空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

「アンガーマネジメント」 安東俊介 大和出版

2015-03-31 | 読書


テレビで取り上げていたので、短気な私にはに役に立つだろうと思った。
以前「たたかわない生き方」と言う本が役に立った。特に最後に「無理なら逃げろ」と言うのは実践しやすいというので今でも心がけている。
この本のはじめに「誰でも出来る、できることが成功の近道です」と言うのが何か宗教的で気になった。
目次だけでもと開いてみた。

「カチン!」「ムカッ!」ときたらこのテクニック 
最後の
「怒って出ていく」にもコツがある(これ気に入った)

 いろいろ実践してそれでもダメな場合の緊急対処法

退却戦略としてのタイムアウト

 怒りに任せて退却するのではなく、自分で選択してその場を退却すること(ムリなら逃げろに似ている)

記録することはパス、思い出したくもない、残したくない(実行できない)

だが ストレスを4つに分類する
1.「重要」かつ「自分で変えられる」
2.「重要」かつ「自分で変られない」
3.「重要でない」かつ「自分で変られる」
4.「重要でない」かつ「自分で変えられない」

自然にこの解決法は選択しているかもしれないが、言葉にすると何か実行出来そうに思える。2つ覚えればいいし。

また「受け入れる」ことは「あきらめる」ことではない
「受け入れる」とは「思い通りにならないことを知る」「あきらめる」と不満が残ることがある。ナルホド。

過去にとらわれない視点を持つ。トリガー(引き鉄、切っ掛け)思考

バカにされた。利用された。無視された。認めてもらえない。誰も話を来てくれない。なめられた。感謝されてない。喜ばれてない。見下された。顔に泥を塗られた。はじをかかされた。誰も気にかけてくれない。だまされた。裏切られた。ないがしろにされた。傷つけられた。思い通りに行かない。容姿のこと。人種差別、男女差別 etc
同じことは繰り返されることはない。(いや有ると思うけど、同じ人は同じパターンが得意)

昨年から夫に怒っている、ロウバイの「枝」を切ると言ったので信用していたら「幹」から切ったということは、「ないがしろにされた」「傷つけられた」に当たるのかな?
そう、切った幹は生えてこない 見るたびに何したのと思うが、「諦めない」で「受け入れる」のがいいのかな。来年はまた咲くでしょう。


言葉言い方しだいで変わるということは
 怒っていても態度に出さなければ解らない(これは難しいが練習しだいで出来るかな)
 
言ってはいけない、言葉・表現のツボ
 「絶対」「必ず」「いつも」
 決め付けてレッテルを貼る
 大げさに言う
 「べき」と言う言葉を押し付ける
 むやみやたらと責める
 

外では出来ても家庭の中ではできていないことが多い。せめてこれくらいでも覚えていたら、家庭円満、時間の無駄にはならないかな。

一冊の中では随分延べているが、無駄な試みも多い。と言う程度の内容だった。




 



 


 







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「白頭の人」 冨樫倫太郎 潮出版社

2015-03-31 | 読書


信長が浅井・朝倉を破り破竹の勢いで天下を掴みかけていた頃、秀吉が木下から羽柴に改姓した頃、平馬(大谷行部)は16歳、佐吉(石田三成)は15歳だった。
平馬の話はそこから始まり、関が原で破れ、42歳で亡くなるまで、前後およそ30年間の物語りだった。
滅多に見ない大河ドラマで(何だったか)黒頭巾(ドラマは黒頭巾だった)の重役を見たことがある、大物俳優が演じていた。あぁこの人だったのか、大谷行部、少しだが名前に覚えがあった。

