空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

「北の狩人」 上下 大沢在昌 幻冬社文庫

2014-10-27 | 読書
  



久し振りに大沢さんを読んだ。「鮫」シリーズを読んだのが随分前で、新しいシリーズがあるのを知らなかった。最近雑用が増えて読書に使う時間が少なくなった。それでも手に本がないと淋しい、余り考えない面白くて読みやすい、どこでも読み始められるこの本にした。


やはり新宿が舞台になっている。今回も警察と新宿に根を張る暴力団との争いに絡んだ人たちの話。これは以前「鮫」の構図と同じ様に感じられる。
ただ今回は殉職した父親の死の原因を調べる息子(梶雪人)と、それに関わる刑事、後援者、暴力団組員が利害の枠内で命がけで争う。

秋田で発生した殺人事件で警官の父親は同僚と二人で犯人を護送するが新宿で殺害され、護送警官の一人、梶の父は死体で発見される。
だがもう一人の警官は行方が知れなかった。同じように殺害されたと言うことで解決していた。

この事件のキーワードが山草の「春蘭」と可愛らしい。どこにでもある花だが、たまに見つかる変種は好事家のあいだでは莫大な値で取引されていた。
新宿を拠点とする暴力団、田代組はこの事件に関わって組長が殺されて潰れ、構成員だった団員は、他の大きな組の傘下に入りそこでのし上がろうとしていた。

また秋田にいる梶の祖父はまたぎであった、だが山は痩せ猟ができる機会も減ってきていた。そこで息子を警官にしたが事件に巻き込まれて死亡し、その息子の梶は祖父に育てられ、やはり警官になった。

祖父から自然の節理や自然とともに生きていく智恵を授かり、またぎの暮らしの中で身体を鍛え、警官になったチャンスを生かして父親の真相を調べに上京するところから話が始まる。

新宿に来て父の事件を調べる梶が巡査だと言うことを知り、新宿書の刑事佐江が協力する。祖父の釣り仲間は財力が会って梶を保護する。
また、かって田代組の組員で組長の死に不信感を持っていた男も。関わってくる。

大まかな始まりはこういうところで、梶が暴力団の勢力争いに巻き込まれ、そばにいた一匹狼の冷徹な男に絡んだ贋札作り、中国マフィアと話が広がる。
ただ「春蘭」から始まった警官殺しから、息子が真相にたどり着くという一本のメインストーリーがあって、サブストーリーは単純なものになっている。

フロストを思わせる太めで生活観のない佐江という刑事が新しいシリーズの根回しをするようだ。
今回で解決した梶巡査は、新宿で知り合った少女を連れて秋田に帰り。
また新しい話では別の人物が話に加わってくると言う形になって、シリーズ化されている。

比べるのもおかしいかもしれないが、「鮫」を読んだ印象からすれば、主人公も作者の苦心の跡が見えるが、全体に読みやすく薄味。

次の「黒の狩人」は評価がいいらしいが、「鮫」を読み通した以前の読者はどのくらいいるだろう。「毒猿」をしのぐと言う意見だけは信じて、また機会があれば読んでみたい。





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「図書館戦争」 有川浩 角川文庫

2014-10-20 | 読書

図書館戦争シリーズ①


話題になった時買って積んであったが、アニメになって映画になって、今はシリーズが6冊になっているそうだ。
目先にある読みたいものから読んでいったので今頃になってしまったが、有川さんのものは今まで4冊読んだが皆軽くて読みやすかった。これもそうだろうと高をくくっていたが、これは余り時間に読めてしまうような話ではなかった。面白かった! その上、子供の頃から利用してきた図書館について考えさせられた。

田舎から帰ったのが小学3年生で、本に飢えていた。学校に図書室があるのを知り小躍りしたが、市立(当時は町立)図書館を知って通いつめた。往復の時間が惜しいので、図書館が閉まるまで読んで、走って帰った。

今でも時々思う、予習もない、宿題もない、テストもない、なんていい生活なのだろう。本が読める。



過去の図書館運動の成果で、図書館はそれぞれの管区で運営されてきて30年、平行して公序良俗を犯す図書を取り締まる「メディア良化法」も出来ていた。良本の解釈を通して両者の小競り合いが続いていたが、不穏な空気を察して、図書館を守るために行政と図書館員で図書隊が作られていた。

笠原郁は高校生の頃に助けられた図書隊員に憧れて入隊する。女性はたった一人だった、その上図書特殊部隊に配属され、厳しい訓練を受ける。同僚や上官、先輩たちとともに様々な経験を積んでいく。彼女は大柄で足が速いと言うだけでなく、直情径行、愛すべき人柄だった。
小柄な上官とは何かとぶつかり、同期の秀才と反発しあいながら、隊員として図書館業務にも慣れていく。

