空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

ヨクサクビオラ

2017-10-24 | その外のあれこれ


秋が来たか思った矢先、朝夕寒いくらいになって、もう冬がそこまで来ている。
庭の花の植え替え時期になった。

近所の方が花の苗を育てている農家を紹介してくれたのでポット苗の買出しに行ってきた。
ビオラとガーデンシクラメンを少し多めに。

道路からも見える大きな三角屋根の温室の中に、色とりどりの花の苗が透けて見えた。


親切に案内されて温室の中を見せてもらった。芽を出してやっとの葉が出た小さな苗から、少しづつ大きくなっていった生育見本のように「サクラソウ」が並んでいた。

「これは種をまくのですか?」
「そうです。もう少し大きくなったらポットに植え替えます」

無数にも見える苗を見渡して、いつもつぼみを付けた苗を買っていると、花に種の時期があったことを忘れていた。

パートさんが忙しそうに出荷前の苗のコンテナを一輪車に乗せて次々に運んでいく。

働いている人の脇をすり抜けていくのは何か気が引けた。

「あちらにヨクサクビオラがあります」

(ヨクサクビオラ?翌咲くビオラ?)

近づいて名札を見たら なんと『よく咲くビオラ』と書いてあった。

「よく咲くのですか?」
「新種ですが、どんどん咲きます」

ひねってなかったのか。

よしっと、いかにもすみれらしい「すみれ色」を10個、紫と黄色の「パンダ模様 🐼 」を10個買った。

「かがり火花」と別名のあるシクラメンは、小さなしずくのようなミニ花が咲いているポット苗を10個買った。
お土産に花壇の土をもらったが、細腕(?)には荷が重く積んでもらってやっと帰ってきた。



夕方から雨という予報なのであわてて帰ってきたが、雲が減って明るくなって来た。

春にたくさん花をつけたシクラメンに種ができて、かわいい葉っぱがびっしり伸びて来た。ただ根っこが丸く大きくなって、別名「ブタの饅頭」という名前も納得。 嬉

あ子供も何とかしなければ。


 シクラメンの種から芽が出た! 
びっくりした(@_@)

  今年の苗




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HNことなみ




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油絵の道具を捨てる

2017-10-21 | その外のあれこれ



断捨離に倣ったわけではないけれど、昔少し習った油絵の道具を全部整理した。

またいつか描きたくなるかもしれないから、イーゼルやカンヴァスは置いておこうと、少しの未練とともに押し入れであちらこちら位置を変えながら居座っていたが。

まぁ改めて描いていた絵をまじまじと見たが、鑑賞に耐えるといったものではなく、よくこれで仲間の展覧会に出したものだ。
それでもいつか書くつもりで買っていた白いままのカンヴァスも思い切って知り合いに上げた。

粗大ごみにしかならない、かつての転勤先の思い出が消えた。

その頃の友人が毎年年賀状に写した作品を送ってくれる。

それだけが過去の時間の足跡になった。





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「リヴィエラを撃て」 高村薫 新潮文庫

2017-10-19 | 読書




「リヴィエラを撃て 上下巻」

上巻を途中まで読んで、これは読むのを休むと混乱すると思った、(すでにほどほどに混乱してきたので)相関図とそこまでの出来事をメモした。
アメリカ、イギリス、中国、日本、各国の情報部とそれに属するスパイ組織、テロリスト、CIA、英情報局保安部(MI5,MI6 チラと名前だけJ・ボンドが^^)、IRAの革命家、スコットランドヤードの情報部。それに協力する人間、巻き込まれる人間、「リヴィエラ」というコードネームを持つ日本人を追う人間。核になる「リヴィエラ文書」はどこにあって何が書かれているのか。様々な要素がサスペンス風に展開し ハードボイルドあり「リヴィエラ」絡みのミステリありと飽きることがなかった。
息もつかせない面白さというが、高村さんの実際に歩いたという海外の街(イギリスの風景)が実に鮮明に描写され、雰囲気を盛り上げている。
アイルランドの小さな村から始まるIRA戦士による殺人。その息子である、主人公の青年ジャック・モーガンと恋人のリーアン。

