寄せられたコメントに、強制に近い総動員令がウクライナの家族たちを混乱させている。避難した一般市民にも軍の招集令状が届き始め、国外脱出を図る男性の拘束も相次ぎ、ウクライナ国内で分断が起きているとあった。
このウクライナ兵が抱える暗黙の葛藤はロシア兵が抱える葛藤でもあるし、世界中が抱える憂鬱でもある。
総動員令は、侵攻開始2/24に発令され、徴兵の対象は18~60の男性で出国が禁じられた。
国家総動員法とマスゲーム
今の状況では国家総動員は仕方ないかもしれない。だが、それが100%正しいとは誰も言えないのではないだろうか。
仮に母国の英雄になっても死んでしまえば、残された家族は一生悲劇を背負う事になる。
いくら母国を守る戦争とはいえ、戦闘経験のない素人を僅かな訓練で戦場に送り込むという事だけは、両国政府ともやめて欲しい。
兵士と言えど、死に急ぐ駒ではない。彼らにも大事な家族がいて、人生があり夢がある。
人は忘れる生き物だ。やがて今回のウクライナ戦争は記憶の隅に追いやられ、何事もなかった様に時代は進む。しかし遺族にはその時点で悲劇の歴史は止まったままである。
これこそがプーチンが描く巧妙なシナリオだとしたら・・・
国家総動員法というのはある種のマスゲームである。個々の力は弱いが、集団で機能すれば大きな力になる。
KPOPもAKBも好きになれないのは、戦時の集団遊戯(マスゲーム)を彷彿させるからだ。
マスゲームは足し算(マス)にシンメトリー(対称性)を組み合わせ、有事の国威高揚に大きなアピールをもたらした。
つまり、不特定多数の国民が交換則や分配・結合則を満たす事で、大きな威力を発揮するが、犠牲も莫大になる。
マスゲームというプラスの要素はやがてマイナスになり、取返しの付かない歴史上の大失態を招く。
ウクライナ戦争が長期戦になるにつけ、ウクライナとロシアの両国は危険なマスゲームに突入するのか?
一方で、NATO(欧米)とウクライナとロシアの関係を結合法則で考察すると、その複雑な情勢の見通しが少しは良くなる。
結合法則とは、例えば”+”の演算で言えば、a(b+c)=(a+b)+cが成立する事である。
”そんなん誰だって知ってるわ”と思いがちだが、こんな単純法則が日常生活の中では常に成り立つとは限らない。いや成り立たない事の方が多い。
そこで、この小学生でも知ってる?結合法則を使って、ウクライナ危機を簡単に振り返る事にする。
崩壊する結合法則
旧ソ連の時代は、NATO(欧米)とウクライナとロシアの関係は(+の演算で表せば)、NATO+(ウクライナ+ロシア)であった。つまり、旧ソ連の領土にウクライナとロシアが含まれていた。
因みに旧ソ連時代には、ウクライナには軍事施設や核施設が集中してた事はあまり知られてはいない。米露が血眼になり、この地を奪い合うのも理解できなくもない。
一方で、スターリンの圧政(飢餓輸出)により”ホロドモール”と呼ばれた歴史的大飢饉(1932-33)が起き、人口の20%が死に絶え、ナチスの”ホロコースト”と並ぶ、莫大なる犠牲を払った。
1991年に旧ソ連が崩壊し、”NATO+(ウクライナ+ロシア)=NATO+ウクライナ+ロシア”となる。つまり、ウクライナはロシアから完全に独立した。但し、これをNATOとロシアの間の中立と呼ぶかは、疑問ではある。
その後アメリカとロシアで、ウクライナの引き抜き合戦がしばらく続く。
2014年のクリミア危機はその典型であった。結果、クリミア半島はロシアの実質上の支配となり、一方でウクライナには、親米のゼレンスキー政権が誕生した。
ウクライナに(かつてのベルリンの壁を彷彿させる様な)微妙な亀裂が入ったのも、この時である。
アメリカにとっては、”NATO+(ウクライナ+ロシア)=(NATO+ウクライナ)+ロシア”の結合法則の青写真が出来上がりつつあった。
しかし、旧ソ連時代のNATO+(ウクライナ+ロシア)に戻そうとするプーチンが、それを許す筈もない。
