象が転んだ

たかがブロク、されどブロク

大麻合法化に見る、”壊れゆく”アメリカの未来と限界”その2”

2019年06月14日 03時52分33秒 | 健康

 前回の”その1”では、大麻合法化のアメリカの実態と現状を述べました。そこで今日は、大麻そのものに焦点を当てていきたいと。そして、アメリカと日本での大麻に対する認識の違いについて進めていきます。
 すでに全面合法化を決めてた州は、アラスカ、ワシントン、オレゴン、コロラドで、3年前の全米での住民投票では、メーン、マサチューセッツ、ネヴァダ、カリフォルニアが娯楽用大麻が合法となった。その後、ニュージャージー州とニューヨーク州、そして今年のイリノイ州で合計11州となった。

 因みに、マリファナについて最も理解があるのは、カリフォルニア州で、医療用合法化の最初もこの州です。
 それに住民投票とは言え、賛成57.13%、反対42.17%。多数決で合法になったとはいえ、半数近くの人々が依然として反対しているのが現状で、他の州も僅かな僅差らしいです。合法化といっても上手く行かないのも肯けます。

 その上、多数決ですから、多勢に無勢で全てを決めたら、不正や犯罪がなくなる筈もない。

自由な精神と薬物の合法化と意識

 合法化州は、北東部のニューイングランド地域や西海岸エリアなど、リベラル派住民の多い都市州に多いのが特徴的だ。
 米国では連邦政府レベルでは、大麻は医療用、嗜好用共に禁止されている。しかし州内での合法化は州政府レベルで決定できる。
 米国での大麻合法化のプロセスは、まず医療用として栽培&使用したいという要望があり、続いて嗜好用の栽培&使用に繋った。

 では、医療用大麻の効用はどの程度立証されているのか?医療用の大麻の使用に関する過去の論文335本をレビューした結論としては、医療用大麻の効果を確実に示す根拠は乏しいとされ、また安全性や副作用に繋がる可能性も指摘する。
 しかしこれに反するかの様に、ギャラップ社が10月に実施した調査によると、大麻に加え、ヘロイン、コカイン、アルコール、たばこなどの問題性に関し、一般市民が危険度が低いとしたのは断トツで大麻。次いで、コカイン、アルコール、タバコ、ヘロインの順だ。

 米国では”マリファナやコカインより、アルコールやタバコの方が社会の危険度が高い”という声が多い。特にソフトドラッグの大麻は、合法化しても良いという声が増えており、今後大麻合法州が増えてく可能性が高い。
 ”大麻は毒物いや劇物”という理解が、アメリカ人には全くないのだろうか。薬物の専門家はダメだと言ってるのにです。 
 以上、「Sustainable Japan」からでした。

そもそも大麻とは何か?

 大麻とはアメリカ人が思う程に安全な薬物なのか?日本人が思うほど恐れる必要はないのか?今に始まった事ではないが、この所また大麻所持や使用で、芸能人やその家族が逮捕され、ニュースやワイドショーを賑わせてる。
 そもそも大麻とは、アサ科の植物で大麻草の事。マリファナは葉を乾燥させたもので、タバコのようにして吸煙し、一方で樹脂化されたものはハシシと呼ばれる。
 大麻に含まれる”有効成分”は、テトラヒドロカンナビノール(THC)と呼ばれる物質で、これが脳内のカンナビノイド受容体に結合し、幻覚作用や多幸感をもたらす。

 そんな大麻だが、意外にも日本の神道とは切り離せない関係にあり、古くから神事に用いられてきた。その薬理作用ゆえか、古来大麻は神の宿る神聖な植物であるとして注連縄に用いられたり、その繊維を用いて布を織り、神々に献上されたりしていた。
 この様に、我々日本人の歴史や文化と古い繋りのある大麻だが、現在は「大麻取締法」で厳しく規制されている。つまり、神様だけが使用を許される薬物なのだ。

世界中で禁止薬物でもある大麻が何故?

