空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

「リボルバー」 原田マハ

2021-07-26 | 読書

 

 

ゴッホとゴーギャンとひまわりとリボルバー。ゴッホの死の謎は?リボルバーに絡むもう一つの世界。
本屋さんで目に入った「ひまわり」の表紙を見て、面白かった「楽園のキャンバス」を思い出した。
ゴッホの絵は7点大塚美術館に精巧な陶板画で展示されていた、名作というゴッホの渦巻く絵は、見たい時と見たくない時がある。激しいタッチに現れた生き方そのものも、焦点を当ててそれだけに絞ると、彼だけではないだろうと思う生き方ながら、惹かれながらも恐ろしくもある。

マハさんはそこのところを独特のミステリ(ともいいきれないけれど)にまぶして小説に仕上げている。

職を変えながら画家の本分に行きつくまでの話は短い。アルルに住んで自分の絵を見つけようとした葛藤の中にゴーギャンがいて、短い交わりでゴッホは彼に執着した。彼の画風にと言えるかも。ゴーギャンは二か月しか一緒に住めなかった。
彼はゴッホの生き方とは違っていた。
彼が去ってゴッホは有名な「耳切り」事件を起こす。ただここアルルでは「ひまわり」のタッチができ上って旺盛に描く。
精神の安定のために入院したが、そこでも今に残る有名な絵を描く。

マハさんは物語として一人の女性を登場させる。フランスでゴッホとゴーギャンの論文を仕上げようとしている冴という女性と彼女の親友、冴の勤めるオークションハウスのオーナー、社員の男性と共にゴッホの足跡を辿らせる。
単にゴッホの生きかた、作品の背景だけに止まらない読ませる技術を駆使して書き上げた作品で、ゴッホのついては弟「テオ」のこと、残っている「たくさんの手紙」のこと、死後売れ始めた作品についてもふれつつ話が進む。

持っている古いリボルバーをオークションに出してほしいと女性が訪ねてくる。
このリボルバーでゴッホは自分で自分を撃ったのか、撃ったのはゴーギャンだったのか、映画のようにふざけた子供の仕業か。
錆の塊のようなリボルバーはどんなふうに彼女に伝わったのか、話は実話なのか、銃は本物なのか、オークションに出せるか ここでリボルバーが主役。このシーンは、ゴッホとリボルバーについて知らなかったので面白かった。

ゴッホにしてもゴーギャンにしても今も美術に関心があれば知らない人はいない。
ただこうした作品を読むことでマハさんの一連のアート作品も併せて楽しむことができる。
ただ、美術書というより書きなれた軽めのエンタメ作品だった。

 
 
 
我が家の「ひまわり」
 
 
 
 
花粉まみれの働くミツバチ(笑)
 
 
 
一休み(二休み)のシジミチョウ
 
 
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「ホワイトコテージの殺人」 マージェリー・アリンガム 猪俣恵美子訳 創元推理文庫

2021-07-20 | 読書

 

77

 

イギリスの女性作家を一人覚えたが、巨匠と呼ばれているにしてはこの作品は甘かった。いろんな意味で。
これはこれはと、読み終わって力が抜けた。ミステリの要素は揃っているが、ソフトボイルドというか食べやすさとともに後味にはロマンティックな甘さが残った。ハーレクイン的ミステり。

創元推理文庫にはいつも楽しませてもらっていてハズレがないと思っている。
この作家は知らなかったがまぁイギリスの作品だし信頼は厚い。
時代はさかのぼるが、読書歴は乏しくて、思い出してみても女性作家はクリスティとセイヤーズあたり、男性作家もゴダートやクロフツ、ウィングフィールドなどほんの一握り。なので期待して読み始めた。

人間離れのしたねじ曲がり男。こんなのが隣に越してきた。一家の主婦を狙って忘れたい古傷を種にしげしげと通ってくる。
脅かされる主婦は「悪魔」のような男に怯えている。
その夫は戦争で下半身不随になり車椅子に乗ってはいるが夫婦仲はいい。
なんか貞淑そのものの妻である。

ジェリーがドライブ途中、ケント州の小さな村で、足に豆が出来た娘を家まで送っていった。可愛かったし彼はちょっとときめいたのだ。
あいにく雨に会い雨宿りをしていると、メイドが「殺人!」といって駆けてくる。テンポのいい始まりで殺人事件が幕を開け、なんとジェリーの父はスコットランドヤードの敏腕警部だった。

