空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

分厚いね (*_*;

2020-09-29 | 日日是好日

図書館から予約していた本が来た。「特捜部Q アサドの祈り」で、またまた分厚いポケミス。だからかな、次という順番になっているのになかなか返却しなかった前の人、時間がかかったようで待ちくたびれたよ。お疲れ様です。ではバトンは私に。

特捜部Qは面白い、今回はアサドらしい。題名だけ読んだだけだけれどワクワク。

あの意味不明なのに面白いラクダ噺も出るのかな。アサドってここまで付き合って来たけれどようわからん人。

秘密がようやくベールを脱ぐか(^▽^)/

どのくらいの時間で読めてメモできるかな。涼しくなって、日暮れも早くなった、読書の秋だし。

明後日は中秋の名月。昨日空を見たら、美しいお月さんだったけれど丸くなる途中で、もう一息だった。

 

 

つわぶき

 

みせばや(お月さんに)

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「痩せゆく男」 リチャ-ド・バックマン 真野明裕訳 文春文庫

2020-09-29 | 読書

キングの映画も面白いが、残酷さなどの恐怖場面は小説を読んで、想像力が貧弱でよかったと思うこともある。体重計で足先の見えないほどだった男が骨格見本のように痩せる。キングがリチャード・バックマン名義で書いた作品。
 
「グリーン・マイル」が毎月一冊ずつ発行されていたころ、出るのを待ちかねていて、S・キングのほかの作品を少しまとめて読んだことがある。
まず「キャリー」「ミザリー」「シャイニング」「恐怖の四季、二冊」「ペット・セマタリー」(セメタリー)」そしてこの「痩せ行く男」など、キングは人気があり映画化もされて話題になっていた。
その後いつだったか覚えていないが「ミスト」を読んだ。これも映画化されたようだが、原作は意外なことに面白くなくてその後離れてしまったが、ただ「トミー・ノッカーズ」と「IT」は時間があれば読んでみたいと思っている。


何度も思い出す作品はどれも、キングの細緻にわたる描写が邪魔にならずかえってそれのせいでより面白い。ウィットに富んだセリフになり、饒舌も重くなく、軽いユーモアや下半身ねた、グロで言えば身体が醜く崩れたところをこれでもかと映し出すような悪趣味ともいえるほど冷たい残酷な描写。まぁホラー作家なんだ。
そんな変化に富む文体でストーリーを紡いでいく

面白くユニークなキングの世界が進んでいくところは、冷静に考えればこの世にあるとは思えない(キーボードが打ち出したホラー小説)と分かっているのに、はまり込んでつい夢中になってしまう。「ペット・セマタリー」などは家族の深い情愛に感激して泣けるほど。
ときにはまわりは歪んで見え、奇怪で恐ろしく、眼をそむけたくなるようなグロテスクなシーンが現れる。「これこそホラーだよ」と。
わっと脅かす恐怖やじわじわとまとわりついてくる恐怖も、読んでいる一時期人心地がしないくらい怖い。

そんな中でこれが夏向きの絶好ホラーだ。この「痩せ行く男」
なぜか読んだときからずいぶん経つのに不思議に忘れられない作品で、日常に徐々に起きる変化がただのこけおどしで無く興味深い。流行りのダイエットとは何の関係もなく、始めは歓迎していた男も際限なく痩せるとなると……恐怖。
この男ハリックの「痩せていく」のは進んだ医学検査でも結果がでない。

主人公は家族の前では平静に胡麻化していたが、妻の前ではそうもいかない、彼女もひそかに心配しているのだ。

実は妻と車で帰宅中、車の間だから不意に出てきたジプシーの老婆をはねて殺した。幸か不幸か、判事も警察署長も友人だった。ハリック自身も弁護士でそれがもみ消しに役立った。
妻とともにほっと胸をなでおろした。
だが、裁判所の前で二人の前に近づいてきた鼻が腐って落ち異臭までするジプシーの老人がハリックの頬をなでて一言「痩せていく」といった。

