4年前のこの時期に書いた記事ですが、更新して再校します。
当時は、”令和元年”の儀式やニュースが盛んに行われていた。平成が僅か30年と4ヶ月で終り、少し呆気ない感もなくはないし、”天皇退位”の儀式も空洞化してる様にも映った。
昭和天皇の時は、まだ皇族というものにある種の存在と”重み”があったが、今はその重みすらなくなり、今や羽根の様に軽い存在でもある。
明治、大正、昭和、平成、令和という流れの中、昭和から平成、そして令和を経験した私は、苦悩に喘ぎ続けた昭和天皇が崩御された悲しみの方が強かった。特に平成の発表の時は、”これで昭和と天皇制が終わった。戦争の時代が成長の時代が終わった”という印象が強かった。
更に、令和に入ると更に国内情勢は悪化し、もはや天皇制どころではなくなってしまう。
一方で、"良かったというより、(バブル崩壊後の)国全体の沈痛な雰囲気の方が大きく、少し寂しい思いで受け止めたんです”とは、池上彰氏のコメントである。
ただ(池上氏が語るように)、今回の平成から令和への”退位”を手放しで喜べるのだろうか。私から見れば、平成も令和も空洞化した重さのない時代で終わる様な気がした。事実そうなってしまった。
黒人初のメジャーリーガー
メジャーリーグでは毎年4月15日になると、選手全員が42の背番号を付け、黒人初のメジャーリーガーであるジャッキー・ロビンソンの栄光を称える。
1947年の4月15日に黒人として初めてメジャーリーグの試合に出場し、”人種の壁を超えた英雄”として語り継がれるロビンソン氏(1919−1972)を讃える日だ。
当時、まだ強い人種差別が強く残ってた野球の本場アメリカで、MLB初の新人王、首位打者、盗塁王、MVPなど数々の偉業を達成したジャッキー・ロビンソン。彼の背番号"42"は、MLB全体で永久欠番となっており、着用が許されるのはこの日だけである。
2004年から始まった毎年恒例の行事だが、2019年はロビンソン氏の生誕100周年で、MLBは大手スポンサーとタッグを組んで大々的にキャンペーンを展開するなど、例年とは違った力の入れようを見せた。
しかし、ウンザリ感というか、既に空洞化した感じがする。ロビンソン・デーも平成も令和も同じで、儀式やお祭り騒ぎだけが先走りしている。
しかし、ここでウンチクを1つ。
一般に”黒人初のメジャーリーガー”と言われるが。これは1900年以降の「近代メジャーリーグ」を対象とした言い方。
本当の黒人初のメジャーリーガーは、1884年に(今のナショナルリーグに対抗して作られた)アメリカン・アソシエーション(1882-1891)でプレーしたモーゼス・フリート・ウォーカー捕手(1857-1924)が最初とされる。
記念すべき1884年5月1日、トレド・ブルーストッキングスに入団したウォーカー氏は、この時黒人として初めてメジャーリーグの試合に出場した選手となった。
因みに、この年は僅か41試合の出場に終わったウォーカー氏は、このシーズン限りで引退する(ウィキ)。
つまり、ジャッキー・ロビンソン・デーを大々的に祝うのなら、このウォーカー氏も祝うべきではないか。それに、ニグロリーグにはロビンソンよりも凄い選手がいくらでもいたのだから。
ジョッシュ・ギブソンとサチェル・ペイジ
(ブログでも既に書いたが)特に、サチェル・ペイジ(1906-1982)とジョッシュ・ギブソン(1911-1947)は、メジャーリーガーを遥か上を行く資質とキャリアの持ち主で、メジャー入りが確実とされていた。
特に、まだ若かったギブソンはメジャーから声が掛かるのを待っていたし、周りからもメジャー確実だと思われていた。しかし実際に声が掛ったのは、ニグロリーグでも中堅クラスの若いロビンソンだった。
勿論、ギブソンは荒れた、荒れまくった。
”ペイジから180mの大アーチを放ったヤツは誰だ?言ってみろ”と酒場で怒鳴り立てた。それまでお酒1滴も飲めなかったギブソンは大酒を食らう様になり、35歳の短い生涯を閉じる。
”飛ばす事ではベーブルース以上、確実性でもあのテッド•ウィリアムズ以上”と評されていたギブソンの死は、ロビンソンがメジャーデビューする3ヶ月前の事だった。