このジェリー親子で捜査を進めるのだが、この親子は仲がいいほのぼのとした関係で、お父さんの事件に向かう顔と息子に話す顔のやさしさがいい。
反面、殺された男を含め気味が悪い隣の男たちが、これでもかというほど怪しい。

それに比べて脅迫まがいにしげしげとやってくる男達におびえる、ホワイトコテージの夫婦、その妹、小さな娘と養育係、メイド、癖がありそうだがどうも肩を持ちたくなる雰囲気を醸し出す人たち。

なのだが何か曰くがありそうで、脅迫される種を抱えていて、殺す動機もそのあたりかと思える。

隣には前科のある男や後ろ暗そうな男がいる、警部の顔見知りの前科者もいて、彼らのイギリスとフランスをまたにかけた痕跡を追っていく。ここは警部の面目躍如といったところ。

ここで私はハタとたちどまった。国際的な窃盗団が出てくる。世界的な大富豪が裏取引で買いあさっている名品中の名品を調達するグループに、隣の家の居候がかかわっているらしい。というので、知らなかったのだがこの作家はイギリスでは巨匠らしい。ではその世界も広く、ここらで「M」でも出てくるのだろうか。スコットランドヤードのお馴染みの秘密情報部でも出てくるのか。まるで高村薫さんの「リヴィエラを撃て」のような流れになるのか、それなら肝を入れて気を引き締めてと思ったらここで読むのを一休みしてしまった。

改めて読み始めると、さにあらず、なんと居候の彼らは小物で、この追跡劇はさっさと片付き、警部の面目もたつ。
しかしこの件から手がかりを見つけ敏腕警部は、事件捜査を仕上げる。

気をもんだ息子のジェリーは美しい一目ぼれの娘を手に入れる。めでたしなのだが。

厄介者の悪質な隣人はいなくなり、質の悪い居候も去ってホワイトコテージに平和が戻る。
だが、意外な幕切れはなかなか意味深で、読みながら謎解きをするまでもなく、警部と神のみぞ知る予定調和な結末で締めくくられる。

なんとも、読みごたえはないが後味はいい。ストーリや登場人物はわかりやすく極端に分かれて、ただ少々割り切れない気がするグレーゾーンも何気なく終わりになるという、肩すかしの一冊だったけれど
まぁそれでもミステリの要素は揃っていた。

甘さもこのくらいならイギリス風アフタヌーンティータイムということで。
 
 
☆ 梅雨が明けて暑くなってきました。室内の読書報告(と言っても前に読んだもののリライト)です。
 
  出来たら散歩リポートも書きたいのですが、「日日是好日」で読んだり書いたり遊んだり日記ということで、よろしくお願いいたします。
 
 

 

 

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「鉄の門」 マーガレット・ミラー 宮脇裕子訳  創元推理文庫

2021-07-14 | 読書

霧の中から少しずつ姿を現すものを描く。夢と現実のあわいを見据えるような練った文章は、不思議な世界の楼門のように読者に向かって開いていく。
外に積もった雪の公園をミルトレッドが歩いていく、頭が割れて赤い血が雪を汚している。呼んでも聞こえないのかどんどん小さくなっていく。時折振り返る顔は人形のようで、小さい笑顔はいつまでも鮮明で、、、ルシールは胸苦しさに夢から醒める。

ルシールは何度も修復したミルトレッドの肖像画を見上げて思う。夢なんてばかばかしいわ。

ルシールは先妻のミルトレッドの友人だった。しかし、彼女が亡くなって後妻に入った。
密かに愛し続けていた医師のアンドルーが今はルシールの夫になって16年が過ぎた。
小さかった先妻の子、兄妹も成長した。アンドルーの妹イーデスが独身のまま同居している。

二人の使用人と家庭を切り回しているが、家族とはお互いに心から馴染んだことがなく常に他人の感覚がつき纏っている。

娘のポリーの婚約者が来ることになった。ルシールとイーデスは準備のために残ったが家族は駅まで出迎えに出発した。到着するはずの列車が脱線事故で遅れた、救助の手伝いをしている、帰りは遅くなると連絡があった。ルシールはまたいつものように家族に入り切れていない孤独感を覚える。