可愛らしいラブストーリーに発展しそうな予感が戦争と言う硬い響きを和らげている。

図書館業務についても勉強になった。


良化法に照らした検閲や書類つくりなど細かい点も、図書館法だけでは守りきれない、対抗措置なども抜かりがない。こういう点も面白かった。


終盤の盛り上がり地点。中学生が参加する「原則」対「特例」、「子供の健全な成長を守る会」対中学生が作った「考える会」のフォーラム。
結論がまたいい、規制要求の強硬な「守る会」を封じた図書館協会の会長の弁。

ーーーーー図書館は学校の延長機関ではなく、また家庭の躾の代行機関でもありません。もちろん教育の一助となることを否定するものではありませんが、開放された多様な図書の中から子供たちが自由に本を選択できる環境を提供することが自立への支援になると考えています。何より娯楽作品との距離の取り方は保護者が指導すべきものです。その責任を学校や図書館に求めることは、保護者としての責任を放棄していることになるのではありませんか? ----


時代は代わりつつある、携帯電話、パソコンなどメディア教育の進歩。考えなければならない問題は保護者側だけにあると言い切れはしない。子供たちの作った「考える会」はそういう問題にも明るい読後感を残す。


ついに全面対決、図書館戦争に突入する。これも面白かった。



話は変わるが、ジェフ・アボットの「図書館長ジョーダンシリーズ」を思い出した。
性描写が少しでもあるとキリストへのボウドクだと言うので悪書と決め付ける女性が殺され、館長官庁が疑われると言う、面白い作品だった。続きがなかなかでない。








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「伝える力」 池上彰 PHPブジネス新書

2014-10-17 | 読書


散歩道の本屋さんで見つけて買ってきた。裏の一覧表を見て決めたが、帰ってよくみると175万部と書いてあった、恐るべし!!
池上さんにはいろいろ教えてもらっている。TVで。

まず「伝えられる人」になるためにはーーーー

◇ まずは「自分が知らないことを知る」
◇ プライドを捨て、謙虚になる
◇ 自分のことばかり話さない
◇ 型があってこそ「型を崩す」
◇ 会議では一人一人の目を見ながら話す
◇ 原則として「1対1」で叱る
◇ 「みんなの前で」褒める
◇ 「聞く」ことで「伝わる」こともあると知る
◇ 危機管理として謝る
◇ 優れた文章を書き写す。
◇ 「もう一人の自分」を育てる
◇ 人に話しながら書く内容を整理する
◇ ブログを書く
◇ カタカナ用語は社外の人には使わない
◇ 「そして」「それから」は使わない
◇ メールでは絵文字を使わない
◇ 小説を読んで上質のインプットをする
◇ 人間と語彙の幅を広げる
◇ 思い立ったらすぐにメモをする
◇ 年始に大まかな一年の予定を組む  etc


     *  *  *  *  *    


◇ カタカナ用語は社外の人には使わない
◇ 「そして」「それから」は使わない
◇ メールでは絵文字を使わない

この三つが駄目だな。

◇ 危機管理として謝る

これは夫婦喧嘩に使えるかも(笑)


◇ 自分のことばかり話さない

了解! 聞かれないことは話さない(ようにする)


●「たたかわない生き方」に「伝える力」も追加した。



そうだ、忘れていたが、花でも見てのびのび暮らそう ヾ(〃^∇^)ノ (思いっきり絵文字 笑)




気がつかなかったがデュランタ宝塚 が咲いていた


シロバナサクラタデももう終わり





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「福音の少年」 あさのあつこ 角川文庫

2014-10-16 | 読書


私が読んだのは、夜空の表紙だった。夜空に大きな月が出て鉄塔の影が見える、この方が原作の雰囲気に合うと思うが、それも随分愛読されたと見えてよれよれだった。検索すると少女の表紙が出てきた新しい版なのだろう。かわいいのでまぁいいかな。


書き出しは、少年たちに情報を与える役の秋庭が来るところから始まる。戦地で記者として働いてきた彼は、余命一年を宣告されている。9人が焼死したアパートの跡地に立ってみようと思っていた。彼は焼死した少女を見かけたことがあった。

このあたりはいつもの浅野さんの筆致ではない重い感じから始まる。細かい風景と心象描写が読ませる。こういう風に進んでいくのかと思っていると、高校生の話になると、やはり読みなれた調子に戻る。

文章通り読んでいけばいいので楽なのだが、作者の「渾身の物語」と書かれているだけに、「死」をはさんだ二人の少年の物語は重かった。

明帆という詩的な名前の少年と、焼死した藍子はカップルだった。しかし秀才の明帆は藍子の愛情を受け止めるには心理的に距離があり、のめりこめないところを、最後になってしまった藍子の、別れの台詞で「可哀そう」と言われてしまう。

