新型ゲーム機に群がる男たち

　ソニー(SIE)の新型ゲーム機PS5の発売日と価格が発表された。
　2カ月後という11月12日という発売日に､翌朝の予約受付日､税抜き4万9980円という価格は､驚きを持って受け入れられた。

　予約を開始したのはアマゾンなどごく一部に限られ､いずれも予約が殺到。程なく40万円以上のプレミア価格で出品され､ソニーが謝罪する事態となった。
　高スペックにも拘らず､5万円を切る手ごろな価格は､SNS上でも大いに反響を呼んだ。が同時に“争奪戦”を予想する声も既に上がってはいた。
　しかし実際は､そんな予想をもはるかに上回る激しい“争奪戦”が展開された。
　先着予約をスタートさせたのがアマゾン等ごく僅かだけだったからで､そのアマゾンも受付け開始から10分足らずで予約を締め切り､その数時間後には20万円以上の値で販売され､やがて40万円以上の価格になった。
　故に､殆どの法人が先着予約ではなく､抽選販売を決めた。

　ソニー(SIE)は､予約の混乱について”もっとスムーズにできた筈だ”と謝罪。
　現在では高額出品は削除され､抽選販売の法人には購入実績あるアカウントだけがエントリーできる様にするなど､“転売ヤー”対策を取ってる所もある。
　因みに､抽選受付を行ったヨドバシ.comの倍率は通常本体が30倍以上､デジタル版が70倍以上と､相当な強運を要する倍率になっている。
　以上､Gooニュースからでした。

なぜ？今更､ゲーム機に群がるのか

　何故人類はいや日本人は､新しいモノに群がるのだろうか？それも経験上､混乱すると解りきってるのにだ。
　ウンチにハエが群がるのは”本能”である。しかし､人がモノに群がるのは､単なる”物欲”である。
　コロナ渦の全盛時には､誰もがマスクや消毒液に､そして納豆にまで群がった。更に転売屋も待ってましたと群がる。価格は高騰し､品薄でパニックに繋がった。
　こうした経験をした直後だけに､メーカーも法人も転売屋も一般ユーザーも､少しは考えてほしかった。
　脊椎反射系行動は､何時の時代もパニックを引き起こす。故に､脊椎のないハエが賢く思えるのは､私だけだろうか。

　過去にも､新型ゲーム機の発売になると､決まった様に計った様に大混乱が起きた。
　PSからPS4まで､その全てで大行列ができ､多くの人たちが本体を手にして狂喜乱舞し､”物売るレベルじゃないぞ”と揶揄された。
　しかし､転売屋はここぞとばかり価格を急騰させ､浮かれた大衆は法外な値段で買わされる。
　つまり､転売屋が買い占める事で品薄になり､それを更に転売屋が群がるという仕組みだ。

　こんな幼稚で単純な仕組みはコロナ渦でも証明されたし､過去の経験からも分かり切った事である。
　ソニーはこうした転売屋を排除する為に､PS5の事前予約販売を有料のプラス会員を優先すると噂されていた。
　大量にPS5を手に入れたい転売屋がプラス会員になる可能性は低く､複数のアカウントを用意するのは面倒だ。しかし､玩具店や量販店でPS5が販売される限り､転売屋が群がるのは避けられない。
　しかし実際には､このザマだ。ソニーは今回も何ら対策は打たなかった。いや打てなかった？

虚像に群がるハエたち？

　転売屋が悪いのか？ソニーが悪いのか？法人が悪いのか？それとも､ユーザーには全く責任がないと言えるのか？
　新商品が登場し､ユーザーが条件反射的にすぐに飛び付けば､転売屋の思うつぼである。
　ソニーも法人も､誰に売ろうが金になればそれでいい。ユーザーが犠牲になろうが､知ったこっちゃない。
　故に､転売屋が蔓延る現状を殆ど無視したまま､ソニーも法人も販売を続けてきた。言い過ぎかもだが､そう思われても仕方がない。

　一方で､そういう事が判りきってるユーザーも､毎回毎回同じ様な行動を取る。
　長い長蛇の列を見ると群がりたくなる群衆心理的行動には､罪はないのだろうか？
　ウンチに群がるハエは､その群がるハエに更に群がるだろうか？
　
　こうした群がるハエを排除するには､群衆心理という脊椎反射的思考を､一度フォーマットする必要がある。ソニーも法人も宣伝や販売方法を考え直す必要がある。
　それに､ゲーム機やスマホを娯楽の中心に据えるべきではない。

　娯楽とは本来､人と人とのアナログな触れ合いの中で生まれるもんだ。
　そういう私も､PCゲームにのめり込んだ時期がある。しかし､子供の頃にネズミの様にボールを追いかけ､走り回ってた生身の娯楽と比べると､雲泥の差がある。
　身体全体で五感を全て駆使して感じる娯楽は､ゲーム機の比じゃない筈だ。

　ゲーム機なんて所詮は､虚像の玉手箱であり､ゲームは虚像の娯楽である。
　高スペックというだけで群がるのは､ウンチに群がるハエよりもタチが悪いと思うのだが。
　いや､そういう私が間違ってるのだろうか？