象が転んだ

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世直しか?老害か?〜高齢化するモンスタークレイマーの弊害と実態

2023年11月21日 05時05分54秒 | 独り言&愚痴

 高齢化率(65歳以上人口の割合)が29.0%に達した高齢化王国ニッポンだが、高齢者周りのトラブルが深刻になりつつある。
 電車内で泣く赤ちゃんの声に我慢できず、高齢男性が母親に暴言を浴びせる様子がSNS上で話題になり、”まさに老害だ”との声が溢れた。
 一方で、バス運転手のサングラスに難癖をつけた高齢者クレーマーのケースもある。
 それ以外にも、列車の乗務員がタブレットを操作してる時、客室との仕切りガラスを叩き、”何遊んでるの、危ないじゃない”と金切り声で注意する高齢の女性。
 明らかに、単なる難グセや言いがかりのレベルだが、業務妨害とも言える行為なのに、彼ら彼女らは悪い事をしてるとの認識は全くない。いや”正しい”と思い込んでるから余計に厄介だ。
 更に、”自分は客だ”という立場を利用し、暴挙に出たケースもある。

 温厚そうな高齢夫婦の客だが、配膳役の外国人アルバイトに”外国人が出した定食と味噌汁と、日本人が出してくれた定食と味噌汁のどちらが食べたい?”と男性客、更に”和食なんだから客はどう思うかしら?”と女性客がやんわりとクレームを付けた。
 露骨すぎる差別に、アルバイトの顔はは青ざめていた。タチが悪い事に、この老夫婦は立ち去り際に”これは差別じゃないよ、日本人の普通の感覚だから、悪く思わないでね”と優しく追い打ちを掛けたのだ。
 それ以降、必死で日本に馴染もうと勉強していた彼は(自信を失って)店頭に立てなくなり、間も無くお店を辞めてしまったという。
 因みに、別の店舗でも高齢客から似た様なクレームが複数寄せられ、本人たちは”怒ってるというよりアドバイスをしてるつもりらしい”との事である。

 理想の年寄りといえば、知識が深く穏やかで、若者を導く存在として敬うべき存在がある。一方で、頑固一徹で怒りっぽく迷惑な高齢者も存在した。だが、極稀な人だからと相手にされる事はなかった。
 しかし、高齢化が急速に進む日本では、こうした高齢者の独りよがりな行動や常軌を逸した言動を無視できなくなったのも事実である。
 単なる迷惑ではなく、”差別的感情までを正しいと押し付ける”事は看過できないし、事態は深刻さを増している。
 以上、NEWSポストセブンより大まかに纏めました。


シルバーモンスターの実態と特徴
 
 ”ベビーブーマーと呼ばれた(自己主張の強い)団塊の世代が大量退職する時代が来るとクレーマーが増える”と、20年ほど前に予想されてはいたが、今まさにその通りになってしまった。
 昔ながらの村社会には、”自己主張ばかりしてると村八分にされる”という不文律がある。
 農村型老人は村八分を恐れる。事実、未だに”お寺にいくら包むか”は談合で決められる風習が残ってる所もある。
 昔は”法事を欠席するのけしからん”とされたが、ここ数年は他家の法事に行く事も極端に減り、法事も殆ど身内だけで行う様になった。
 実は私の田舎もその通りだが、一部、隣組という昔ながらの風習が残っている。
 一方で、ホワイトカラー型高齢者は、個々が自分の好きな様にする。老いても、自身のライフスタイルがしっかりと確立されているのだ。
 しかし今、農村型じゃなく都会型老人のクレーマーが問題になっている。 
 以下、「良かれと思ったアドバイス、度が過ぎていませんか?」より一部抜粋です。

 クレームを寄せる年代は50代が最も多く、(意外にも)女性の方がクレームを寄せる割合が多いという(上図)。
 クレーマーには、理不尽なイチャモンや怒鳴りつけばかりではない。現代で増えてるのが、普通な人が”なかなか納得してくれない”と食い下がる、対応が面倒なお客さんである。
 理不尽な理由で手がつけられなくなった高齢者(モンスター化してしまった老人)の事をシルバーモンスターと呼ぶ。
 怒る理由は様々あるが、本人に悪気はなく、むしろ”世直しやアドバイス”として考えてる場合もあるから、余計に厄介なのだ。
 ”自分が正しい”という主張や”世直し”のつもりが度を過ぎ、収まりがつかない状態になってしまうケースが多々ある。また、目的が(謝罪や何らかの対応ではなく)、単に”相手を論破したい”という目的に代わる人もいる。

 こうした高齢者のクレーマーには、以下の5つに分けられるという。 
 ①世直し型②期待と思い入れ③自己中心型④”年寄りだから”的懇願⑤かまって欲しい型。
 ①は、仕事で身につけた知識や能力を誇示して間違いを正すという”世直し”のつもりでクレームをつける。ホワイトカラー型とも言え、今ではこれが一番厄介で大きな問題になりつつある。
 ②は、過度の期待や思い入れが強すぎて、欲求が満たされずに爆発してしまうケースである。③は、”君じゃ話にならん、責任者を出せ”のタイプで、”自分を低く見られた”と突然怒りだす。この②と③は田舎に多いタイプでしょうか。
 ④は、”お年寄りなんだから・・”と、老化を理由に過度な要求をする。⑤は、単に”寂しいからカマッて欲しい”型である。④と⑤はほぼ同じで、クレームとしては可愛いもんですかね。