平馬は秀吉の命を受けて西の草刈家に朱印状を届ける使者になった、だが小早川隆景のいる毛利軍に捉えられ土牢に入れられる。そこで病に罹りその後の平馬の悲運が始まる。
清洲会議、光秀と戦った山崎の合戦、高松城の水攻め。秀吉の世になってからの戦いの歴史は、諸国の諸大名の命運存亡をかけた戦いで、そこを見据えながら駆け引きが面白い。
史実を織り交ぜ、秀吉に仕える平馬の真情、佐吉(石田三成)が秀でた頭脳を持ちながら、自信家で直情径行、人望が薄い、そこを幼馴染の平馬が補佐しながら友情を保つ話。妻子を思う心など、読者の読みどころを掴んでいるのは面白い。

大雑把な歴史を辿り、小競り合いや正面切っての戦いの原因結果を知ることが出来る、が何しろあっさりすぎる。
泣かせどころはここですという作為も見える。
平馬を主に据えたことで、彼の忠臣としての命がけの働きも、進行する病気の様子も、肩入れしないではいられない、気持ちがかき立てられる。それはいい、だが、ページ数の関係か、賤ヶ岳の戦いも個人的に面白い上田城の戦いも昌幸の作戦勝、というように通り過ぎていく。周りの武将の有名どころも東西に分かれ、東軍についたものはその後生き残って、家康に盛り立てられるが、人情がらみで平馬のように一生を終わるものも多い、個々のエピソードも余りない。少し味気ない。
関が原の大きな山場、ここで平馬が死ぬというとき、悲痛な妻子との別れは泣かせる、が戦いの渦中は、布陣にも少し触れているが、いつ小早川軍が家康援護に駆け下りてくるか、この勝敗が決した謀反の話も、歴史の事実の前では後追いでしかなく、緊迫感がない。

平馬の死後、冬の陣、夏の陣も数行で終わり、贔屓の源次郎(幸村)もあっさり天王寺で討ち死。
平馬の妻(香瑠)を訪ねる黒田官兵衛(如水)のシーンで終わる。

歴史的な戦いの流れが大雑把につかめた。エピソードも納得した。そんな意味で言うなら面白かった。

この出版社の姿勢を疑った最大の原因は「洞ヶ峠」に「どうがとうげ」と振り仮名があったことで、もうがっかり。

登場する武将の逸話などはまた別の機会に読んでみたい、評判のいいこの作者の「軍配シリーズ」を読むことにする。積んである予定の本からそれていく読書コースは、こうして広がって収集がつかなくなっていく。

 
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「プライド」 真山仁 新潮文庫

2015-03-22 | 読書


買ってあったのに読むのが遅くなった。表題の「プライド」は2008年初出。フィクションだが日本の現実を踏まえた貴重な取材がデータになっている。だが現状は殆どが変化がなく続いていることに考えさせられた。
「プライド」は人を高めもするが崩壊もさせる。7編の主人公たちの前向きの矜持に励まされる部分が大いにあった。
自分は余り関わりのないと思っているところが、知らない、気づかないだけで大きな影響を受けていることを知る。
真山さんの本を読むのは、こういったまっすぐな、直球ど真ん中という作品に触れることが出来るから。長く読んでなかったその後の作品を辿ってみたい。