彼は上巻の最初の部分ですでに千鳥ヶ淵で射殺されている。一緒に日本に来ていた若い女の「ジャック・モーガンが捕まった。リヴィエラに殺される」という通報で、初めて「リヴィエラの名前が出る。検死には公安にいたイギリス人との混血、手島管理官が立ち会った。

香港返還、文化大革命を下敷きに、リベート問題がある。エージェントとしての「リヴィエラ」がどうかかわっているのか、すべての人達の視線の先にある「リヴィエラ」について名前が分かった時点でも正体が最後まで分からない。

ジャック・モーガンが身を寄せた先で知り合った、ノーマン・シンクレアと彼のマネージャーと称するエイドリアン。シンクレアは世界的なピアニストで二人とも翳の多い生き方をしている。貴族の称号を持ち自由な暮らしの中で、ジャックと濃密な関係を持つ。シンクレアは密かにスパイ活動と、「リビィエラ」に日本で一通の文書を受け渡しをしていた。

IRAの活動家だった父親が殺された後、ジャックは銃の腕を見込まれてテロリストになる。彼の夢は、リーアンと穏やかな家庭を築くことだったが、次第に深みにはまり、腕の良さで次々に殺人を成功させ、情報部に目を付けられるようになる。

ジャックをかくまうために預けられるCIA職員のケリー・マッカラム(一名伝書鳩)との暖かい交流がいい。ケリーは同じ組織の恋人サラがいたが彼女は車の事故で悲惨な死に方をする。そして彼はドーヴァーを前にしたウェスタンドッグ駅でジャックをフェリーに乗ると見せかけ電車に乗せる。東京へ。
直後にケリーは駅で死んだ。

読みどころというか、殺伐としたテロ、スパイ合戦にあって、人間関係と事件の裏事情と、人命がかかった情報が錯綜する中で、筋道だった詳細が独特の筆致で深く重く書かれる。その中で登場人物たちのエピソードが情感たっぷりに心を潤す。一人ひとり死んでいく現実の中で読みながらこういった世界では茶飯事でありながら生と死の物語がこころに響く。

お気に入りらしい、ピアニスト、シンクレアの日本公演で初めて「リビィエラ」が現れる。ここで一気に読み手も冷静に戻り、シンクレアの魂を込めた演奏も、彼の最後を飾るのにふさわしい、悲しい未来を予見させる。ジャックとシンクレアの関係もただのスパイ小説でない、人の絡みの妙を感じてホロリとする。

裏で生きる人たちのおびただしい死とそれぞれの生き方が詳しく、はいりこんでしまった。どうしてこの人たちがお互いにかかわることになったのか、と硬派な高村さんの筆は休むことがない。

最後まで読んで、手島に抱かれた無邪気なジャック二世が可愛い。





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「死後の恋 夢野久作作品選」 

2017-10-13 | 読書




好奇心から「ドグラ・マグラ」を少し読んで挫折したので心配でしたが、そんなに面白いなら私も続いてみようと思って。惚れたのねと#棚の一覧を眺めたのです。

不思議な文体にあふれている、初めての久作ワード、カタカナも混じっていて、読み慣れるのに少し時間がかかった。

「死後の恋」「瓶詰地獄」は名作ということで、ストーリーだけ取ると、家系を守るために男になり、死んだ後に持っていた宝石だけが残されるというのは、特に戦争や革命で社会制度の変わり目に揉まれて死んでいくということは珍しくないと思ったが、死の悲惨な姿や残された宝石との対比が見てきたような凄さをもっていた。それに、ロマノフ王朝の令嬢が男装していたという意外さもあって、ちょっと悲しい片想いも絡むという作りは、ミステリにはこういう話も作れるのかと着想が面白かった。

