カンザキアヤメ
幾つになっても年が改まる時間になって、駅に近い氏神さんの除夜の鐘が遠くからかすかに聞こえてくると、身が引き締まるような気がする。
特に記憶に残るような出来事もないのがいいのか悪いのか、マァ今年も無事に過ぎたことをいいことにしようと思って新年を迎える。
そうなると瞬く間に新年で、もうさっきは去年になって、ヒョイと畳みのヘリでもまたいだように年が改まってしまっている。
ヘリを跨ぐのと違うのはもう去年に引き返せないことで、いやでも前に前に進んでいかないといけない。
50歳なんかとっくに過ぎてから五十肩になって年を越えたが、こんな具合にあちこち身体に不都合が起き始め新しい年は新しい年齢と折りあいながらやってくる。
何かと目標を考えるのが好きだったが、去年からやめた。
今年と言うたった短い一年で何が出来るだろう。
去年から考えないことにしたのは、もう焦ることもないし、急ぐこともない。
年が進んでいくに連れて次第に何かが違ってくるだろう。
心の持ち方に何か形が見つかるだろう、まだ少しは時間がある。
若くないと出来ないことも多いが今から出来ることはなにかジックリ考えてみたい。