”黒いベーブルース”と呼ばれ、ニグロリーグ史上、いやメジャー史上の最強の強打者とされる。キャリア通算で972本の本塁打を放ち、ヤンキースタジアムでの場外アーチ(176m)は伝説となる。
あまりの凄さに、あのベーブルースこそが”白いギブソン”と呼ばれたほどだ。”世界の王”さんなんか、このギブソンと比べたら、(失礼だが)鶏の羽根よりも軽い。
因みに、ロビンソンがブルックリン・ドジャースとマイナー契約した時、ギブソンは33歳8か月、ペイジは39歳1か月であった。
少し湿っぽくなったが、ロビンソン・デーを催すなら、ギブソン・メモリアルとか、ペイジ・デーとかも催すべきじゃないのか。それこそ人種内差別だろう。
私はこのロビンソン・デーを見る度に、ジョッシュの無念を思い出す。だからウンザリなのだ。
二人以外にも凄い黒人リーガーはいた。シーズン102勝(43連勝)を成し遂げたジョー・ウィリアム、最高の1塁手と言われるオスカー・チャールトン、シーズン175盗塁のクール・パパ・ベル2塁手、沈黙の三塁手ジュディ・ジョンソン等など数え上げたらきりがない。
紹介が遅れたが、ギブソンの最大のライバルで史上最強の180キロ右腕サチェル・ペイジは、通算2000勝、完投勝利350試合、ノーヒットノーラン55試合、シーズン105試合登板で104勝という、これまた桁外れのキャリアを持つ。彼は幸運にも?42歳でメジャーデビューし、最後の登板は59歳であった。
ルース(1895−1948)と比較的年代が近く、交流戦でも一度も対戦する事はなかった。しかし、ベンチからペイジの投球を見ていた”ルースの顔が青ざめていった”との証言が複数残っている。
しかし、ロビンソンほどには、ペイジもギブソンもこの二人の桁外れの伝説とキャリアは知られてはいない。
全く惜しい限りではある。
ロビンソン伝説と黒人差別
でも何故、ロビンソンだったのか?
1つには中堅クラスの黒人リーガーだったから、プライドもそこそこで球団側としては扱いやすいとされた。これがペイジやギブソンだったら、黒人リーグがメジャー(白人)リーグよりも明らかに上だという事がバレちまう。
しかし、ロビンソンの野球選手としての資質と能力は、メジャーのそれと殆ど変わらない。それに大学を出て分別もあるから、イメージも黒人にしては悪くはない。
その上、ペイジは年齢からして警戒する程でもないが(39歳)、ギブソンはまだ油が乗り切ってた時期(33歳)で、メジャーには驚異に映っただろう。
そう考えると、ロビンソンがマイナー契約と言えど、ドジャースと契約できたのも当然の成り行きとも言える。
が、誰がこの中堅クラスの目立たないニグロリーガーが歴史を覆す様な活躍を予想したであろうか。
ただ、あまりにもロビンソン伝説が独り歩きし、他のニグロリーガーに光が殆ど当たらないのも事実。これだけ数多くの黒人メジャーがMLB殿堂入りを果たしてるのに、ニグロリーグの詳細は殆ど知られてはいないのが現実である。
実際、”生誕100周年のジャッキー・ロビンソン、功績は偉大だが神格化され過ぎで弊害も”というYahooのコラムでも、私と同じ様な意見が寄せられてる。
”ロビンソンの神格化は、白人社会による免罪符となってる様にも思える。彼のお陰で現在の人種的多様性がある。1947年4月15日を人種隔離の終焉日とし、MLBの人種問題を過去完了に錯覚させている点は否めない。それどころか、彼の登場は今も続くマイノリティたちの戦いの始まりであったのだ”と締めくくる。
つまり、ロビンソンだけでなく、他の黒人リーガーにも同じ様に光と尊厳を与えてたなら、本当の意味での”カラーライン”は破られてただろうし、MLBのいやアメリカの人種の壁も本当の意味で破られてたかもしれない。
事実、ロビンソンだけが”人種の壁”を破っただけの様な形となってはいるが、現実には今も人種の壁がアメリカ社会に根強く残ってる。
そういう私も、黒人リーガーは単に運動能力が高いだけの存在だと勘違いしてた。
「大リーグを超えた草野球」(佐山和夫著)を読んだ時はそういう印象を受けた。しかし、「黒き優しきジャイアンツ」(同著)を読んだ時は全く違う印象を受けた。
黒人リーガーは肉体的に逞しいだけじゃなかった。心の方も柔らかく優しく逞しかったのだ。日本にプロ野球が根付いたのは、2度のMLBオールスターの来日が原因とされるが。実は黒人リーガーの来日と圧巻のパフォーマンスが、日本にプロ野球を根付かせた。