飲酒の上殺人まで引き起こした事故は、あっさりけりが付いたが、ハリックの心に黒いしみになって残っていた。悪夢になって老婆の死に際が蘇る。
だが目醒めると、車の間からふいに出てくるのが悪いと自分に言い聞かせなくてはならない。

判事に体に異変が起き始めた。鱗のような固いものができ体を覆って来たという。友人の医師に見てもらうが首を傾げる。

警察署長も初めはニキビだと思ったが、顔中に広がり外には出られない有様だった。ハリックが会いに行ってみると、暗い部屋の陰から出てこず声だけがする。
そして拳銃で死んだ。

体重計にまっすぐ立つと下の数字が見えなかった頃は、246ポンドあった(110.7キロ)がとうとう137ポンドに。半分ほどに痩せた。服はカカシが着た様にひらひらする、人は目を背け子供は逃げる。無理やり食べても痩せるのは止まらない。

「ジプシーの呪い」が三人に降りかかったのか。
彼はジプシー集団が、東海岸沿いに北に向かっているのを追うことにした。
「あの老人の呪いだろうか」一方的な憎しみだろうか。会って事故のことを話したい。
ただそれだけに賭けて追っていく。
ジプシーの借りた広場では火を中にキャンピングカーのサークルがあった。汚れた子供たちが走り回っている。
あの鼻のない長老に会うと、轢かれたのは自分の娘で、轢いた奴は許せないという。

交差点でもないところで不意に車の間から出てきたのだ轢いても仕方がないだろう、加害者とはいえない、とハリックは言う。双方ともに過失があったのだ「ツーペーだ」
「何がツーぺーなものか」「お前は痩せさらばえて死ぬんだ!」
ジプシーの呪いは解けず解く気もなさそうだ。体力も限界にきた。追って来たジプシーの男にパチンコの鉛玉で手のひらに穴をあけられてしまった。血が止まらず苦痛の中で助けを探した。
そこで、事務所の見知りで酒を飲んだこともあるギャングのボス、ジネリを思い出す。
連絡をすると彼はギャングながら義理がたく、情に厚い人柄だった。
すぐにヘリで医者を送って来た。
間もなく本人も来て世話を焼き、いきさつを聞いた。
次第にジネリの目の奥に星のように火が灯り次第に炎のようなものになり渦を巻き始めた。

ここからがジネリとジプシーの対決になる。まるでアクション小説、ジネリは中年だが残りの力を振り絞って呪いを解きに行く、というのは口実のようで、ジネリの怒りと反逆魂に火が付いて、もう手が付けられない。
このジネリの活躍ぶりは、怖いホラーというより、悪魔に向かう獅子のような(おおげさw)痛快さ。作者も乗ったのかこれだけで100ページは越す。
そしてジネリの片腕が車に放り込まれ、ハリックの呪いは解けた。

しかし、それでは「ツーぺー」とはならない。死んだジプシーもジネリも判事も署長も、肉親の死を嘆いたジプシーの呪いもこれで消えておしまいか。アレッと。

不気味な出来事も「呪い」なのか。
これがミステリならノックスの十戒に引っかかるかも、というあたりがどうもすっきりしない、いままで面白かったと言いいきれなかったのだが。
読み返してみて、厚みがあり細密に書き出す文体は凄い(夢を見たら内容までこまごまと書く、観光地では海岸をそぞろ歩く小さな布だけの女を細かく描く)
気の利いたセリフや気持ち悪いシーンも、耐性ができた今読むとやはり類を見ない実に面白い話だった。


原作になった映画も面白い。残酷さなど恐怖場面は、小説を読む方が、想像力が貧弱でよかったと思うこともあるほど。

 

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「鍵のかかった部屋」 貴志祐介 角川書店

2020-09-27 | 読書

 

4編の短編集。密室トリックを今回も青砥&榎本のコンビが解く。
ポイントは密室トリックでも、それの背景が問題で、犯罪の舞台装置に巧妙に動機を紛れ込ませた犯人との知恵比べ。