小さな箱をもった小男がドアをたたいた。その箱を開けたルシールは悲鳴を残して、外に消えた。

アンドルーは警察に届けた。妻が行方不明でそれが奇妙なんです。巡査部長は思う。行方不明なんて奇妙なものさ。

サンズ警部は聞き込みに行く。美容院で髪を切ったのがルシールらしいと。確かにここまでは来たようだ。
彼は16年前のミルトレッドの悲惨な事件を覚えていた。

ルシールは湖で見つかった。水の中で夢のように死を見つめていた。死ぬのね。悲鳴を上げ続けた細く細く何度も何度も。
アンドルーが手を差し伸べても彼女はまだ叫び続けていた。救急車が来て病院に収容された。ルシールにとって大きな鉄の門と塀のある建物はとても安全なところに思えた。

同室のコーラは正常な神経を持っていたが、一人暮らしより入院を選んでいた。彼女は頼りになるとルシールは感じていた。家族は毎日見舞いに来た、誰にも会いたくない。アンドルーとだけ暮らしたい。
いつも悪夢が押し寄せてくる。気味の悪いものが見える。

サンズ警部のところに子供が湖で箱を見つけたと言って来た。中には気味の悪い指が入っていた。

ルシールの入った門の中の共同体は自給自足で営まれていた。
この共同体の父親役は精神分析医から病院経営者となったネイサン医師、母親役は効率的でありほがらかでありながら冷静な看護師の一団が担っていた。空想癖のあるものや鑑賞主義者、芸術趣味の人間はスタッフとして受け入れてもらえない。想像力の豊かな者は危険な場合があるし、感情に流されやすいものは病棟全体の平和を乱しかねないからだ。

その点ルシールを担当しているミス・スコットは優秀だった。
混乱しているルシールはサンズにあっても恐怖しか涌かない。しかし彼から小男のグリーリーが死んだ、殺されたと知らされて訳もなく安心して、指の入った箱を受け取った所から彼に脅迫されたいきさつを話す。
まわりで事件は続く。家族が持ってきたブドウを食べてコーラが死んだ。
ルシールは言葉が明確に出なくなっても、家族を疑っていた。それを話すが、部屋を移され新しい看護師が付いた。散歩に出たが隙を見てルシールは高い塀から外に飛び降りた。
みんな待っている私のカタが付くのを、だから塀を上って逃げる。

ルシールの葬儀が行われた。サンズの仕事もカタが付いたとみんな思っていた。しかしサンズは「死の数」を忘れなかった。
コーラの姉がそっと葬儀を見ていた。そこでイーデスと会う。二人は悲しみで繋がる。
そして物語の鍵になるものに気が付く。

サンズの頭の中にもつながったものがある、やっと犯人の意図に行きつく。

ルシールが夢うつつで自分を見失ったのはなぜか、家族は皆彼女の敵だったのか、ルシールの怯えは何か。家族の心理はルシールの疑心暗鬼か、複雑に絡んだ糸は連続殺人に姿を変えて4人の命を奪った。狂ったのか。それともストレスによる混乱なのか、ルシールの世界はミラーの創造の世界を映している。
終わりまで誰がなぜという答えが見えなかった。入院者の異常な行動もはさんで、物語の底は深い。
ただルシールの混濁したままの話は、わずかながら技巧にすぎるようにも感じた。
 
 


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「犬の心臓」(KAWADEルネサンス) ミハイル・A・ブルガーコフ

2021-07-12 | 読書

 

死んだ若い男の脳下垂体を犬に移植したら、犬が人間化したという。SFのような怪奇小説のような、面白怖い作品。
ただ、これが革命直後、レーニン時代に書かれたということを解説で読んだ。新しいソ連体制に真っ向から立ち向かう作品ではなく、多くの非リアリズム的で幻想的な作品が書かれた時代、これもその中に含まれる。
ブルガーコフは時代の風俗を風刺したこのような滑稽さも含めた作品で何とか息を継ぎ、レーニンから舞台の仕事をもらったとか。本音とは矛盾した生活は彼にとって不幸な時代ではなかっただろうか。1989年になるまで出版はされなかったらしい。
極貧と貴族的富裕が混在する、革命後間もない時代の作品が見せる背景を多少は理解することはできた。

参考にと「中野京子さん」のロシアの怖い絵を読んでみたがメインになっている時代の話が、この作品の時代の少し前でおわっていた。それでもロシアという特殊な成り立ちの国と、蓋を開ければ何処も同じ、何も変わってはいない人間の歴史にはまってしまった。といっても、ロマノフ家崩壊の後がすこし少し重なっていたので理解には役立った。

