1954年、12歳だった少年が愛用の自転車を盗まれた事が全ての始まりだった。
怒りに燃えた少年はボクサーを志し、無敵のチャンピオンとなる。
本名はカシアス・マーセラス・クレイJr(と黒人の名前)だが、イングランドとアイルランドの血も引く。しかし、頂点に君臨したその翌日に”クレイは奴隷の名前だ。キリスト教は白人の宗教だ”として(イスラム教に回想し)モハメド・アリを名乗る様になる。
クレイ少年の頃は”白人にとって都合のいい”黒人だったが、世界王者に君臨した途端、(後にアメリカ白人のジェノサイド<大量殺戮>の標的となる)イスラム教に鞍替えした”白人に都合の悪い”黒人になったのも皮肉ではある。
”人生はボクシングに似ている。問題は倒れる事ではなく、立ち上がろうとしない事だ”
(ホラ吹きアリで知られた)元世界ヘビー級王者モハメド・アリの様々な発言は、世界の分断化やナショナリズムの台頭が懸念される今、アリの言葉が再び注目されている。
対戦相手を挑発し、KOラウンド予告するパフォーマンスなど、スポーツにショーマンシップを取りれたパイオニアであり、アスリートの枠を飛び超えて人種差別や貧困問題と戦い、戦争反対を訴え続けた人類の英雄である。
そのアリがベトナム戦争を徴兵拒否してから50年後の2016年にアリは他界した。
以下、「カシアス・クレイは奴隷の名だ」を一部参考にまとめました。
アメリカとの全面闘争
彼が戦っていたのは、リングの上の相手だけではなかった。
アリはアメリカ合衆国とも対峙した。
1967年、25歳の絶頂期のアリは”オレはベトコンのやつらに文句はない”と言い放つ。
自らの良心に従い、ベトナム戦争の徴兵拒否の立場を貫いた事で有罪判決が下され、ボクサーライセンスとタイトルまで剥奪された。
なぜ?アリは絶望と戦えたのか?
なぜ?絶望に勝ち得たのか?
かつて、黒人は職場や学校、家庭などで不当に扱われていた。オリンピックで金メダルを獲得しても、黒人の権利は主張出来なかった。
つまり、アメリカもオリンピックも所詮は白人が作り上げた虚像であったのだ。
そんな時代の中で、モハメドアリが生まれ育ち、アメリカを敵に回したのは必然でもある。
そんなアリに憧れ、尊敬していたオバマ少年が後にアメリカ大統領に君臨したのは、単なる偶然かもしれない。
しかし、”同性婚を認めた”史上初の大統領としてオバマが評価されるかどうかは、全くの別問題だ。事実、”拒否権しか持ち得なかった”憐れな黒人大統領にとって、同性婚は(単に)票を集める手段だったのだろう。
少なくとも、アリがアメリカ合衆国をいや、リストンやフォアマンを相手に闘ったのに比べれば、オバマがやってきた事はガキの泥かけごっこの様にも思える。
つまり、黒人がアメリカの大統領になるのは、黒人がヘビィ級王者になる事よりも単純な事かもしれない。
アリがアメリカに反旗を翻した翌年のメキシコ五輪(1968)でも、同じ様な事が起きた。
陸上男子200Mの表彰式で、黒人選手2人が黒い拳を突き上げた”ブラックパワーサリュート”(写真)に比べれば、大統領も同性婚も大人の玩具の様なものかもしれない。
人間は”基本的人権”を言い出してから200年以上が経つ。が、いつになったら、その”人権”に到達するのだろう。
戦争は、明らかに(その人権に)違反する行為である。
トミー・スミスとジョン・カルロスが突き上げた2つの黒い拳は(単なる抗議ではなく)、”黒人の黒人による黒人の為の”基本的人権への渇望でもあった筈だ。
しかし、戦争好きのごく一部の白人は、黒人から人権を取り上げ、国家の為の正義の為の、そして国民の為の戦争を捏造し続けた。
かつて、チャーチルやトルーマンやスターリンが第二次世界大戦で戦略的に行った大量破壊行為も、後にブッシュ親子やチェイニーが策謀した戦争も大量殺戮という名の戦争犯罪である。
勿論、今のプーチンによるウクライナ侵攻もナチスのホロコーストと同じく、明白なジェノサイド(大量殺戮)である。
人種を絶滅させるという点では、両者ともに同じ意味で使われる。
そういう意味では、ブッシュ親子の2つの湾岸戦争は、イスラム人種を絶滅させるジェノサイドとも言える。
つまり、ごく一部の白人は白人だけの理想郷を夢見ているのであろうか?