一俵の重み
現在の農政について。食料自給率、農産物輸出支援基金、農業者個別所得保障制度などの言葉が飛び交う。
冒頭は当時拍手喝采で迎えられた”必殺仕分け人”が農水省の出した三件の基金を切り捨てるかどうかの場面から始まる。「却下!!」と叫ぶ美人議員を、純正ジュースで篭絡しようとすることから始まる、あの手この手。
米博士の米野が日本の米を巡って開陳する理論は、米を主食にし、米好きの私には胸に応えた。
「食料自給率が40%を割り込みそうな今、輸出と言う発想が理解できませんか」
「食料自給率はカロリーベースなんです」
「輸入をやめると、食料自給率は100%になるわけです。にもかかわらず多くの国民は飢えるでしょうね」
「小麦の世界標準の価格は、トン当たり約200ドルです。それが、日本は1200ドル以上します。名物の讃岐うどんの原料の大半は輸入品です。地元産の小麦より上質だからです」
「なぜ米を輸出するための基金が必要かと言うことです」
「本当の意味で、この国の食料がなくなるかも知れないという時に備えるためですよ」
「輸出できるほどの良質な米を大量生産すれば、不測の事態にも備えることが出来ます。つまり、食料安全保障問題も解決するわけです。たとえ輸入がとまったとしても、輸出用の米を国内に回せばいいわけですから。しかも供給過剰問題も一挙解決することになる」
「日本の農業とは何を指すのです」
「日本の農業就業人口は260万人です。しかも、実質農業だけで生計を立てている主業農家は諸説ありますがそのうちせいぜい2割、58万人農家です」
「戸別保障は、買い取り価格の下落で赤字に悩む農家を救う制度なんですよ」
「大臣、なぜ兼業農家にまで赤字分を支払うのです。しかも、現状では減反している農家にも支給を予定されているとか。これはコメを作らない連中を奨励する。こんなことをしていたら、真面目にコメを作る者なんてあっという間にいなくなってしまいます」
農水省は、年間予算三兆円を守り続けている。省内には予算死守こそ農水官僚の使命だというものまでいる。
「大臣は、米一俵の重さがいくらかご存知ですか」
「60キロです。その値段がどんどん安くなっている。何故なら供給過剰だからです。だから減反しろという。それは間違っている。片手間で米を作っている農家への保護をやめるべきなんです」

そういう意気で米村は処世術などどこ吹く風、怖いものなしの意見をぶつけ、研究中に生み出した最高級の米をのびのびと育てることを楽しみにしている。

医は……
脳外科を学んだかつての同僚は順調に昇進し、脳外科センター長に就任した。教授が買って出た派手な手術パフォーマンスが失敗した、助手だった私は左遷され退職してアメリカに留学した。そこで先進手術を学びトップクラスに数えられるようになった。センター入所を条件に呼び戻され、教授の椅子も約束された、しかしそれは裏があるのではないか、徐々に現れる医学者の真実。

絹の道(ドウ)
絶滅の危機に瀕した養蚕業を政府が保護する動きがある。養蚕・絹産業連携の事業には補助金が出るという。
そこに養蚕研究者の女性が現れる。放置されている桑畑の葉に惹かれたのだという。地主の青年は役所で、地元産業の発展を担当していた。彼は一途な女性や、昔を懐かしんで手伝おうという人たちとともに、養蚕業に手を貸し、美しい日本の絹を作り出そうとする。
原種に近い蚕をふやして、深い美しい絹を作ろうという道(どう)と呼ぶにふさわしい工程が描かれている。
「500頭よ。蚕は家畜だから、匹じゃなくて頭で数えるの」
養蚕の歴史、蚕の成長、野球少年だった主人公が次第に養蚕にめざめ村おこしにも役立てる仕事に生きがいを見出す、二人の再生物語にもなっている。

プライド
プディングで起業し今では食品企業の第一線を走る工場で、問題が起きた。
材料の牛乳に問題があるという内部告発があった。
柳沢は以前コスト削減のために、賞味期限ぎりぎりの牛乳を安い値で仕入れている事実の改善を求めたことがある、お前ではないのか
「潔白を証明する根拠を出せ」
「告発文には誤った表現があります。
そこには、”消費期限切れの牛乳”とあります。消費期限とは生物や劣化の早い食品にだけ定められて期限であり、わが社の超高温殺菌牛乳は、その対象外です」
本来は”賞味期限切れ”と書かなくてはならないのだ。
この告発文の一語から、会社の起源当時から創業者が伝えてきた理念、精神など、利益の前で忘れそうになるアメリカ式受益産業経営の実態にまで話は及び、個人のプライド、魂が輝く感動的な話になっている。

暴言大臣
言いたい放題の質疑応答で、顰蹙を買った大臣には、それを言い放つ根拠があった。結婚五十年、できる妻を持った大臣のいまだに甘甘な夫婦生活が微笑ましい。病身を帰り見ずに、夫を助けるために中国外交に出かける妻の覚悟。それは……。