死んだ酔いどれの若い男の脳下垂体を、「シャリフ」(一般的な犬の名前)と呼ばれている野良犬に移植する
医者は若返り手術の権威で数々の実績を上げていた。
犬は熱湯を脇腹にかけられて死にかけていた。飢えてもいた。親切ごかしに暫くは天国のような暮らしをした後、粗野で無教養の男の脳下垂体と陰嚢を埋め込まれる。

犬は元の素朴さを失い、人間に徐々に変化する。二足歩行から言葉を覚えていくが、男の下品な本性も受け継いでいた。

この経緯を助手は研究のために記録しているが、少しずつ人化していく段階はSF的で面白い。だが現実はてんやわんやで、若返り自体は世間に受け入れられ医師の商売は繁盛しているが、この実験で日常が破壊されていく。

最後の手段でもとに戻すことになった、頭に傷のある犬の穏やかな日常が戻ってきた、医師は傍で腰を下ろし、スチームの効いた部屋でくつろいでいた。犬もなんとなく幸せ。

何度も挫折した代表作の「巨匠とマルガリータ」は読了出来るだろうか。

変容といえば以前筒井康隆の「メタモルフォセス群島」が面白かったのも思い出した。突然変異した生物の島は、人工的ではない。それは進化の過程を切り取ったものだったかもしれない。記憶は薄れているが思い出したのでそのうち本を探してみよう。

後ろに河出書房新社の「奇想コレクション」が掲載されていた。コレクションは20冊ある。どれも面白そうなのでメモをした。

ダン・シモンズ『夜更けのエントロピー』 嶋田洋一訳、
シオドア・スタージョン 『不思議のひと触れ』 大森望編
テリー・ビッスン 『ふたりジャネット』 中村融編訳、
エドモンド・ハミルトン 『フェッセンデンの宇宙』
アルフレッド・ベスター 『願い星、叶い星』 中村融編訳
シオドア・スタージョン 『輝く断片』 大森望編訳
アヴラム・ディヴィッドスン 『どんがらがん』 
ゼナ・ヘンダースン 『ページをめくれば』 
ウィル・セルフ 『元気なぼくらの元気なおもちゃ』 安原和見訳、
コニー・ウィリス 『最後のウィネベーゴ』 大森望編訳
パトリック・マグラア 『失われた探険家』 宮脇孝雄訳
タニス・リー 『悪魔の薔薇』 安野玲・市田泉訳、
シオドア・スタージョン 『[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ』 若島正編、
ジョン・スラデック 『蒸気駆動の少年』 柳下毅一郎編、
マーゴ・ラナガン 『ブラックジュース』 佐田千織訳
グレッグ・イーガン 『TAP』 山岸真編訳、
ジョージ・R・R・マーティン 『洋梨形の男』 中村融編訳、
フリッツ・ライバー 『跳躍者の時空』 中村融編、
テリー・ビッスン 『平ら山を越えて』 中村融編訳
ロバート・F・ヤング 「タンポポ娘」伊藤 典夫 編
 
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「ソウルケイジ」 誉田哲也 光文社文庫

2021-07-09 | 読書

 

会話の部分は一人分で改行しているので白地の部分も多く、眠くなる暇がなく読み終えた。軽く面白かった。前作の「ストロベリーナイト」ほどのグロテスクさは薄味。
警察内部の話で紅一点の姫川刑事がいい。それに絡む年上の部下から監察医、そして背景では、組織の闇の部分に落ちていく警官など、前作は衝撃的だったが面白かった。
前置きが長くなったが、その「ストロベリーナイト」の数ヶ月後に起こった事件だ。


多摩川の土手に放置されていたライトバンから左手首が発見された。
だがほかの部分は見つからない。姫川班も動員され、周辺の捜査が始まる。
事件現場は確定したが、捜査は進展しない。

調べていくうちに、建築工事の関係者らしいということがわかってくる。

そして、事件の関係者の生い立ちがそれぞれ一人称で語られる。

身寄りのないものどうしの結びつきや、建設工事の裏や表、過去に地上げ屋のために苦しんだ家族のこと。

極貧の借金生活を清算するために、生命保険を当てに死んだ親を持つ若者のその後。
父親の自殺現場にいて助けられなかった贖罪の意味で若者を援助し、育ててきた過去のある男。