 また国連の「麻薬単一条約」によっても規制薬物とされてる。この条約には国連加盟国のほぼ全てが批准してる。この条約が規制するのは、アヘンやコカインや大麻などの主として”植物由来”の古典的な薬物である。
 一方、覚醒剤やLSDなどの化学的な合成薬物は、”向精神薬条約”により規制される。こちらも殆ど全ての国連加盟国が批准しており、これらをまとめて「国連薬物2条約」という。
 つまり、つい最近まで国連条約に則り、大麻は世界中のほぼ全ての国で違法薬物であった訳だ。

 しかし、南米ウルグアイが2013年に世界で初めて大麻を合法化した。これは、”世界で一番貧しい大統領”として、日本でも有名になったムヒカ前大統領の政策である。
 彼は大麻を合法化する事で、ブラックマーケットを解体し、犯罪組織の弱体化を狙ったのだが。

 これに次いで、アメリカの11州とカナダも大麻の完全合法化に踏み切った。今時点で大麻が完全合法化されてるのは、この3国のみである。

 一方、オランダは古くから大麻を”合法化”してるとの誤解があるが、勿論大麻は違法薬物である。あくまで法律上では違法であり、”合法化”はしていない。 しかし、ヨーロッパ諸国では、薬物使用の”非刑罰化”と”非犯罪化”が進む。
 つまり、違法ではあるが取締りをしない、刑罰を与えない”との事だ。故に、実質の完全合法化ではある。一方、密造や密売はどの国でも重罪である。


大麻と脳に対する悪影響と

 それは大麻の依存性や毒性ゆえだ。特に最近の大麻は”品種改良”により、THCの含有量が増えてるものがあり、危険性が高い。
 その大麻に関しては、”タバコやアルコールより害が少ない”という誤解も広まってるが、タバコ自体が害の大きな依存性薬物で毒物でもあるので、比べる事自体がナンセンスだ。作用も害も異なるものを比べ、害が大きい小さいと言っても意味がない。更にお酒はある種、嗜好品とも言える。故に、薬物とは別に扱うべきだろう。
 テニスと代数学どちらが大きいかという比較に、意味がないのと同じである。

 大麻を吸いたがるアメリカ人は、”タバコがよくて、タバコよりも身体に害の少ない大麻が何故ダメなんだ”と言う。
 でもよーく考えてほしい。確かに、”首から下の”身体に悪いのは明らかにタバコである。ニコチンは殺虫剤の主成分だし、タールはあのネバネバしたヤニである。その他、身体に有害な化学成分が沢山含まれる。

 しかし、脳に関しては大麻の方がずっと有害だ。その代表的なものが”無気力症候群”。故に、大麻中毒者は結果的に”社会的な追放者”となる。
 私が前回で述べた、大麻合法化による”国民のの奴隷化”とはこの事だ。同じ事考える人は何処にでもいる。

 心理学士のヴァレーリョ•ナエラによれば、この無気力症候群では4つの段階を経験する。最初は多幸感という空想。次に衝動的な幻覚。空想が幻覚に変わる時、とても感情的になる。その後が至福感で欲望も恐怖もない状態。そして最後に眠気を感じる様になる。
 この眠気と気怠さという”機能不能状態”を招くのだ。

 世界保健機構(WHO)が説明する大麻の害としては、深刻な酩酊状態に陥ると、パラノイアや妄想や幻覚、離人症に精神錯乱に混乱、動揺と不安症などを起こす。息切れや暴力的に興奮し、奇妙な考えを起こす。又これらの症状は、大麻の有効成分であるTHCの濃度によっても異なる。
 つまり、大麻の脳へ悪影響は深刻な人格破壊を引き起こす。大麻の害がタバコやアルコールの害と次元が異なるのは、つまりこういう事である。 


アメリカの薬物に対する意識と認識

 大麻は世界中で最も多く乱用(愛用?)されている薬物だ。世界中で1億5千万人の大麻使用者がいて、世界人口の2.5%に当たる。これはコカインやヘロインなど、ハードドラッグ使用者の10倍を超える。
 アメリカの統計では、大麻合法化前ですら400万人近い人がほぼ毎日大麻を使用していると回答し、生涯経験率は4割を超える。
 つまり、日本の全人口とほぼ同数だ。オバマ前大統領も大麻使用歴を告白してたな。今回の大麻合法化に伴い、アメリカの大麻使用者は今後一層増加するだろう。

 一方、日本は世界でも珍しく大麻使用者が少ない国であり、大麻と覚醒剤合わせても、生涯経験者は300万人ほど。逮捕者もハードドラッグの覚醒剤が毎年1万5千人程に対し、大麻は3千人弱である。アメリカとは全く逆の結果である。

 かつて、これを国際学会で発表した時、会場から”信じられない。嘘をついているか、統計がおかしいのか”と言われた。しかし、何と言われようと日本のこの状況は世界に誇るべきものである。
 日本が如何にして、薬物乱用の抑制に成功しているかを、世界は今こそ日本から学ぶべきである。そうしないと手遅れになってからでは遅すぎる。