☆佇む男
癌で余命宣告を受けていた会長が山荘で死んでいた。重い硝子テーブルに足を入れドアに背を付けて蹲る、窮屈な姿勢のまま亡くなっていた。ガラステーブルの上には乱れた筆跡で遺言書が残っていた。
後ろには白幕が張られ、左右には供花、という演出も葬儀会社の会長というこだわりが見えた。
もたれかかっていた開口部のロックも完全で密室というほかない。覚悟の自殺か。しかし榎本は疑問を持った。
なかなかに凝ったストーリーだったが、まずは密室破りの解錠方法の解説、作者はこれをヒントに、こんなストーリーに持っていったのか。遺言書をアイテムに出したのもいいとして、それらしい舞台は盛り過ぎ飾り過ぎ(葬儀社だけに)の感じもある。犯罪を計画するというのは偶発的な事件と違って、こんなふうに犯人が事前に知恵を凝らすので、解くのが難しそう。それで対決という面白いことになるけれど、これも疲れた。

☆鍵のかかった部屋
家族間の犯罪は気分がよくない。まぁここでは養父が息子を殺したらしいと見当がつき、その密室の殺人を解明する、犯行動機は財産狙いで、あまり驚く事ではなかった。
理科の教師なので手口は楽に考え付くでしょう。今時、練炭自殺は道具をそろえるだけで大変だろうし、高密度の部屋にする手間も面倒。なんか高校生にはそぐわないかも。
ここでは解錠と施錠の方法が逆だというのは榎本がドアを開けてみてわかるのがミソかな。
高密度の部屋はドアを開閉するときには内と外で圧力が変化するのを利用するというのも普通に分かりやすい。

☆歪んだ箱
地盤が緩く傾いてしまった家。
新築物件で結婚して住む予定だったが、歩きにくいほど傾いてしまった。
雨漏りする上にあちこちに隙間もある。宅地造成も手抜き、基礎のコンクリートの質も悪かった。
引き渡し後の残金がまだ払ってなかったのは不幸中の幸いだったが、補修するならその代金は払えという。
その上過去の解決した暴力事件まで持ち出してきた。
殺すしかない。
リビングに誘い込んで殺した。その部屋にある二つの内開きのドアは蹴飛ばしても閉まらない、打ち込んでやっと枠にはめると開けられない。見たところそうやった痕跡もない。密室だった。
榎本はその謎を解く。しかしその解をまるでコロンボのドラマを見ているように横で言い訳のように否定していく犯人。
話し過ぎて穴に落ちるような成り行きが面白かったが、その殺害方法が日常では考えられない方法で、それも無理やりのようで苦しい。
去り際に振り向いで「あ、一つ忘れていましたが」とは言わないが榎本さんなかなか鋭い。

☆密室劇場
前作からのバカミスが続く。話も繋いである。
茶柱劇場は、劇場主が亡くなってもそのまま引き継がれていて、劇団名も「土性骨」から心機一転「ES&B」に替えた。「アース、セックス&ボーン」ということで。
今回のメイン・イベントは「彼方の星」(ヨンダー・バード)で飛行機が砂漠に不時着して救援隊を求めている。という設定。
またも漫才コンビの一人が殺された。殺したのは富増半蔵で、増本の推理にあっさりと犯行を認めた。
ボケとツッコミのスピードが合わないでイライラしてくる。それなのに「M1に出ようと誘って来た」のでかっとなって。
なぜ?という問いに、死んだロベルト十蘭がノートに書いていた、次のコンビ名が「半狂蘭」。二人の名前が入っているし、逃げられないと思ったという。

貴志さんがまたもボケて突っ込んでみた可笑しな一遍。


家族は昨日から夏休みなのに、読み終わっていたこの本を図書館に返さなくてはいけないので、やっとレビューしたが、貴志さんにしてはみんな凡作で、少し気が抜けた。
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「螺旋の手術室」 知念実希人 新潮文庫  2020新潮社100