そういった人たちの話が絡んで、複雑な歯車がまわりだし、警察もそれに巻き込まれる。

生活のために命がけで金を工面する生き方。
それを食い物にするやくざ。
そこに生まれていく憎悪。
一方同じ境遇のものが強く結びついて、事件の謎を深めていく。

前作の猟奇的な面は少し陰を潜め、底辺で暮らしている恵まれない星の元に生まれた人たち。
その哀感が漂う生き方が事件を招き、最後にすべてが明らかになる。

捜査本部のお馴染みユニークな人たちは、姫川を中にして面白く、次第にそれぞれの生活も語られる。この息抜き的な空間があり、重い現実と平行して解決へのスピード感が増し、読む速度が上がる。

この警察ミステリ、面白かった。
 
 
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紫陽花の季節も終わり (2021年)

2021-07-09 | 山野草

今年のアジサイも終わりになった。ありがとう、またね。

 

でも、まだ神戸の森林植物園で咲いていた「たまあじさい」を見ていない。咲くのがちょっと遅くてお盆休みの頃だったけれど、今年は早いかなぁ。もし行けたら

その時は、タイトルを「アジサイ再び!!」とか

「あきらめるのは早い、ここではまだ咲いている」にしようかな (*´∀`*)

 


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梅シロップ

2021-07-08 | 日日是好日

 

今年は梅の実がたくさん(自家比?)できたので収穫して氷砂糖漬けにしました。左は昨年作った梅干しの残りです。今年はこれを食べます。

 

洗って二時間ほど水に浸して、鍋に入れて煮ました。皮が煮つぶれる前に出して、熱々のまま氷砂糖を敷いた瓶に入れ夕方までに二三回混ぜておいて出来上がり。

レシピには細かいやり方が出ているけれど、毎年すぐ飲んでしまうのだし、瓶の殺菌など気を付ければ種もそのままで、翌日にはもうシロップの中で梅がぷかぷか浮かんでいます。

砂糖は半分か重さの2/3くらいで。煮てそのまま熱湯殺菌済みの瓶に入れるだけの手抜きですが、食後に一個シロップと梅の実を入れて炭酸水で割るとおいしいです。

口に残った種をコリコリ噛んでいるうちに後片付けが終わります(^▽^)/

 

まだ売っている直売所のプラムもこうやってシロップ漬けにすれば、ジャム作りより簡単かも、と思っているのですが、まだ試してなくて。

でもあれは皮が少し硬くて酸っぱいので、実をかじるものでなくてつぶして使うものかなと、どうしたら手抜きでおいしく出来るかか思案中です。

毎年野菜でも収穫時期が食べる時、こう思って季節の巡りに沿って暮らしています。

 

昨日はオレガノを使ってハンバーグを作りました。

庭では花オレガノミルフィーユリーフのピンクの花が盛り上がって咲いています。花屋さんではオレガノもいろいろな色が増えていました。育てやすいし可愛いので植えてみようかなと思っていますが雑用も多くて、そのうちですが。

大急ぎで更新

 

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変身 野の花

2021-07-07 | 山野草

お馴染みの野の花も、花壇に登場するときは華麗に変身しています。

近所にマツヨイグサが咲いていたので見に行こうと思っていたのですが、通りがかりに見ると強い雨に濡れてすっかり元気がなく、まだつぼみがあったので咲き終わるまでには晴れてほしいと思いながら帰ってきました。

 

学生時代運動部のメンバーでよくキャンプをしました。その頃はみんな元気が余っていたのかも。

天橋立ではなんだか公民館のようなところに泊まりました。安上りで簡単な食事もついて(食べ放題でおいしかった)海の音も聞こえて一石何鳥もの特典付きでした。笠置山麓の河原にテントを張ったこともなかなか楽しかったですが、とっておきの思い出です。

その時、珍しく早朝に目が醒めてどこかはっきりは覚えていないのですが、文殊堂からぶらぶらと歩いていたら、黄色の花園のようなマツヨイクサの群落がありました。

よくある花で珍しくもなかったのですが、よく寝たせいで視力もさえていたのか、なんてきれいな花だろうと感激、すっかりファンになりました。

その後、気をつけていると、形は変わっても(種類によって大小があり)どこに行っても見かけるようになって、そのたびに、キャンプの日焼けしたメンバーを思い出します。

 

マツヨイグサ(宵待草 月見草)

 

カワラナデシコ

野に咲いているのはもっと素朴なピンク色の花ですが

これはまた美しい。

 

ノコギリソウ(アキレア)

セイヨウノコギリソウはよく似た白い花で、近くの里山でも遠くの高山でもみかけます。

こちらは、ギザギザの葉っぱで何にも負けないぞという姿が頼もしいです。

 