医療用大麻の是非

 勿論、大麻は害だけでなく、確かな益もある。例えば、大麻製剤は末期がんの疼痛などを抑制する作用がある。また、難病である多発性硬化症やクローン病、HIV感染症などへの様々な効果も報告されてる。
 モルヒネも同じ様な規制薬物であるが、日本では癌の疼痛の緩和などに用いられる。日本では医療目的であっても、大麻の使用が法的に許されていないからだ。

 しかし、大麻製剤はモルヒネでは効果が得られないタイプのがん性疼痛に効果を発揮する。日本人が麻薬に対して厳しい態度を持っている事は、世界に誇るべきものだが、度が過ぎると弊害も出る。
 がん性疼痛の苦しみと痛みは、人間の尊厳までも破壊する。故に、遊び目的の大麻と末期がん患者の苦しみを開放する大麻とは分けて考えるべきだろう。

 自分や自分の家族が末期がんに侵され、モルヒネでも取れない壮絶な痛みに苦しんでいる時、禁じられた薬(大麻)でも手に入れたいというのは、人間として当前の心情である。誰に迷惑をかける訳でもない。しかし、日本は時代遅れの悪法を盾にし、それを絶対に許さない。
 大麻で捕まる人達の動機は様々である。
 ”単なる好奇心から”という人もいれば、”歯が痛かった”という人もいる。幻覚作用に頼り、”音楽や芸術のインスピを得たかった”という人もいる。
 しかし、歯が痛いなら鎮痛剤を飲むか歯医者に行けばいいし、大麻を用いなければ芸術的インスピが得られないなら、単に才能がないという事だ。

患者の権利と人間の尊厳

 こうした”遊び目的”の使用と、”医療目的”の使用とを厳密に区別した上で、国は時代遅れの「大麻取締法」の改正を真剣に考えるべきだ。
 遊び目的も含め、大麻を合法化してるのは世界で3ヵ国だけだ。たが、確実な証拠が積み上げられてるのと呼応し、医療用大麻の使用を認める国はヨーロッパを中心に増加してる。
 そのヨーロッパで医療用大麻が認められてる国は17ヵ国にも上る(2018年2月時点)。アメリカでも遊び目的での合法化に至るのは11州に対し、医療目的の使用が認められてるのは30州(33州)にも及ぶ。

 日本では癌で死亡する人が年間36万人を超え、3人に1人が癌で亡くなる時代。せめて人間らしく尊厳を持って死にたいという願いは、今や切実で現実的な願いだろう。
 日本人が古の時代から神に捧げてきた不思議な力を持つ大麻が、その願いを叶える力を持つのなら、まさにそれは神からの”授かり”ではないだろうか。
 以上、「現代IsMedia」から抜粋でした。

”壊れゆく”アメリカ

 大麻合法化の色んな資料を読んで気付いた事だが。欧米のリベラル派を中心に、あまりにも薬物に関する知識と理解が浅すぎると感じる。彼らは単に、THC濃度の高い合成大麻を安く安全に手に入れ、ハイになりたいだけなのだろうか。
 そういう私は薬物経験者でもないし、薬物で痛い目にあった訳でも犯罪を犯した訳でもない。しかし、薬物の種類や脳に及ぼす悪影響は少なくとも理解してるつもりだ。

 ”サイコパス”ブログを書いてる内に、脳内モルヒネと薬物の密接な関係を知り、思ってた以上に大麻が危険な毒物いや”劇物”という事が分かった。
 娯楽用大麻の合法化を支持するリベラルな連中は、大麻をソフトドラッグと考え、タバコやアルコールよりも身体に良い決めつけてるのには驚かされる。
 タバコやアルコールが”身体によくない”という次元と、薬物が”脳に悪影響を及ぼす”という次元を一緒にしている。丁度、推理小説を解く難しさとリーマン仮説を解く難しさを一緒にしてる様なもんだろう。

 現状としては、”ハイになった”合法推進家の勢いに、”健全な”慎重派が押されてる結果となってる。しかし、人の身体はいや脳みそは正直だ。あのコロラドでさえ、様々な深刻な弊害が出始めてる。サンディアゴもカリフォルニアも同様だ。
 医療用大麻においても、大量生産されすぎてTHCの効力が落ちてるという声もある。依然として、THC効力が高い”上物”は高価な密輸に頼らざるを得ないという、笑えない現象が起きてるのだ。

 結局、マリファナ推進派はより幻想作用の高い薬物を求め、最後には覚醒剤に手を染め、重犯罪に手を染める事になるだろう。それこそ薬物という希望は幻想に変わり、未来は崩壊に繋がる。
 その時現実は妄想に変り、人類は壊れるのか。 アメリカと戦争が切り離せない様に、これでアメリカと薬物も切り離せなくなった。
 つまり、薬物こそがアメリカの限界であり、”壊れゆく”アメリカの自由がもたらした悪の象徴となるであろう。