 以上のように、ごく普通の良識ある高齢者が過度な忠告を与えすぎて、結果的に悪質なクレーマー(シルバーモンスター)に豹変する。
 何でもそうだが、度が過ぎると取り返しのつかない事になる。
 以上、シニアドからでした。


最後に〜交渉人とクレーム

 私もクレームはつける方だから、大きな事は言えないが、一寸した事で大きなトラブルに発生する事が多々ある。
 その時の感情や気分によってもクレームの強度や深度は異なる。勿論、そういうのをコントロールするのが知性や知識な訳で、自分ではうまくクレームを付けたと思ってても、相手にはうまく伝わらない事もある。いや、そういうケースの方が多いかもしれない。
 特に、①の”世直し型”はまずは殆どにおいて通用しない。言い換えれば、一番トラブルになりやすいクレーマーとも言える。一方で、②と③の農村型は今ではまず相手にされないし、むしろ、④と⑤の懇願型の方がずっと相手にしてもらえるかもしれない。
 コールセンターも人間である。寂しい気持ちは老若男女を問わず、世界共通なのだ。

 そこで私なりの対策の一例ですが、映画「交渉人」(1998)で主演のサムエル・L・ジャクソンが行った方法がある。
 まず、クレームをつける前にその優先順位を決め、予め言いたい事を紙に書いておく。更に、クレームが重複しない様に、一度要求した事には線を引いて消しておく。
 こうして、一番訴えたいクレームから順に説明し、大体において5つほど言えば、相手はある程度(いや高い確率で)、顧客のクレームの本質を理解してはくれる。
 但し(当り前の事だが)、顧客の望む回答が得られるかは別問題である。
 もし、それでも聞き入れなかったら、素直に諦めるしかない。つまり、クレームの本質は(要求が受け入れられるか否かではなく)要求を正確に誤解なく相手に伝える事にあるからだ。

 クレームを訴える相手にも、事情があり立場があるし、生活もある。それに、互いに人間だから双方が感情的になれば、最悪の結果を招くだろう事も頭に入れとくべきである。特に、相手が優しく賢そうな人だったら余計にである。
 少なくとも、自分中心の価値観だけでクレームをつけるべきではないし、自分の価値観は(基本的には)自分だけにしか通用しない事も頭に入れとくべきだろうか。
 故に、”相手の事を思いやって忠告したのに”と本人は思ってても、相手に伝わってなければ、単なる難グセや言い掛かりとみなされ、大きなトラブルに発展する事もある。
 つまり、相手を思いやる事は簡単な様に思えて、実は非常に難しい事でもある。故に、自分の事だけを考える身勝手な人が(意外にも)成功するのも頷ける事ではある。

 という事で、シルバーモンスターにならない為のお話でした。



4 コメント

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交渉人 (tomas)
2023-11-21 11:46:34
シカゴ警察の人質交渉人のダニー(サムエルジャクソン)は何気ない会話から、これまた西海岸の敏腕交渉人であるセビアン(ケビンスペーシー)の頭の良さを理解すると5つの要求リストを提示します。
またせビアンもFBIに対し、全ての指揮権を自分に任せることを要求します。
こうした交渉人対交渉人の友情に近い駆け引きはとても見応えがありました。
クレームと交渉では多少の違いはありますが相手を納得させるという点では多くが共通してますよ。
モンスタークレーマーVS敏腕交渉人をテーマにした映画を見てみたいですね。
転んださん!脚本を書いてくださいな。 
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tomasさん (象が転んだ)
2023-11-21 14:14:50
近い将来
サポートセンターも交渉人を雇うかもですね。
そうしたら、クレーマーと交渉人の駆け引きが熱を帯びますが、シルバーモンスターは全滅するでしょうね。

クレームもそうですが、要求は程々がいいんですよ。多すぎても迷惑だし、少なすぎたら相手に伝わらない。
つまり、5つ位が丁度良い。
それにクレームを箇条書きにする事で、冷静に要求の本質をあぶり出す事が出来る。
ここまで来ると、感情よりも論理が優先するから、厄介になる前に引き下がる事も可能です。
全てがうまく行く訳でもないですが、クレームをつける側もリスク管理は大切でしょうね。
では・・・
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おもてなしも (腹打て)
2023-11-23 20:09:32
度が過ぎると大きな迷惑行為に発展する。
年末は高齢のお歳暮の季節だけど、これも迷惑行為の一つなんだよな。
日頃の感謝の気持ちを物品で表そうとするから、もらう側はいい迷惑だ。
こういうのもカスタマハラスメントと呼ぶのだろうが、全てはシルバー世代以前に始まった伝統だから、バッサリと切り捨てることも出来ないし、賄賂として訴えることも出来ない。

こうした、かつては古き良き習慣が溜まりに溜まり、モンスタークレーマーになる。
時代も人間も古けりゃいいってもんじゃないんだろう。
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腹打てサン (象が転んだ)
2023-11-24 02:58:26
”時代も人間も古けりゃいいってもんじゃない”
って、いい響きですね。
まるで、ハリー・ボッシュの捨て台詞みたいです。
オモテナシもお歳暮も、良かれと思ってやってる事なんですが、シルバー世代の世直しクレームと同じで、過ぎると大きなトラブルになるんですよ。
言われる通り、だからとてバッサリと切り捨てる事もできない。
一応は、代々から続く昔から続く伝統行事という考えがあるから・・・

これに関しても、記事にしたくなりました。
コメント参考になります。
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