2020-09-26 | 日日是好日

 

作者が医師なので、題名にあるように手術室から話が始まり、、全体がミックスジュースのような変わった味わいだった。後表紙の、慟哭の医療ミステリという読後感は人によるのでしょうが。

純正会医科大学付属病院、手術室。
腹腔鏡による胆嚢摘出手術。執刀医海老沢教授。第一助手冴木裕也。患者冴木信也(裕也の父親)。これは30分ほどの簡単な手術、のはずだった。それで裕也は家族の手術の助手が認められていた。
だが、胆嚢剥離寸前、噴き出すよう勢いで腹腔内に血液が満ちていく。動脈を傷つけたか。教授が裕也に言う。お前が腹腔鏡でやったのか。覚えのない叱責に裕也は責任転嫁を察した。高濃度血液が届き、ひと息ついたのもつかの間、出血は止まらずついに心臓マッサージも除細動器も、あたふたとあらゆる手当てを尽くしたが、その甲斐もなく父は心室細動、心停止、という死の道を辿った。
術中死は許されない。すぐICUに移せ。

末期の子宮がんで余命いくばくもない母親の優子が同じ階に入院していた。夫の死にショックを受けたが、それは自分の死とともに覚悟の上だった。それよりも息子と娘を心配する気持ちの方が強かった。

娘は勤務先の弁護士と付き合い彼の子供を宿していた、
兄と妹は全くそりが合わない、冷酷にも自分の意思を押し付けてくる父に、中学時代に二人で申し合わせて、父から自由になるという未来を選択することを誓った。

しかし兄は父と同じ医学部にすすみ、妹は意思を変えず法学部に、司法試験を諦め司法書士になるつもりだった。この時から兄弟の絆は切れ、会うこともなくなっていた。

一方、教授選が迫った。一人目の候補だった馬淵准教授が撲殺され、同じく候補だった父が死んだ。三人目候補に挙がっている川奈だけが生き残っているが、彼は帝大卒のエリートで引く手あまた、私立医大の雄であっても純正会の教授に魅力はないだろうと思われた。

門外不出の箝口令が常識の院内手術のニュースが出る。内部告発のような形にみえる手術のニュースの取材ということで、ジャーナリストと称する男が近づいてくる。

海老沢教授も騒ぎになった取材攻勢から逃れ院内の病室に隠れ、ストレスからか倒れた時は手遅れで死亡。

ここで刑事の二人組が参入、連続殺人の捜査ということで、話が少し色を変える。

振り返ってみれば裕也は出来事になにか不審なところがあり、その上無欲に見えた父がなぜ教授選の候補になるのを受けていたか。

裕也は医科の関係者、友人などに手を回して、調べ始める。

怪しいジャーナリストと称する男に付き纏われ父も金をわたしていた。
血液分析の結果、ありえない成分が見つかる。父に投入された大量の抗血栓剤。
海老沢教授の血液から出た大量のカリウム。

そしてまたも撲殺されたジャーナリスト。その部屋から母親が隠していたノートを受け取る。

悪筆の上、マークや数字など殴り書きがあるが、自分用の殴り書きの意味が解けない。

母の話からかすかな矛盾が感じられる。父は、母は、何を隠しているのだろう。

いよいよ背後の、ホラーじみた過去が姿を表す。
裕也の勤務する現実的な医療の現場はいかにも今的、わかりやすい専門用語までちりばめてある。
メモを読み解きながらじわじわと山奥の隔絶した村に引き寄せられていく、このあたりホラー臭もする小説世界が少し変わるところ。アレッという場面転換で、これがあってこそ、この悲劇的なミステリが深みを帯びて来るというか……。
家族愛という感動のシーンを盛り上げているというか。

職場は違ってもどこでも同じ人間の欲望の悲喜劇。
家族の歴史が受け継がれ、それが避けられない宿命だと語り掛けてくるところなど。慟哭かな。

少々入り交じったエピソードがひしめき合って、組み合わされた話だった。

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