雨で鬱陶しいですが、軒下の植木鉢には少し水をやりました。

挿し木だけが元気で、コンロンカなどは5センチにもならないのに花が咲いていました(@_@)

「あのね、白い葉を出したり花まで咲かさないでもいいから、もう少し大きくなって早くこの箱から出ないとね」としっかり言い聞かせてきました。

 

口答えしないところが静かでいいです。

 


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優しいピンク

2021-07-06 | 山野草

今年はバラをたくさん見ました。また秋の開花を楽しみに。

 

花嫁

洛北

京極

プリュム

ミルフィーユ

 


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エミリ・ディキンスン アメジストの記憶 大西直樹訳 

2021-07-05 | 読書

 


暫くディキンスンから離れていたのですが、時間も経ち、改めてこの本を手に取ってみました。

私の覚えていたことといえば、名家の令嬢で、キリスト教の福音書による教育に馴染めず、ついに教会にも通わず、周りからは変わり者に見られていたこと。詩は公になったものは10編で、1800編近い詩稿はエミリ・ディキンスンが亡くなった後で、妹が見つけたこと。
最初の詩集は、兄の不倫相手が編纂して刊行したこと。没後100年の記念として刊行された全詩集が世界で評価されたこと。
新聞に投稿した詩を編集長に酷評され、当時女性の詩は認められにくかったこと。性格的にも社交的でなく、反面プライドが高く、館の二階からあまり出ないで詩を書く事だけに生きたこと。南北戦争も体験した時代にボストン近くの知的な地域でそだって独身のまま亡くなったというような大雑把なことだけでした。父の死後白い簡素なドレスで引き籠ってしまったという、なんとなく意思を通しながらも孤独そうな生涯にちょっと憧れたのかもしれません。

今回大西直樹著のこの本を読んで、近世の伝記のようなものは、時がたつにしたがって次第に正確な資料が見つかり、歴史がより明らかになっているということに気づきました。

エミリ・ディキンスンは平生は明るく朗らかなところがあったようです。ボストンに近いアーマストの街で19世紀の宗教的覚醒時代と呼ばれる中にいました。ポーやホーソーン、などなどこの時代は多くの作家や詩人が生まれています。ホーソーンの 緋文字を読んだときは、ピューリタン的戒律のきびしさから一人の女性を人間として目覚めさせ、周りも理解を深めていく過程が感動的でした。

そういった中でエミリ・ディキンスンも自己の生き方の覚醒と宗教との間で揺れ、こういった歴史的な背景の中で生まれた詩はやはり宗教的なテーマ多く、やはり文学は時代を超えないということを実感しました。先見的なリベラルに見えるエミリ・ディキンスンでさえ、多くは宗教的な香りを持った詩を書いています。

後年世評が高まった時になってやっと実像に近づいた詩集が出版される。エミリ・ディキンスンは若い女性で南北戦争の悲劇も体験し、恋もしたようで、「マスターレター」と呼ばれる三通の手紙は投函されずに残っているが、あて先は判らないままになっている。もう出尽くした感じがある今、この本を読むと結婚さえ考えたこともあったようで、まだ自伝には終止符が打たれない部分があるようです。

兄の結婚相手であるスーザンとは詩を見せ合う親密な友人だった。しかしスーザンと兄との間は冷たく、兄の不倫相手だった、活動的で美しいメイベルが編纂した詩集ではスーザンにはあまり触れられていません。意図的であり、歪曲された部分があると著者は書いています。
清純な隠遁者、白い服を纏いあまり理解者のない詩を書く、その神秘的なイメージを長く人々は信じ、私もそうだったのですが。

著者は暗喩で飾られたエミリ・ディキンスンの特異な形の詩をとても深く理解し、よく伝わります。

エミリ・ディキンスンが現在、高く評価されるのは、彼女の作品が「ありきたり」なかったかでなかったからである。ここでも彼女の作品と人生を支配している逆説が支配している。友人のアバイア・ルートに「ありきたりって私、大嫌いなこと知っているでしょ」と少女時代に書き送っているように、定石どおりであることに興味を示さなかったのだ。



謎解きのような詩も多いという。閉じこもった部屋で書く詩は彼女だけの中で熟成し、読者の共感を得にくかったのかもしれない。広く公開されて読者の層が広がって、

初めて彼女の理解者に迎えられたように思えます。

それほどエミリ・ディキンスンの詩は言葉も形も個性的であって多くの人には難しい部分も多かったようで、日本でも難解な現代詩といわれるような詩が現れ時代を築いてきました。