つまり、日本人は傲慢な白人メジャーよりも遥かに凄くて優しい黒人リーガーの存在を目の辺りにし、彼らをお手本にしたという。
最後に〜ロビンソンの挫折
しかし、日本のスポーツメディアも黒人リーガーと言えば、バカの1つ覚えみたいにジャッキー・ロビンソンの事しか紹介しない。よくてもステロイドに染まったバリー・ボンズくらいだろうか。
最後にジャッキー・ロビンソンの栄光と挫折についてだが、彼は38歳という中途半端な年齢で引退した。当時は”ドジャース愛を貫いた”と美化されたが、ドジャースに対する失望こそが引退を早めたらしい。事実、引退後の人生も順風とは行かなかった。
生きてる時に今みたいに、称賛されてたら、彼の人生はもっと充実したハッピーなものであったろう。
死んでからバカみたいに賛美されても、本人の遺族も周りも困惑する。アメリカは何につけてもやり過ぎる所がある。ジャッキー・ロビンソン・デーもその典型である。
結局、こんな態とらしい儀式をどんなに派手に大袈裟に行っても、差別はなくならない。いやむしろ差別を深くするだけだろう。
そういう意味でも、ロビンソン・デーにはウンザリだ。
しかし世界は変わりかけていますね。黒人の魅力は今や疑う人もいなくなりつつあるように、わたし的には感じています。
今や黒人の特に女性は美しいです。白人の美しいのよりもずっと魅力的ですか。というより白人女性が非常に醜くなりつつある。
Jロビンソンも野球じゃなく、堅い職業の方が貧しくともずっと幸せだったかもです。
ジョシュギブソンが黒人初のメジャー入りしてたら?
ロビンソンのように罵声を浴びせられたでしょうか。
油が乗り切ったギブソンの規格外の打球や強肩ぶりを目にする度にアメリカ白人のため息が漏れたでしょうね。
ああ〜これが黒いルースなのかって
人種差別する気すら起こらなかったと思う。
噂には聞いてたギブソンやペイジですが
凄いニグロリーガーたちがいた時代の野球を生で見てみたかったです。
最近の黒人差別は黒人に敵わない劣等白人による差別ですね。自分の存在がおびやかされるから、その恐れから差別しているような感じではないでしょうか?
この記事にはリアクションボタンが押せたんですね。
私も”ギブソンだったら”と思ってしまいますね。
彼の破壊力は人種差別をも凌駕する。
それだけの領域にある事は確かです。
そういう意味では、ロビンソンが黒人初のメジャーになったのは、本人にとっても不幸だったかもです。
ロビンソン自身も罵声を浴びせられる度に、”俺じゃなくギブソンだったら”と思う事もあったでしょうね。
アメリカのメディアも、未だにニグロリーガーを偏見の目で見てるような気がします。
ベースボールが時代遅れのスポーツに成り下がったのも、それだけ白人社会が衰退した証拠でしょうか。
色々と考えさせられますね。
コメント有り難うです。
あの頃が懐かしいです。
でも、4年前と殆ど変わってないようにも思います。ビコさんは今でも全然平常心ですよ。
でも、他人の記事だと思って書いてたら、自分のコメントだったというのも思わず笑ってしまいますね。
そういう意味でもビコさんらしいです。
私もこの頃は、イイねボタンが有難く感じてたんでしょうか。
私の方が変わってしまったのかもです。
黒人にとっていやアメリカにとって
ベースボールというスポーツが娯楽ではなくなったんでしょう。
今や過去すら振り返る事もない。
こうして伝統や伝説は消滅していく。
やがてジャッキーロビンソンは忘れ去られ、ベースボールそのものも忘れ去られる。
そうやって大衆は新しい娯楽に飛び付き、古い重たいだけの嵩張るコートは脱ぎ捨てる。
つまり、”ベースボールは死なずただ消えゆくのみ”ということに帰着する。
アメリカの野球は面白くないですよね。
大谷が二刀流で活躍しても、まるで高校野球を見てるみたいで・・
全体的にメジャーのレベルと質が下がったのもですが、大半の国民が見なくなった。
メジャーの歴史なんて知ってる人が何%いるのだろうか?多分、一桁もいない。
労使交渉も決裂したままで、平然とシーズンを迎えている。
ある日突然、消滅するなんて事もありえない話ではないですね。
野球ファンには残念な事ですが、これも宿命なんでしょうか。