10 コメント

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結局、大麻が吸いたいだけ (hitman)
2019-06-14 06:25:44
結局ね、煙草と同じで単に強い大麻を吸いたいだけなんだな。

俺の周りにも結構なヘビースモーカーがいるけど。タバコの害について殆ど知らないの。これが悲しいくらいに。小学生でも知ってそうな事知らないの。

だから、ガッポガッポ吸えるのね。バカと中毒者は叩いても治らんとはこの事だね。

転んださんのこの記事を読んでも、薬物乱用者は全くの馬耳東風だろうよ。実質二人に一人は大麻吸ってんだから、多数決で勝つのは目に見えてる。

大麻合法化というイカダマなのよ。
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hitmanさんへ (lemonwater2017)
2019-06-14 07:23:42
そうなんだよね。
結局吸いたいだけ。SEXしてる最中にエイズの事考えないのと同じかな。

欲望には勝てないんだね、人類は。

特に中毒性の欲望はね。多幸感→幻覚→至福感→無力感。この中毒フルコースには勝てっこない。
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象転さんへ。 (テレビとうさん)
2019-06-14 11:36:52
「合成大麻を安く安全に手に入れ、ハイになりたいだけなのか?」

大麻は精神安定効果があるとされていて、「ハイ」ではなく「ロー」になると思います。
日本人は元来一般的に「おとなしい、ローな性格」なので大麻の薬効がなくても、感情を抑えられる人種だと思います。
一方白人は「乱暴で、ハイな性格」なので、感情を抑え気を静める為には、大麻が必要なのかもしれません。
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安全性? (199)
2019-06-14 12:56:16
危険性としては、脳細胞が死滅する確率が高く長く使用していると、認知症になります。

諸外国では許可されている国もありますが、安全性が確認されたのではなく、税制上の問題が大きい。それに日本は煙草に多額の税金を取っております。それでもスモーカーは金を払い、殺虫剤=ニコチンを吸うんです。

同じ様に、THC濃度の高い濃縮大麻は非常に高価で、自宅で作るには危険過ぎる。それで密輸や密造に頼る。

結局は、殺人犯が捕まるまで殺人を繰り返すのと同じ事です。犯罪も捕まらなければ合法ですから。
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TVとうさん (lemonwater2017)
2019-06-15 01:00:54
言ってる事が???

でもコメントどうもです。
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199さんへ (lemonwater2017)
2019-06-15 01:05:26
大麻に関してはアメリカでも真っ二つに意見が分かれますね。
199さん言われるように、税収の為なら犯罪も戦争をも合法の国ですから、仕方ないですかね。結局吸う奴が馬鹿なんですが。

でも日本で大麻肯定論が強いのは、映画の影響が大きいんですかね。全く悲しい限りです。
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壊れゆくアメリカ (paulkuroneko)
2019-10-19 02:56:51
先月の事ですがアメリカの医薬品大手のパーデューファーマが経営破綻しました。オピオイドと呼ばれる鎮痛剤の過剰摂取などにより年間5万人の死者が出て和解金は何と1兆円を超えます。

薬物の過剰摂取による死亡者の増大の件は、転んだサンの精神薬のブログでも書かれてましたね。まさに大麻合法化の黒い影がここに来てハッキリとした形で露呈したんです。

薬物は脳を確実に腐らし薬物社会アメリカを確実に壊します。転んだサンのこのブログでの警鐘がそのまま現実のものとなりましたね。
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paulさんへ (象が転んだ)
2019-10-19 04:50:45
ある程度は予想されてた事なんですが、薬物の功罪を企業が隠してたんですね。故に効き目がある薬が如何に危険なものか。

日本でも軽い気持ちで薬物に手を出すのがいますが。薬物が脳を腐らすという基本的な事を理解してないんでしょうね。自業自得と言えばそれまでですが。
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薬物に手を染める奴って (Unknown)
2019-11-11 16:41:38
脳が腐れると解っていながら、
ハイになれるという理由だけで
薬物に依存するバカ
こういったバカが薬物で淘汰されれば
薬物にとってこれ程嬉しい事はない
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Unknownさん (象が転んだ)
2019-11-11 22:08:52
薬物に染まる人間よりも、薬物を投与する医者の方がずっと愚かでアホですね。

薬物で安易に病気を治そうとするバカな医者に、やはり病気は治せない。
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