「瓶詰地獄」も兄妹が二人きりで島に取り残されて成長する間には、愛も恋もあるに違いない、血のつながりが成長とともに背徳地獄に落とされるというのは、別に驚くことではないと思いながら、健康的だった二人が成長するにつれて地獄の思いにとらわれていく様子が残酷だった、成長過程の心理は読者には手紙でしか知らされない。瓶の手紙が書かれた順に届くのではないというテクニックがやはり巧みさなのかと思う。

「悪魔祈禱書」は、くだけた一人称の語りが面白い。ふたを開けてみると、という最後になって思わず拍手。好きな作品だった。

「いなか、の、じけん」
事実なのか創作なのか、実際にあった話だと作者が言っているのも面白く怪しいけれど、びっくりの田舎の出来事が書かれている。
世界には「奇想天外」な話はおおくて、興味があるのでTVを見てはへぇ~と驚いている。田舎には、こんな怪奇な出来事が起きる、かもしれない。まだ今よりもっと夜が暗く山が深かった頃、妖怪や、狐狸や、貧しさや、男と女のもつれや、心の乱れが死の狂気を招く。
最後の一行で恐ろしい話の種明かしをされてはっと我に返る。かつての田舎経験者なので雰囲気がよくわかって面白かった。

「怪夢」「木魂」は自分が作り出した怪異に憑かれる。現実と幻の中で恐怖に震え命を落とすなど、今でもないとは言えないかもしれない。こういう手慣れた恐怖話は、真骨頂かなと思わず震えた。

「あやかしの鼓」は技巧的な文章で、ストーリーも鼓にまつわる因縁噺が世代を超えて伝わる。芸事に憑かれた人達の怨念や執念がこもる道具立ての話は多いが、鼓の音色に現れるというのは興味深かった。お囃子の調子、不気味な音が聞こえるようだったが、鼓に籠った執念ということが実は、精神的に倒錯した人たちの狂気が作り出した因縁噺かもしれず、雑誌の入選作だというのは、知られた話かもしれないが、後にある批評を読むと興味が倍増される。
鼓が作られた当時悲劇が続いて、作者の怨念がこもったということで、封印されるが、やはりそういったいわれのあるものは、打ってみたいというのが人情で、それが災いを招く。鼓にまつわる薄気味悪い出来事が続いている。もっと怖がらしてほしいと、不吉を呼ぶ「あやかし」の増量を期待しつつ。人間関係の不思議さ気味悪さなど充分怪しかった。
狂気の伝承を扱ったようなストーリーと独特の夢野ワードにうまく引きずり込まれた。変態女性は少し書き方が荒っぽく苦手なのかなと思ったが。やはり変態は美人でないと似合わないかも。

選者は、知らない方々もいたが江戸川乱歩の率直さが愉快で納得する部分も多く、あぁこの方は実在した人でこういうことを書くこともあるのかと当然のことだけれどひどく身近に感じた。
なんだか時々は、今の様々な賞についている評が生臭く感じることがあるだけに、こういう時代があったことにちょっと感動した。
受賞した夢野さんの謙虚ながら裏話めいた「所感」は、微笑ましかったし、解説を読むと10年足らずで書き溜めた作品で全集が刊行されたという、書く威力を感じた。そのうち『ドグラ・マグラ』が読めるようになるだろうか。名作というものを読むと、好奇心だけでは足りない気がしてきた。



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「黄金を抱いて翔べ 高村薫 新潮社文庫

2017-10-06 | 読書





「リヴィエラを撃て」も全編改稿して発表されたが、これが初めての長編小説かと思えるような、巧妙なスパイ合戦が読みどころで、ただそうとは言い切れない実に濃厚に書き込まれた物語が展開する。

