J-POPの捕食者と被食者〜ジャニーズに隠され続けた”黒い闇”

　｢K-POPの黒い闇｣でも指摘したが､日本でも同じ様な性被害が起きていた。
　2019年7月に亡くなったジャニーズの創業者ジャニー喜多川(享年87)の“性加害問題”が大きな騒ぎとなっている。
　3月中旬に放送された､英国BBCがジャニー氏の“性加害問題”に焦点を当てたドキュメンタリー｢J-POPの捕食者〜秘められたスキャンダル｣(原題:Predator The Secret Scandal of J-POP)に､今まで見て見ぬをふりしてきた日本のメディアもこれ以上､無視を貫く事は出来なかった。

　ジャニー喜多川が創設した男性のみのタレント事務所｢ジャニーズ事務所｣は､日本の芸能界を圧倒的な影響力で支配してきた。
　ジャニーズは日本でスーパーアイドルになる為の登竜門であり､若い少年たちを訓練する”工場”として､日本のポップ･アイドル文化の中心に君臨する。
　一方で､喜多川氏には所属する少年たちに対する性的搾取の疑惑が以前からつきまとってきた。しかも､密室で囁かれてただけではない。全国的な報道機関が取り上げ､その一部は民事裁判で認定されたが､その喜多川氏は晩年まで国の宝とされ､87歳で亡くなった後も今なお崇拝されている。
　この番組では､ジャーナリストのモビーン･アザーが日本を訪れ､性的虐待を受けた人たちに話を聞く。そして､疑惑は長きに渡り噂されてきたにも関わらず､ファンやメディア業界､そして日本社会が彼を英雄視し続け､その遺産が今も繁栄している驚愕の現実。
　番組は､ジャニー喜多川氏の性的虐待の事実とメディアに与えた強い影響力を調査し､社会が見て見ぬふりをする事の残酷な結果を明らかにする(BBCNews)。

J-POPに群がるハエ

　NHKでも一部放送されてたが､ある女性キャスターは(性被害を受けたとしても)”必ずしも声を上げる必要はないが・・・”と語っていた。
　これが天下のNHKの発言か？全くのアホ臭な言い分である。　
　人は法の下で平等である(筈だ)。
　被害を受けたら､どんな人でも告発する権利があるし､声を上げるのは義務でもあり権利でもある。しかし､メディアはこうした姓被害の実態を何ら報道する事なく､ここまで放置し続けてきた。これは天下のNHKも例外ではない。
　勿論､喜多川氏は性加害の第一級の容疑者として見るべきだが､メディアもNHKと同様に”必ずしも声を上げる必要はない”と､見て見ぬをふりをした。つまり､共犯とみなされても不思議はない。

　一方で､そんなJ-POPに群がる”ハエ”も問題だが､ハエは腐ったものにしか群がらない。
　そういう意味では､ジャニーズの繰り返されてきた腐敗は､ごく自然の単純な成り行きかもしれない。が､そういうのを報道しない､いや報道しなかった事を正当化しようとするメディアは如何なものか？
　アイドルの多くは所詮は､学のない貧しいスラム上がりの人種である(多分)。しかし､そんな彼らも人間であり､人権を守られる権利がある。同じ様に､事務所側も彼ら彼女らの人権を守る義務がある。
　しかし､故･喜多川氏は彼らを人として扱うでなく､性を満足させる家畜の様に飼いならしていた。
　つまり､”アイドルは法の下でも不平等”なのだろう。そして､それこそがJ-POPの”黒い闇”なのである。

　そういう私もK-POPの闇を知り､韓流アイドルが”法の下で不平等”である事を知り､日本人である事を少しは誇りに思ったもんだ。
　がしかし､”法の下で不平等”という点ではJ-POPの方が(その実態も歴史的に見ても)一枚上手だったのである。
　東京オリンピックといい､プロ野球選手のSEXスキャンダルといい､侍ジャパン戦士の性犯罪といい､そして今回はジャニーズの性加害である。
　政治が腐ると､かつて国民の娯楽を支え続けてきたエンタテイメント業界も腐ってしまう。
　結局､そんな業界もまた､時代の流れという捕食者に呑み込まれ､食い潰され､そして淘汰されるのであろうか。
　つまり､自然の摂理とは人間が思う程に甘くはないのである。

最後に〜J-POPの黒い闇

　東山紀之(56)が21日､メインキャスターを務める｢サンデーLIVE｣(テレ朝)に生出演。ジャニーズ在籍タレントとして､故ジャニー喜多川の性加害問題について､”この件に関しましては､最年長である私が最初に口を開くべきだと思い・・・”と前置きした後､以下の様にコメントした。
　”今回の喜多川氏に対する元Jr.たちの勇気ある告白は真摯に受け止めねばなりません。実際に被害を訴えられてる事は本当に切実で残念でなりません。未成年に与えた心の傷や人生の影響ははかり知れません。
　今回､事務所から再発防止策が出されましたが､我々もどのような未来を迎えるべきなのか､現在在籍しているタレントはどうすべきなのか､告白された皆さんにどう対処すべきなのか､そもそもジャニーズという名前を存続させるべきなのかを含め､外部の方と共に透明性をもってこの問題に取り組んでいかなければならないと思っています。心を痛めた全ての方々､本当に申し訳ありませんでした”(オリコンNews)

　一見真摯に思えるコメントだが､勘違いしてる部分が多々ある(と思う)。
　まず第一の勘違いは､”勇気ある告白”とあるが”当然の告白”と訂正すべきである。次に､”切実で残念で”と遠回しに言ってるが､”明らかに犯罪”である。
　更に､”問題に取り組む”とあるが､まずは故･喜多川容疑者に性加害者としての”罪を明確に認め”させ､前科のある芸能事務所として再出発すべきであろう。
　勿論､この東山が発したコメントは所属弁護士が考えたものだろう。が､こんな責任逃れのコメントを残すくらいなら､”心を痛めた全ての方々､本当に申し訳ありませんでした”とだけシンプルに謝罪し､キャスターを自粛した方が､少なくとも(犠牲者にとってはだが)多少の慰めにはなったであろうか。

　東山も性加害の実態については薄々知っていた筈だ。ただ､芸能界の組織というのは(ジャニーズに限らず)我ら庶民が存在する社会とはかけ離れた､とても怪しい闇の部分があるのも事実である。
　そんな怪しげな組織の中で､被食者となった若者たちだが､”スラムから抜け出したい”という一心で飛び込んだ筈のアイドルという夢の領域。しかしそこには､夢の世界どころか”性を貪る”捕食者が待っていた。

　これから､ジャニーズを含めたJ-POPの隠された黒い闇が次々と暴かれるであろう。やがて､時代を闊歩したJ-POPは淘汰され､アイドルという怪しげな職業も過去のものとなる。
　全ては昭和という平和な時代が生んだ庶民の娯楽ではあるが､我ら庶民が群がり､支えてきたのも事実。
　今回の性(加害)犯罪も､我ら庶民に内在する隠れた欲望なのかもしれない。結局､アイドルは庶民により作り上げられ､庶民の欲望により潰される。
　つまり､性欲という名の地雷がJ-POPを支える基盤になっていたとしたら､これほどの皮肉もないだろう。