ミツバチが消えた日
報道写真家は養蜂家になった。戦場を写すことに無力感を覚えたからだった。
ある日近隣の養蜂仲間から緊急連絡が来た。「ミツバチが疾走してもどらない」
セイヨウミツバチが主流なのだが、ニホンミツバチを育てているうちのは大丈夫だろうか。
欧米でも同じ例が出ているという。
原因は何か。
すに近くまで戻って見た。死んでいくミツバチに悲しみが増幅される。

ーー働き蜂のミッションは卵を産み続ける女王蜂を、命をなげうって守ることだ。その女王蜂を見捨てて、ほぼすべての働き蜂が消えるなどと言うのはどう考えても異常だ。ーー

いないいない病と名づけたこの現象は農薬の「バツグン」のせいではないのか。
豪農の力の前でことなかれで済ますのか。
結論が出ないまま話は終わるが、言えない現状が良くわかる、危機感が募る。

なおこの話は長編「黙示」でも取り上げているそうで、読みたいと思う。

歴史的瞬間
だれでも、一度は閣僚に名を連ね出来ればトップになって名を残したい。彼はついに総理大臣になった、北から絶え間なく飛んでくるミサイル、「迎撃せよ」と叫ぼうとして死んだ。
在職中に脳卒中でなくなった総理は。

300ページちょっとの短編集はすぐに読めるが、内容は豊かで鋭い、勉強になった。
関心があれば一読を強くお勧めする。

 
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伏見の城南宮の庭 2015.3.8

2015-03-19 | 山野草

しだれ梅が満開で、椿も咲き始めていました。

近くにある天皇陵にも寄るつもりでしたが、カメラが故障してしまって、行けなくなりました。
車なら近いのでまた折を見て訊ねようと思っています


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桜の盆栽

2015-03-19 | 山野草




http://blog.goo.ne.jp/photo/331047?fm=entry_s
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「忘れ物が届きます」 大崎梢 光文社

2015-03-18 | 読書


面倒なミステリ、本格と呼ばれるような込み入ったトリックが好きなら、この本に収められている5つの短編のテーマはそう難しいものではない。それよりも後になって思い当たったり、事件の解決後に隠されていた真実が胸を打つものだったりする。女性らしい文章が優しく気持良かった

沙羅の実
今ではサラといっても沙羅双樹と間違える人がないくらい知られるようになった。夏椿というれっきとした名前があっても、なぜかサラと言う音の響きが白い花に似合って、殆どの人がサラの木、サラの花と呼ぶ。
その実にまつわる話。
不動産の営業マンが話を詰めにきた。もう既に気心も知れて親しくなっていたところに、父親が帰ってきた。雑談中に、父親が昔勤めた学校に彼が居たことに気がつく、父親は担任ではなかったがその時起きた事件を思い出す。
そして父親は彼を散歩に誘い、心にわだかまっていた話をする。その事件に関係した彼は、今まで大きな心の荷を背負ってきたのではないか、と父は話す。そしてストラップの先についていた、荷物の塊のような椿の実を預かる。
父が気づく切っ掛けになった真実は、椿の実とともに彼の手を離れた。
誰も気づかないかも知れない隠れたある奇遇とともに。


君の歌
卒業式が済んだ後、余り親しくなかった同じクラスの高崎から声がかかった。彼は駅までの道々、昔の思い出話を始める。それは今のモテ男からは思いも寄らない打ち開け話だった。なかなかいい結末。


雪の糸
スマックのカウンターを挟んで、別れるという得意客の二人の話を聞いているパートの女性、その話の中に紛れ込んだ桜と、降っていた花びらのような雪のはなし。そこから、ある事件の陰が見えてくる。美しい背景に溶け込んだ一人の男の姿が、ほっとした結末に描かれている。