元々ウクライナは、NATOに属するつもりはなかったとされる。しかし、ロシアが軍事介入をしつこく匂わせるので、うんざりしたゼレンスキーはNATO加盟をちらつかせた。
故に、アメリカが描いた結合法則が成立するかにも思えた。しかし、ウクライナは最初から両国共に依存せず、独立した中立の立場を叫び、この結合法則を受け入れる筈もない。
それでもプーチンは(CIAを使い親米政権を樹立させた)アメリカに対し、有利な立場にあった筈だ。いや、出方によっては”NATO+ウクライナ+ロシア=NATO+(ウクライナ+ロシア)”に戻せたかもしれない。しかし、今回の侵攻によって全てがパーになった。
今となっては、ウクライナは(ロシアは勿論)NATOにも属す気はないだろう。
つまり、結合法則は成立しない。
新たなる結合法則
旧ソ連が崩壊し、”NATO+(ウクライナ+ロシア)=NATO+ウクライナ+ロシア”の状態が、今の(そしてこれからの)ウクライナにとってはベストなのだ。
勿論、この等式の逆(可逆)もありえない。
一方でアメリカは”NATO+ウクライナ+ロシア=(NATO+ウクライナ)+ロシア”を目論んでたらしいが、これも最初からありえない等式である。
言い換えれば、あり得ない等式を目論んだアメリカが招いた惨劇とも言える。が、それが解っていながらプーチンは侵攻した。プーチンの誤算の全てはここにある。
数学も単純な基本法則を無視したら、全ては破壊する。数学的に言えばプーチンの失脚は証明された様なものだが、現実はどう動くのだろう。
私が思うに、ウクライナを中心とした”新たな結合法則”が見いだせないだろうか?
大国と結合しても、搾取や侵略は目に見えている。豊かさや自由を満喫出来なくとも(貧乏でもいいから)”安定した国家”のあり方が今のウクライナには(いや世界には)必要だろう。
つまり、旧ソ連時代の東欧圏の国々がEUやNATOみたいに結合・結束する。
ベラルシ・ポーランド・ルーマニア・チェコ・ハンガリー・ブルガリアら旧東欧圏の国が経済的にも軍事的にも(ウクライナを中心に)一致団結出来れば・・・
もし実現できれば(だが)、NATOや大国ロシアに対抗する新たなる東ヨーロッパ同盟圏の誕生である。
勿論、EUやNATOに匹敵するような同盟がすぐに誕生する筈もないが、ウクライナがロシアやNATOに属する確率よりかはずっと高い気もするが・・
数学の世界では当り前の様に出来る事が、現実の世界ではとても難しい。しかし、小さな国が大国に対抗するには、沢山の小さな国同士で結合するか、遠く離れた大国の力を借りるかしかなかった。
ウクライナがロシアの軍事的圧力やアメリカの(余計な)お節介に苦しんだ挙げ句、中国の核の傘の下に収まるよりかは、東欧圏でまとまった方が米露両方の大国から介入を受ける危険性は低くなるだろう。
つまり、結合法則はウクライナの為にある。
破滅の分配法則
私達が当り前の様に思ってる(単純極まりない)結合法則や等式の可逆性は、今の(そしてこれからの)ウクライナ情勢においては全く通用しない。
「加法の交換法則」でも書いたが、一見当り前の様に思える(数学の)初歩的な基本則も、それらをゼロから証明する事が難しい様に、ウクライナ情勢においてはもっと難しい問題である。
2+3=3+2や2+3+5=(2+3)+5=2+(3+5)=10が成立するのは、数学の世界だけなのである。
故に、現実は不可解で奇怪なのだろうか。
こうした数学の基本則を、プーチンが時代遅れの帝国主義的野心で成し遂げようとするその幼稚な野心こそが、大きな誤算である。
(数学の法則に従えばだが)やがてプーチン政権は失脚し、ロシアは旧ソ連崩壊時にみたいに、西ロシア、中央ロシア、極東ロシアとに(仮にだが)分割され、”破滅の分配法則”が成立する最悪のシナリオが待ってるかもしれない。
ウクライナにもクリミアにも春が来て、(超楽観的すぎるかもだが)極東ロシアからは北方領土が日本に返還され、日本にも本当の春がやって来るのだろうか。
いや、新大国の中国がこの”破滅の分配法則”に絡んでくるのだろうか?