エミリ・ディキンスンは自分だけの詩を発酵させ、それがやっと多くの支持を得たのではないでしょうか。

彼女は四六時中、自分にとって詩的と思われる言葉を探して生きていたことだろう眠りにつこうとするときでも。その時ふと思いついた貴重な言葉を、朝起きるまで覚えておこうとしながらも眠り込んでしまったその感覚が淡い記憶として感じられるだけだ、ここに描かれている宝石は、詩としての言葉の比喩として読めるだろう。

私は、宝石を一つ手に握って
眠りについた
その日は暖かで、風はありきたり。
私は、宝石は大丈夫、といった
目覚めると手を叱りつけた
宝石はない。
今、残っているのは
アメジストの記憶だけ。

最後に、詩人の後世に与える影響について

詩人とはランプに光を灯すだけで
自分自身は、消えていく
芯を刺激して、
もし命ある光を

太陽のように、受け継ぐなら
それぞれの時代はレンズとなって
その周辺の広がりを拡張していく。

彼女の詩に触発された様々な芸術作品が、次々と世に発表されて来たその広がりはますます大きくなっている。


偶然で驚いたのですが2017年7月にエミリ・ディキンスンの映画「静かなる情熱」が公開されていました。見てみようと思います。

 


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滋賀水生花園の熱帯睡蓮

2021-07-04 | 山野草

琵琶湖のほとりにある「水の森」の花壇ですが、いままでも何度か花を見に行ったのです。その時は睡蓮ももっと元気にたくさん咲いていたように思うのですが、今年は少し寂しい感じでした。

コロナのせいで人も少なく、密を避けて私のように出かけていく人もまばらで(たぶんそうだろうというのが出かける口実かも^^)睡蓮が咲く温室も外の花壇もゆっくり歩くことができました。

熱帯睡蓮は、冬場でなく春から秋にかけて気温が高い時に開花するそうですが、温室なので機嫌よく(たぶん)次々に咲いているようでした。

やはりカタログ風に

 

これは温室の外で咲いていた睡蓮です

 

 


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里山のねじばな、など

2021-07-04 | 山野草

ネジバナの季節を忘れていました。いつか見たことがある山の田んぼに行ってみました。

 

ネジバナをよく見ると、やっぱり蘭のなかま。

小さくても可愛い同じ蘭花の形でした。

 

もっとたくさん咲いていたように思ったのですが

なかなかみつからず、やっと草むらにぽつんぽつんと。

 

ブタナと寄り添って、ふたり連れで

 

露に濡れていました。

 

ナワシロイチゴの実もありました

 

アカメガシワの花です

 

小さい刷毛のようで、木のてっぺんで風に揺れています。

 


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「ファーストラヴ」 島本理生 文藝春秋

2021-07-03 | 読書

貸してくれた知り合いに、この題名は?と聞くと、それはちょっと難しいラヴだからぜひ読むといいということで、直木賞を読んでみた。
島本さんと言えば作品は多く恋愛小説らしいが、これはミステリ風味で、恋愛は少し薄味ということだった。


父親を殺したかもしれないと言っている女子大生環菜の半生を、ノンフィクションの形で書く事になった臨床心理士の真壁由紀は、インタビューもかねて面会に行くと、環菜は取りつく島もない。

環菜の義父は画家で学生を指導し、家の離れでデッサン教室を開いている。母は父に盲従、娘には無関心。それでも由紀の質問に対しては母をかばう。

美貌の環菜は幼い頃からデッサン教室でモデルになっている。男性のモデルと全裸で学生の視線に耐えることが成長するに従って苦痛になり自傷を繰り返していることが判る。

なぜ父を包丁で刺したか。トラウマがあるだけに環菜の事件は救いようがないかに思える。

一方弁護士の迦葉は由紀の大学時代の友人で、一時付き合ったことがあるが、由紀はその兄と結婚している。
写真家で受賞歴もある夫はおおらかで温かく優しい。由紀と結婚することで海外に行く夢を絶ち結婚式のカメラマンをしている。

由紀にも母親との確執があり、迦葉も由紀との間に成就できなかった思いを残して、それが現在でも恋愛に真摯に向き合えずにいる、結婚もしていない。

環菜は由紀にも言えない(いいたくない)ほどの苦しみを抱え、そんな自分を信じられなくなっている、自我を見失いそうになっている。それが逮捕されたときの「動機はそちらで見つけてください」という言葉になり、ひどくバッシングを受ける。ますます父を殺したことも曖昧になっている。