おとなりの
ひらがなの題名のようにほのぼのとした話。
同じ分譲地内で殺人事件が起こった、泥棒の居直り殺人だったが、運よく通りかかった老人の証言で犯人が捕まった。
だがその時刻に息子が通りかかって、警察の尋問を受けた。だがお隣の奥さんが、息子のアリバイを証言してくれて疑いが晴れた。
風で学校を休んでいた息子がなぜ事件のあった時刻にその家の側の坂道を降りてきたのか。となりの引きこもりがちの奥さんはその時間にたまたま息子を見かけたのか。父親は何か釈然としない気分でいた。
目撃者の老人は、同じ時刻によたよたと同じコースを歩くのが日課だったが、思いがけない特技を持っていた。となりの奥さんは、専業主婦希望で家事に優れ、引っ越してきて言葉を交わすようになった母親がその社交ぶりで自治会に連れ出し、何くれとない細やかな付き合いをしていた。彼女の話は実に信憑性の高いもので、息子に聞いてみると、事件の時間に外に出た深いわけがあった。
転お隣は今転勤で空き家になっているが、近々帰ってくるという。
近隣の付き合い方なども含めていい話だった。


野バラの庭へ
鎌倉の別荘に住む老婦人から自分史のようなものを書いて欲しいと依頼が来た。
イベント企画会社の社員が担当になって話を聞きに行く。
旧市街の高級別荘地帯で、少し奥まったところの広い土地に、緑に囲まれた家があった。

話を聞きに行くうちに、昔、兄の許婚がガーデンパーティーの準備が出来ていた時、二階の部屋から消えてしまった、そのほ行方が知れていない、そのいきさつがいまだに謎とされている。
だが最近解ったところがあってそれも書いてほしいという。
老婦人がこどものころ、二階から手を振っていた直後、どうして消えてしまったのか。家中を探しても痕跡がなく、庭師が男と出て行くのを見たと言うが、その後の消息も知れなかった。

作者が一番力を入れて書いたようで、インタビューに通う女性記者とともに、結末が気にかかる。

鎌倉の由緒ある別荘といい、建物の構造といい、少女マンガのようなところが少し物足りない、ストーリーもありきたりで、残念な気がした。


「沙羅の実」にまつわる話も新味はないが、よく読まないと最後の種明かしが解りづらい。そこが面白い。
「おとなり」も面白かった。


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「時の罠」 辻村深月 万城目学 湊かなえ 米澤穂信 文春文庫

2015-03-15 | 読書


時の流れをテーマにした4編は面白かった。女性二人はタイムカプセルの話だったが、優しい読後感が残っている。


タイムカプセルの八年 辻村深月
教育熱心な担任の勧めで6年生は卒業前にタイムカプセルに記念品を入れて埋めることにした。だがそのカプセルは倉庫の隅に置いたままになっていた。
同級生の父親で作った「親父会」はその噂を聞いて、探し出すことにする。教育熱心で子供たちに慕われていた先生の実像に不安があったが、何かと行事に顔を合わす父親たちは、探し埋めることを実行した。
父親会の付き合いと、子供たちの成長振り、環境が変わっても何かしら暖かい繋がりがある話だった。

トシ&シュン 万城目学 
「縁結び」の神が配置換えになった。今度は「学問」と「芸能」も面倒を見る神社だった。
付き合っているらしい二人はどちらもトシと言う名前だったが紛らわしいので一人男性のほうはシュンと呼ばれていた。
小説家になりたいという男と女優を目指す女、夫々の目標が成就するように神はヒントを与えたが。
ユーモアたっぷりに話は二転三転、読んでいて思わず心が軽くなる。