和と積に関する分配法則とは、a(b+c)=ab+acと(a+b)c=ac+bcを満たす事である。
プーチン失脚後のロシアの未来予想図を中国から眺めれば、”(西ロシア+中央ロシア+極東ロシア)中国”となりそうだが、この分配法則を欧米が許す筈もない。
逆に欧米から見れば、”欧米(西ロシア+中央ロシア+極東ロシア)”となるが、この分配法則が成り立つ筈もない。
国と国が接近してるからとて、簡単に分配法則や結合法則が成立する筈もない。
しかし(数学に疎い)独裁者は、ソロバンを弾くように隣国を支配したがる。
隣国に侵攻すれば、結合法則や分配法則が簡単に成立すると思い込んでいる。
ロシアに隣接するベラルーシとウクライナの現状を見ても、(ウクライナ+ベラルーシ)ロシア=ウクライナ・ロシア+ベラルーシ・ロシアという分配法則が成立する訳でもない。
現実には、”(ウクライナ+ベラルーシ)ロシア=ウクライナ+ベラルーシ+ロシア”にしかなり得ない。
最後に
つまり、数学の視点で見ても、国家間の問題は基本則すら満たさない。
侵攻や侵略で隣国を接収するという(信長の野望ゲー的な)足し算の論理すら成り立たない。
ロシアは大規模な破壊兵器を使い、ウクライナに攻め込むが、ロシア兵への損耗も天文学的な数に上る。欧米が輸出する武器で徹底抗戦を繰り返す度に、ウクライナ兵や民間人の損失も天文学的な数に増える。
つまり、隣国どうしの戦争は”互いの損失”という引き算にしかなりえない。
戦争で儲かった時代は、戦争や侵略が足し算の論理で動いた時代は、植民地時代か第2次世界大戦までである。
しかし今は、侵攻は出来ても支配は出来ない。
つまり、侵攻を繰り返す度に損失は倍々に増え、侵攻が終わる頃には莫大な負債が残る。支配するにはもっと負債が増え、戦勝国の経済は破綻するであろうか。
”モンテカルロ法”みたいに、最後に勝てばチャラという訳にはいかないのである。
ロシアの富豪達はプーチンの侵攻を冷めた目で、いや、嘲笑するかの様な目で見てるだろうか。
”あのバカがヤッパリしでかした。計算が出来ない奴はこれだから困る”
ロシアは昔のロシアに戻ることはないでしょうね。勿論、旧ソ連時代に戻ることは夢のまた夢。
一方、ウクライナは今回の大きな試練で東欧諸国の多くの支持は集めるでしょう。
ただ、戦争が終わった後のウクライナの再建には莫大な費用が掛かる筈です。当然ロシアにも国家が分断する程の賠償責任が加えられるでしょうし、欧米も相当な出費は覚悟する必要はあるでしょうね。
今回のウクライナ戦争をきっかけに、ウクライナ周辺の国々は同盟という新たな模索に進んでいく可能性もあるとは思いますが、それなりの試練も待ち構えてます。
ウクライナの春はいつになるのでしょうか?