迦葉と由紀は彼女の真実の姿を追いかけていく。
会話も増え、環菜を見るにつけて自分自身を見つめることも多くなり、こじれていた二人の関係も、次第にほぐれてくる。

環菜は、なぜどうやって父を殺したのか。

由紀の夫が明るい光になってはいるが、冷酷な人間たちに犯されていく魂がよく書けている。文章も読みやすい。
由紀と環菜の心の揺れも、何気なく見える生活の奥底にはありそうでいい。

それでも欲張れば、どこか都合のいい成り行きに、これが直木賞というものかと少し期待外れの印象を受けたが、ストーリーは何か納得できる部分もあり、この作者の物は初めてなので読んでよかったとは思う。

 

 

 

☆TVで映画化の宣伝をしていたので、本が好き!の感想文から、

どんなストーリーだったかな。最近本を読んでもメモしないので、すっかり記憶から消えてしまって。これではいけない ٩(๑❛ᴗ❛๑)۶よ~し

 


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ノウゼンカヅラ と すもも

2021-07-03 | 山野草

朝の散歩のとき、果樹園の即売所で籠一杯に採りたてのスモモが入って並んでいました。つやつやしておいしそうなので、備え付けのビニール袋にほぼいっぱい詰め込みました。それで500円なんて嘘みたい。

通りかかった方が「それ何ですか」「スモモです。よく熟しておいしいですよ」 でも買わず通り過ぎて行った。

持ち合わせがないのかな、でもスモモ知らないなんて、なんて不幸( ノД‘)  

まぁいいか人生いろいろだし。

おいしいスモモのある人生(´∀`*)ウフ

17個100円です(間違えた7コ 17コって多すぎてゴメン) 。籠の底に残っていた小さめの実をおまけにもらいました。

ソルダムが入っていたので、「これはまだなんですか」と訊いたら、明日採りますから来てね、ということで明日は野菜室を片付けて、大きなマイバッグをもっていくつもりです。「ソルダムは10個で100円だよ」ってこれも安いね。

皮が青くて中が赤い甘いソルダムは、田舎の家の前を流れる川の縁に並んで植えてありました、実が落ちる前に取っておいでと言われワクワクでした。

いつもは寝坊する日曜日ですが早起きします。

 

そばの家のノウゼンカズラがしだれて散っていました。

 

覗いてみると古い桃ノ木?

山盛りのスモモとおまけ(^▽^)/

 


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ヤブカンゾウ

2021-07-02 | 山野草

買い物に出ようと思ったら雨が止んでいました。朝散歩のとき赤い色を見たので、山(生駒山系の裾)に向かってハンドルを切りました。すぐ近くの田んぼの畦に毎年ヤブカンゾウが咲きます。

あの赤い色はカンゾウの花だ。やっぱり(^▽^) 咲いていました。

花は一日でしぼむので、道路わきに駐車して濡れた草の中をあるいていきました。滑ると田んぼに堕ちて泥んこになるのでちょっと冒険です。

それがまたタイミングよく咲き始めたばかりのようでした。わーいわーいヤッタネ!!カメラを振り回したい気持ちで。

 

最近花壇で見るヘメロカリスは仲間で、ヤブカンゾウは八重咲きなのですが、一重咲きのノカンゾウも仲間です。

PC先生によると

ワスレグサ属 (ワスレグサぞく、 学名: Hemerocallis )は、 キスゲ亜科 の 属 のひとつ。 キスゲ属 、 ヘメロカリス属 、 カンゾウ属 ともいう 。 中国 では萱草(カンゾウ)属とも。

だそうです。

 

ワスレグサという属名は新芽を食べたり花を見たりするとあまりの美味、花の美しさに俗世を忘れるほど、ということだそうですが、私は新芽をあえ物(酢味噌)にして食べたこともありますが、感動するほどおいしくははなかったような。

ただ野の花にしては珍しく目に飛び込んでくる赤い色の、重ね着を凝らしたような八重の花の形は、和の心というより洋風のインパクトのある花のように感じます。

古代の人々は地味な風景に中で咲いているこの花を見て素直に「まぁごらんあそばせ、あのおいしかった春の草がこんな美しい花を咲かせましてよ」ヤンヤヤンヤと、褒めて憂さをを忘れたのでしょうか(^▽^)

時の流れは感動の質も変えるようです。

 

水生花園のヘメロカリス

 


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