下津山縁起  米澤穂信   
A.D.873  遠江国に火山の噴火で、上津山に並んで下津山が出来た。下津山の横に沼が出来た。
A.D.1180 麓で武士たちが戦った。
A.D.1783 旗沼の埋め立ての話が持ち上がったが中止された。
A.D.1885 二つの山を測量した結果、3Mの差だと判明。
A.D.1966 旗沼で泳がないようにプールが出来た。
A.D.1989 圧電流・地電流について百科事典より引用
A.D.2018 旗沼埋め立て工事を中止
A.D.2191 人の脳波を知性とするなら、電機で動く機械に知性はないのかという命題から人類の友を見つけたいと思う森島博士。
A.D.2205 森島研究室のコンピュータに不明確な受信記録
A.D.2256 下津山の半分が削られる
A.D.2299 研究所の解読後の信記録。
A.D.2753 研究所のコンピュータが更に交信、山からの発信は人間を認知していなかった。
A.D.2574 ネットワークが見つからないということは人間の滅亡を意味した。森島博士の予言どおり「山との交信」成功
A.D.2873 山々の裁判で上津山は下津山を殺害で有罪判決。上津山は有機知性体(以後人間と表記)を誘導して下津山を殺害させた。上津山の標高についての嫉妬心が動機、としたが控訴する予定。

長い歴史を辿って、人と山の歴史を創造した。まさに作家は素晴らしい。


長井優介へ  湊かなえ
高校卒業の日タイムカプセルがあけられた、中学三年生の時の事件が改めて姿を現す。何か腑に落ちないままに解決したかに見える強姦未遂事件。無罪にはなったが素行の悪い三人組が疑われた、しかし彼らには証拠がなかった。
実際は、、。それを知っている人物がいた。

面白かった。一読の価値有り。

  
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「満願」 米澤穂信 新潮社

2015-03-15 | 読書
  
  


下記に列記したように読者の評価が高いので、楽しみにしていた。

端正な文章が最後まで乱れずに続く。テーマは、現実の出来事だったり、現実にあからさまにより過ぎない、時にファンタジックであり、伝承的であり、ノンフィクション風であり。そこに潜む謎を、独特の心理描写で読ませる。

平凡な日常を切り取った中に潜む謎がトリッキーな展開を見せることもある。様々な「面白い」が詰まった短編集。



夜警
警察学校を出たばかりの川藤が部下になった。夫が暴れているという妻の通報で駆けつけると、逆上した夫が刃物を持って襲ってきた。川藤がその場で射殺。即死かと思ったが、犯人の最後の刃で斬られて殉職した。
以前、部下を締めすぎて自殺された経験で、川藤を御し切れなかった。
臆病者と小心者という書き分けが興味深い。

死人宿
行方不明になっていた部下が見つかった。山奥の淋しい宿で働いていたが、なくなった叔父から受け継いだのだという。
そこは人気もない寂れた場所だったが、火山ガスだまりで綺麗に死ねるというので「死人宿」と呼ばれていた。事実過去に何人もの自殺者が出ていた。
露天風呂の脱衣かごに遺書が落ちていた。泊り客の誰が落としたのだろう。それは誰なのだろう。

柘榴
離婚する両親に親権をめぐって、父と住みたい二人の女の子が絞った智恵。最後に姉妹の心理が解ける。子どもの仕掛けは誰にもわからない。


万灯
海外でガス開発に携わっていたが、部族の利権争いに巻き込まれてしまう。サラリーマン同士の競合もある。勝つために手段は選ばなかった。帰国して彼は大きなミスを犯したことを知る。犯罪に負けたのではないところが面白い。意外な罠に落ちる。

関守
編集長がルポの種をくれた、チョット曰く有り気だったが引き受けた。伊豆山中の峠のカーブで続けて起きている事故死。
峠近くの関守風の店で、老女に話を聴くことにした。山道を延々と登り人恋しくなったあたりに格好の古い店がある。
入り口に小さな地蔵菩薩が祭られているのもいかにもと言う感じだった。老女は事故のドライバーがみんなその店で休んでいったという、記憶は鮮明だった、事故は同じように峠のカーブでガードレールを突き破って崖から落ちている。
思いがけない結末。短いが読み応えがある。