その為には、潰したい国家や民族へ侵攻し、大量殺戮を繰り返すしかない。
”ホラ吹き”アリの本質
モハメド・アリは、戦争がジェノサイド(大量殺戮)に繋がる事を既に危惧していたと思う。
国家を守る為の、いや正義を守る為の戦争が、一部の白人による冷酷で残忍なオモチャになる事を怖れた。
”ホラ吹きアリ”の本質は、ジェノサイドという戦争犯罪に向けられたマシンガンメッセージだったのだ。
もし今にアリが生きていたなら、狂ったプーチンにどんなマシンガンスピーチを投げかけるだろうか?
”核が悪いんじゃなく、狂ったアンタの脳みそが全て悪いんだ”
”撤退する勇気がなければ、何も達成する事は出来ない”
”想像力のない奴に、翼と核は持てない”
”侵攻とは、自らの力で世界を切り開く事を放棄した臆病者の行為だ”
”意志の力は、どんな強力な核の威力よりも更なる強さを与えてくれる”
”何の罪も恨みもないウクライナ人に、核を向ける理由はプーチンにはない”
”70歳になるプーチンが、20歳の時と同じ様に世界を見ていたとしたら、この狂人は人生の50年を無駄にしたという事だ”
”これからのロシアがどうなるのか?その答えはプーチン自身の中にある。つまり破滅しかない”
最後に、アリはトレーニングが大嫌いだった。でも、彼は自分にこう言い聞かせた。
”今は耐えろ。そして、残りの人生をチャンピオン(勝者)として生きろ”と。
この言葉は、今のウクライナの国民に捧げるべき言葉かも知れない。
ほんと偉大なんですよ。
時代のずっと先を読む
戦うだけのチャンピオンじゃなかった。
晩年はダラダラと戦い続けてるイメージが強く可哀想な気もしてましたが
話題は変わって^_^;
大谷も凄かったです。
ルースの地フェンウエイで圧巻の投打大車輪でしたね。
大事とって強打のボストンを避けるかなと思ったんですがどこ吹く風でした。
4シームがよく伸びてたしそれ以上に制球が抜群だったし、新たな大谷の進化形を見た気がします。
でも、戦う本能がそれを許さなかったんでしょうか。
最後までボクサーの人生で通しました。
一方で、大谷ですが^^;
確かに、まだ内股の張りはあるらしく、でも投球には影響なかったみたいですね。
それ以上にテンションが凄かった。フェンウエイではルース以来、103年ぶりの二刀流ですから。
但し、こういう時に怪我や疲労は一気に襲ってくるんですよね。
しかしアメリカが多人種化するにつれ、不都合も多様化する。
第二次世界大戦ではナチスとジャップが
冷戦ではアカの旧ソ連が
冷戦後はイスラムが都合の悪い国家でした。
そして今アメリカにとって、一番都合の悪い国家はアメリカ自身かもしれません。
所詮は、ご都合主義なんですよね。
そういう私も最近は、都合のいいコメントしか受け付けないようになりましたから、大きな声では言えませんが・・・
アメリカはその極致にもあるんですが、自分が自分にとって一番都合の悪い人間である事に気付いた時、これほど悲しい事もないですかね。