴ってるからではないでしょうか。
勿論シンプルが故に難解なんですが。逆を言えば、難題を解決するにはシンプルな考察が必要なんですね。
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paulさん (象が転んだ)
2021-07-08 03:14:14
”難題を解決するにはシンプルな考察が必要”
全くその通りですよね。
東京五輪が開催される7月下旬の新規感染者が5000人との試算が出てました。
変異株の感染爆発が確実とされる中、未だに日本政府と組織委は安全安心に対する有効な政策が打ち出せてません。
ひたすら、自粛をお願いしてるだけです。その一方でIOC役員ら五輪貴族らは全くのノーマークです。
こんな状況で有効な対策を打てってのも無理な話ですが、何か奇抜な案が出ない限り無理でしょうね。
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緊急<辞退>宣言 (hitman)
2021-07-08 04:27:16
お久しぶりでぇ〜す
東京は4度目の緊急事態宣言が決定しました
来月の22日までらしいです
お陰で無観客確定の運びになりそうな

もうこのまま緊急辞退宣言でも発令したほうが
スガも支持率が急浮上するのに
そういう考えはこれっぽちもないのよねぇ
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hitmanさん (象が転んだ)
2021-07-08 09:20:17
コチラこそ久しぶり?です。
笑ってしまいそうなタイトルで、早速記事にしようかと・・・
このままだと、IOCとその関係者だけが喜ぶオリンピックになりそうですね。
緊急事態宣言もここまで繰り返すと、ぬかに釘状態です。もう見てられんです。
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結局無観客 (hitman)
2021-07-09 03:21:33
1都3県で無観客が決定しました
これで安倍が昨年表明した<完全な形での開催>がなくなったわけで
全42会場のうち34会場で無観客となるけど
900億円のチケット収入の8割以上が消滅する計算で

これってIOCじゃなく組織委に負担がかかるんだけど、無観客といってもIOCや関係団体は入れるんだよね
IOC寄りのタレントたちは必死にバカ演説してたけど、これで沈黙〜ってなるのかな
しかし残り8会場は全国から観客が押し寄せるから地元住民からすれば逆に迷惑でしょうよ

まず全国一律に無観客にすべきで
その流れで一気に中止に追い込むべきだ
IOCだけが甘い蜜を吸うのだけは阻止しないと
東京都民は本気で怒るべきだ
1964年は東京都だけが潤ったけど
2021年は東京都だけが沈没しちゃうよ

転んだサン!なにか良いアイデアはないの・・・
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hitmanさん (象が転んだ)
2021-07-09 18:51:00
返事遅れてスミマセン。
お陰でそこそこのブログが書けました。有り難うです。
有効なアイデアはないんですが、ここは菅首相に本音を吐いてもらいたい。
NEWS23の筑紫哲也みたいに、”本当はやめたいんです”と涙ながらに国民の前で暴露するしかない。
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最小二乗法 (腹打て)
2021-07-16 13:11:12
PCR検査の増幅回数をdとすると、コロナ強度は単純には1/dとなるけど
1/d²とすれば、もっとリアルにならんだろうか?

というのもデータを二乗すれば、より誤差が小さくなるだろうとは、ガウスの最小二乗法と同じ概念で、ガウスは近似関数と実データの差の二乗が最小になるように近似関数を求め、ケレス惑星の位置をドンピシャで当てたんだけど。

コロナ強度はそこまでの精度はいらないから、どれだけの強度なら感染を無視できるかを算出すればいい。1/d²にすればコロナの驚異を高い精度で可視化できるだろう。
TV朝ワイドの玉川が言ってたが、緊急自体宣言下でも陽性者のコロナ強度が低い職域は、ワクチン接種済という条件の元で経済活動を再開させるという風なこと。

やり方は色々あるんだけど、政府は経済を優先したがために、貴重な数理モデルを台無しにしちゃうんだよな。
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腹打てサン (象が転んだ)
2021-07-17 04:54:05
最小二乗法ときますか。
腹打てサンらしいですね。
後は、地域差や人口密度や年齢層のばらつきがありますから、それらに応じた係数を当てはめる必要がありますね。

要は、コロナ感染の強度の流れさえ可視化すればいいんですから。こういった超初歩的なシュミレーションは簡単に出来ると思うんですが、数学アレルギーの政府や専門家はヤラないんですかね。
数学よりも会食の方がずっと楽しいんでしょうね。
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