満願
弁護士を目指して辛い勉学に励んでいたとき、畳屋の二階に下宿させてくれたのは、人付き合い悪い、職人としても腕のない借金まみれの男だった。だが辛い受験時代が耐えられてのは、家主の妻の思いやりだった。
弁護士になってその家を出、事務所を持って独立した。
世話になった家主の妻が殺人罪で捕まったことを知る。恩返しのために弁護を買って出た。
だが、出来の悪い厄介者の夫が死んだと聞いた途端、控訴は取りやめになった。
刑期が開けて出所した妻は病死した夫の保険金で借金を払い、何とか暮らしが立てるようだった。
しかし、遭って様々な疑問をぶつけてみたい。自分なりの解釈であっているのか。
伏線もいい、解決編もすっきり納得できる。あぁそうだったのか。面白かった。



第27回 山本周五郎賞(新潮社)受賞・第151回 直木三十五賞(文藝春秋)候補・ミステリが読みたい! 2015年版 国内編』(早川書房)1位・週刊文春ミステリーベスト10 2014 国内部門』(文藝春秋)1位・このミステリーがすごい! 2015年版 国内編』(宝島社)1位・第12回 本屋大賞(NPO法人 本屋大賞実行委員会)ノミネート

面白くて止まらず、一気に読み通してしまった。



 
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「櫛挽道守」 木内昇 集英社

2015-03-12 | 読書


第9回中央公論文芸賞、第27回柴田錬三郎賞、第8回親鸞賞を受賞作



評価の高い本がやっと来たので、読みかけのものを置いて読んでみた。
まず作者が女性と言うのを知った。
作品は、女性の生き方が主なストーリーになっている。

中仙道、木曽の山中にある藪原宿の集落が舞台。名人といわれる櫛挽職人の父を持つお登瀬の、櫛作りにかけた一途な半生が感動的に描かれている。

女の人生のが、より不自由に決められ、それに縛られていた幕末の頃、世間並みの生き方を捨ててでも、尊敬する父親の背を見て、櫛引の技を極めるために生ていくお登瀬の成長物語になっている。

頼みの弟が早逝し、て家族の絆が破綻してくる。そんな中で、お登瀬は年頃になって、世話人が持ってきた条件のいい結婚も断り、人々から阻害され始める。

無骨な父親に弟子入りを志願してきた若者とともに、家業を継いで、櫛挽きの技を受け継いでいく。
激動の時代を背景に、人の往来からわずかな文化が入り込んでくるような集落で、村の行事や風物を織りこみ、お登瀬の人生が、爽やかに力強く描かれている。

自分で作った物語を絵にしてひそかに売っていた弟。窮屈な暮らしから逃げ出したが、やはり逃げ切れなかった妹、名人の技を慕ってきた弟子、出自を嫌って動いていく時代に飲み込まれた弟の幼馴染。

登場人物も夫々面白くお登瀬に絡んでいく。
   
読みやすいが力のこもった作品だった。  



 
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「白秋」 伊集院静 講談社文庫

2015-03-10 | 読書


鎌倉を舞台にした、美しい小説だった。

27歳になった真也は子どもの頃からの心臓病で、病院生活を繰り返し、鴨川の病院から連れて来た志津という看護婦と鎌倉の家で静養している。
治る見込みのない生活の中で、志津は、月見廊下に花を活けて真也に見せようと思いつく。
数軒先に高名な生花の師匠が居て、そこから文枝と言う娘が花を活けに通ってくることになった。

活けられた花を見て、信也はぼんやり幻のように見た女性が現れて花を活けているように思う。
野の花をあしらった生花の飾り気のない美しさ、文枝が身に纏った雰囲気まで、彼が待っていた女性だった。

信也はアメリカの移植手術が成功したというニュースで、文枝との淡い未来を夢みる、しかし患者が7ヵ月後になくなったということを知る、常に背後から死の足音を聴き続けたような毎日が、また続く、かすかな希望が崩れていく、彼の絶望感が痛々しい。