さて、この「黄金を抱いて翔べ」は初期から今も変わらない高村ノヴェルを堪能できる、実に面白い作品だった。
特徴の、細かく照査された小道具、時々挿入される登場人物たちの人間らしい抒情、効果的な風景描写、長い間積んでいた埃の中から心に残る一冊が出て来た。

6人の仲間たちで、大阪中の島の、銀行地下深く眠る黄金強奪計画を立てる。そして溶けだしそうな関西気候、真夏の闇に紛れてうごめき、細かな計画がじりじりと進んでいく。

6人は初めから集まったのではない、大学時代の友人幸田が大阪に流れて来たのを主犯の西川が最初に目を付け、つかまえて仲間に入れる。

西川の知り合いの野田はIT会社の営業で、目当ての銀行も回っている。内情に詳しくつかえる。

幸田は馴染みのパチンコ店で、工大生の通称桃太郎(モモ)と知り合う。
モモのアパートが襲われ爆発から火事になり、彼を救って、野田が知り合いの通称「ジイちゃんの」部屋に預ける。
ピストルを持っていたモモは北の工作員に狙われているのではないかと推測する。彼のアパートの爆発は起爆装置などをちらと見かけたことがある、自製の爆弾だっただろうと見抜く。
工学の知識は、襲撃の必須だ。彼を引き込んで計画を練る。

ジイちゃんは、エレベーター操作の経験があった。
ホテルの窓から双眼鏡越しに土佐堀川、高速道路をとおして、銀行の駐車場の入り口が見える。上に向けると屋上の機械室が見える。エレベーターのワイア巻き上げのドラム装置が見える。
ジイちゃんは幸田の持つ何かに惹かれるものを感じる。

北川は、まず一帯の基礎、一時系統の中の島変電所を爆破。一帯に騒ぎの種をまき、中環にある銀行への分岐線を切る。
保安員を始末。エレベーターで地下へ、金庫から金の地金6トン(10億)を盗み逃走する。という計画のもとに手分けして綿密に日数を消化し、詰めていく。

実行の日、時は分刻みで過ぎていく。緊迫感とともに6人の動きが丁寧にかつスピーティに、思いがけない障害を絡めて最終章になる。

どこが面白いか。名画「地下室のメロディー」やトム・クルーズの「MI」や「オーシャンズ」の面々のことを思い出すが、何と言っても準備段階でのリーダーの知識、綿密な計画、敏捷な体力、知能。チームワーク。

高村さんのこの話の中には、それに加えて、一人ずつが背負っている重い運命や、それを引きずりつつ生きている、生き方、性格の違いも丁寧で入り込んでしまう。
わき役の、暴走族と北川の弟春樹の因縁の対決も、ハードな筆で軽快に書かれている。バイクにも詳しくてメカの解説も面白い。

又リーダーの北川をしのぐ主人公の幸田がいい。生きる日々は、すでにつき抜かれたような時間の跡が今では楽観的にみえるような暮らし方をしているが、幼いとき両親を亡くし、若い母は隣の教会に出入りしていたのを覚えている。その側に住んでいたが教会の火事に巻き込まれる。若い神父の僧服が今でも蘇る。フラッと関西にきて吹田に住み着いたのも幼いころ側に教会があったあたり。

出来るなら一度は冒険をしてみたい。それが実行できそうな、地下の金塊強奪。札では軽すぎる、夢のような現実に生死をかけた男たちの、裏にある世界も興味深い。

やはり映画で見る強奪事件より少し湿ったエピソードも含んで、それでいて厚みのある、重い細かい描写は、高村さんの実力をまざまざと感じた。
ワクワクと楽しみに読めて面白かった。

このあたりに勤めていたし、舞台になった銀行や会社も名前は違っても見慣れたところらしくわかりやすかった。久しぶりに地図を開いてジイちゃんがここで掃除していたのか。幸田の籠ったビルはこのあたりかなと、楽しんだ。





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