プーチンの暴走は後々も大きな傷跡を残しそうですね。
戦争が終わった後はもっと大変でしょうね。
戦争が一番アカンのは、戦後処理の困難さです。アメリカが仕掛けた2つの湾岸侵攻も、未だに大きな傷跡を残し、戦後処理は放棄されたまま。中東の民主化とは明らかに欺瞞でした。
アメリカも含め大国の独裁者は、未だに勢力や領土拡大の幻影に浸かってます。
今の戦争が”百害あって一理なし”という事は解りきってるのに、それでも大国の独裁者はあえて戦争を仕掛ける。
”プーチンが悪い”という国際世論だけが独り歩きし、挙げ句はマスゲーム化し、停戦の有効打にはなりえない。
ただプーチンの侵攻や民間への無差別攻撃のお陰で、ロシアから見たアメリカの策略が見え難くなってる事も確かですよね。
今回の侵攻が示すとおり、領土拡大の戦争は時代遅れになりつつありますよね。
仮に戦争に勝利したとしても、占領統治のコストは膨大。
ウクライナの人口は4000万人ですし、国土は日本の1.6倍。
仮に傀儡政権を作ったとしても内乱は必至。
過去、占領統治が上手くいった例は日本くらいのものです。
「鬼畜米英」があっという間に「ギブミー・チョコレート」に変わりましたし……。
いずれにしてもプーチンは合理性を欠いた判断をしましたね。
私も鬱になりそうですが、コメント有り難うです。
言われる通り、ウクライナは日本人とは気質が違うから、多くの国民は最後まで戦おうとする。ある日突然、”ギブミー”とはならないんですよね(笑)。
ゼレンスキーも(アベみたいに仮病を使う事もなく)堂々と世界に向かって演説する。
モスクワでは20万を集め、プーチンは侵攻の正当性をアピールしました。
ゼレンスキー共にお互いに役者ですが、最後はどちらに軍配が上がるんでしょうか。
色々と大変でしょうが、新たに生まれ変わったと思うしかないですかね。
私も最近はプーチンネタばかりで
我ながら書いてて全く先が見えず、益々鬱になりそうです。
こういう状態になるのも珍しいんですが、何か抜け道はないんですかね。
ウクライナだけではなく、ロシアも含め世界中が膠着状態になりつつある。
ワイドショーでは相変わらず呑気な事言ってますが、”今日のウクライナは明日の日本”なんですよね。もっと日本政府は知恵を絞り、中国に働きかけるとか、ロシアに断固たる態度を示すとか・・・
寄付や物資支援もそうですが、水面下での軍事情報支援など際どい事も1つの選択肢として考えてほしいですね。
いただけないわね
誰とは言わないけど
絵の具で塗り固めたようなグロなメイクで
ズケズケとズレたことをわめく
オバさんコメンターはもっと場違い
時代錯誤もいいとこ
経験値や思い込みだけで
条件反射的な物言いばっか
これで有名私大の教授なんだから
開いた口がふさがっちゃうわ^^;
TwitterやInstagramよりも
真面目で質素なブログのほうが
本質を見抜いてる記事が多いので
ワイドショーでもそういうのを
無作為に紹介したほうがいいんじゃないのかな
ジェンダーとか
グローバルとか
ウイズコロナとか
幼稚な専門用語ばかり並べ、言葉のお遊びには辟易ですが。日本ではこんなレヴェルで元財務官僚なんですよね。
一方で(歳食うほどに)寄付とか物資の支援とか、そんなんばっかに固執する。
そういうのは急を要するのではなく、これから延々と続く事項だから、もっと本質的な部分で討論しないと・・・
でもここまで膠着状態に陥ると
専門家やコメンターらもネタが尽きて来たようですね。それに一時流行った軍事評論家ってのもスッカリ姿消してます。
これ以上戦闘が長引けば、世界規模での経済危機の方が深刻かもしれませんね。