恋に落ちた二人に気がついて志津の嫉妬は狂気を帯びてくる。外に風に当たるだけでも体調を壊して寝込む信也は、文枝に会うために志津の目を盗んで浜に月を見に出る。出入りの道具屋の機転で、二人は出会い、結ばれる。


と言う少し現代の恋愛小説には珍しい純愛が、静かな美しい文章で書かれている。鎌倉に咲く季節の花、特に野山の何気ない花が、陶器の一輪挿しや竹かごに活けられる、月見の夕べはすすきに桔梗、時には白萩や吾亦紅、山から摘んできた杜鵑、ひよどり草などが信也が住んでいる書斎や茶室、築山を配した庭などにしっとりと馴染んでいる。

慌しい現代の恋愛に比べて、病身の青年と和服の似合う女性という組み合わせに、どことなく距離感があるにしても、この品のいい作品を何かの折に心静かに読みなおしてみたい。



道尾さんの「月と蟹」を、読み込まれて書かれている上に、子どもたちの住んでいる鎌倉の、風景や海の香が漂う解説を読んで、伊集院さんのこの「白秋」を読んでみたくなった。

一度は読んでおかないといけないと思ながら漏れているものがまだまだ多い。

  
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 梅が満開でした (近くの梅園)2015.03.03

2015-03-04 | 山野草
 梅が満開でした (近くの梅園)2015.03.03


公園の花
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「雨心中」 唯川恵 講談社文庫

2015-03-02 | 読書


帯より「セックスしなくても一緒にいたい。それは幸せか、絶望か」
……………………
女性の心を描き続けてきた名手が今だからこそ描けた究極の恋愛小説。

解説 瀧 晴巳(裏表紙)より
「怖い小説だ、と思う。容赦ない小説だ。(中略)
いくら体を重ねたからって、それがなんだというんだ。男と女の関係は儚い。どんな恋もいつかわ終わる。終わることのない愛が欲しい。これが野望でなくて何だろう。野望の正体がわかれば、それはすべての女の見果てぬ夢でもあるとわかる」



読み終わったとき、母性本能だといえば言えるし異性愛ともいえるこの不思議な物語はなぜ書かれたのか考えてみた。

養護施設に弟分になる周也がきたとき芳子は孤独感と分かれることが出来た。周也を可愛がり、施設を出てからも一緒に住み、姉弟として、頼りない、無責任な周也をかばい続ける。女が出来ると女のところに行かせ、短期間しか続かないで止める仕事も容認して、男としての責任を全うさせることをしない。
ついに周也にも心から好きな女が出来て、遠い五島列島に行ってしまう。そこでやっと地道に暮らしはじめた。暫くして妻のカオルは外から来た男の羽振りのよさに、一緒に島を出てしまった。

芳子は一人になったとき養護施設を手伝い始めたが、施設が廃止されて、また独り暮らしに戻ったとき、芳子を訪ねてふらりと周也が現れる。すでにオルは殺されていた。
周也は復讐のために罪を犯し、芳子は出所を待ち一緒にいくら暮らせるものと思っていた。周也はカオルを弔いに五島列島に行くと言う。快く承知してみたが、ついに芳子は駅に走る。


帯も解説も特に惹かれるものではなかった、時間を割いて読んでみたのは、二冊目だけれど、唯川さんの小説を解りたいと思った。だが残念ながら、帯に対しては、そういうことも多々あるでしょう、恋愛は夫々違う形なのだと思い、えてして自分の信じているもの、本能的にどうしようもない感情は、図る尺度がないのではないかという、自分流の思いがあった。

こういった甘えたもたれあいの生活がなんになろう、当人同士それでいいなら、とやかく言う筋ではないのではないか。最後がはッピーエンドでほっとしたといいたいが、この話に明るい未来はない、どこに堕ちていっても、どんな過酷な運命であっても自分たちが引き寄せたものに従って生きていくしかない。
形は変わってもありきたりの人生の一端にしか過ぎないと思われた。





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