読みやすくて時間がかからなかったので二冊読んだ。
「カラーひよことコーヒー豆」小川洋子 小学館
女性誌の連載エッセイをまとめたもので短く読みやすい。
日常雑感というものがおおいが、最後の書き下ろしの部分がいい。
ふんわりと優しい暖かい話に包まれる。
一番感動した映画は「ソフィーの選択」だそうで、作家志望のスティンゴの苦悩も、同じ作家から見れば、書くことは尊く、作品は美しい祝福に値するという。ソフィーに囚われてこの映画を見た私は、作家はこういう見方もするのかと思った。
「届かなかった手紙」書こう書こうと思いながら時を逸した、とどかなかった手紙は沼に落ちる。消えてしまうのではない。
詳しく書けば字数が足りないが、いつも書かなかった手紙を心の沼に沈め続けている私には福音だった。
日常の出来事が暖かく綴られている。
★3.5
「100回泣くこと」中村航 小学館
最近、書店に並んでいる、読みやすく、昔のジュニア小説の流れのよう作品、これが中村航の青春小説で、この本もそうなのか、と思った。
長く飼っていた愛犬が年老いて死んでいく。
見舞いに行くのに古いバイクを直して同行してくれる彼女とは、一年間の「練習結婚」をすることにする。
そして二つの死を見ることになる。
日常の中で必ず出会わなければならない死がどんなに悲しく、苦しいものか、別かれていく苦しみにどうして耐えるのか。
読めば、胸が詰まる。だが、難しい言葉でなくてもいい、人生の底はもっと深く、道はバイクで走りすぎるものではなく、重い日々を超えていくこと、そんなことを書き込んで欲しかった。
★3