柏木楊は藍子のアパートの隣りに住んでいるので幼馴染だった。火事の時は外に出ていて一人だけが生き残る。

柏木は何度も繰り返し述べてあるように、心にふわりとしみるような美しい情感のある声をしていた。

親切で男気のある明帆の父は、同級生で孤児になった柏木を住まわせる。

丸焼けになった火事に不審を抱いた二人は、藍子について、家事の原因について調べようとする。

秋庭は、高級ホテルで見かけた少女が焼死体で見つかったという写真を見て、少年たちとは違う角度から、藍子の行動について探り始める。

明帆と柏木という二人の少年は、相容れない自我を抱えながら、同じ目的で行動するが、いつもお互いの生き方を見つめ続けている。

殆ど大人の人格を持ちながら、まだどこか曖昧な部分を残している少年たちが、読んでいると、共通の部分では重なって見えるが、独立した個人の部分では、違った方向を見ているような、かみ合わない会話など浅野さんはよくみて書いてある。

一ヶ月後、秋庭の情報力もあり、犯人が浮かんでくる。
犯人から連絡があって焼け跡で落ち合うことになる。
明帆はとめる柏木を振り切って、焼け跡に走っていく。

このシーンは少し不可解な感じもするが、「可哀そう」と藍子が言った意味に、時間がたってかすかに思い当たる、彼の中にも実感がある、明帆の一種の「贖罪」ではなかったかと思う。図書館の聖書の話もある。

勝手な想像だが、秀才と言われるものは、自己にこだわり、他所に思いやりがない場合が多い。明帆もそういった成長過程にあったのだろう。

純粋であるだけ他者を傷つけることも、高校三年生という年齢には越えていく一つの人生体験だろう。


後半になって、秋庭の戦争体験の話が出てくる、人の死を身近で見たということだろう。柏木は秋庭の記事を読んでいたというが、ここにいたって、何か違和感を覚えた。


若者の手前にある少年たちの心を捉えて読みやすいが後に残るものも多い、いい作品だった。







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「暗い越流」 若竹七海 光文社

2014-10-14 | 読書

日本推理作家協会賞受賞作


図書館に予約したのはいつか忘れるほど前で、今頃読むくらいの人気作だった。
返却時の延長は認められません、と言うピンクの紙がはさんであった。
このごろ短編集ばかり読んでいる気がする。題名どおり暗い話が5編収まっていた。

「蠅男」
亡くなった祖父の家に置きっぱなしの母親の骨壷を取ってきてほしいと依頼される。葉村晶はフリーで探偵業をしている。群馬の伊香保温泉の奥に建っている寂びた家に行くと、ライターの朝倉が腐乱死体で転がっていた。ということで心霊スポットや、土地開発やらが絡んだ話。

「暗い越流」
これが受賞作。
死刑囚にファンレターが届いた。5年前、犬が吠え掛かかったというだけで犬もろとも飼い主を轢き殺し、通りかかった4人を巻き込んではね、ロータリーデバスと衝突して、運転手と乗客が亡くなり重軽傷者も出たという残虐な事件だった。
手紙の差出人を調べると、犯人の近くに住んでいた山本優子という女性だった。だが彼女は5年前の台風の日に家を出て行方不明だった。私はその捜査をすることになる。
父親は老母の介護で家出した娘を探すどころではなかったと言う。
私のところにも老いた母がいる、口やかましい母のせいで妻と娘は家を出て行った。
優子はどこにいるのか。
手のかかる親がいる家庭の重苦しさが底辺になったところが、現代を反映しているが、短い話なのであまり工夫はない。
死のうとして失敗ばかりしている「死ねない男」の話が利いている。

「幸せの家」
小さな雑誌の編集長がいなくなった。彼女が一人で切り回してきた特集は次号まできちんと企画が出来上がっていた。
女号の企画と言うので、読者から選んだ若い主婦の自慢の鍋料理を取材に行く。老人のいるらしい家庭もある。
編集長失踪の手がかりを探しに借りていた部屋に行くと、通帳に不審な入金があり、どうも恐喝でもしていたらしい。
題名の「幸せの家」というのは「幸せの家?」と言うのがふさわしい話になっている。

「狂酔」
これが一番面白かった。
教会の集会でシスターたちに向かって酔った青年が話し出す。
家庭の話は父親が自殺したことから始まって子供のころ誘拐されたこと。アル中になった経緯。
なぜここで話をしているか、静かに聞いて欲しい。ここにいた中学生の少女が子供を産んで、追い出されただろう。彼女はこの教会のシスターを慕っていて、近くでカレー屋をやっている。貰われた子供を探し出して育てて、仕事を手伝わせている。事件があるとボランティアの食事のために教会の庭でカレーを作るのを楽しみにしている。話は続く。
教会が見えて見晴らしがいいと両親が喜んでいた我が家を買った、家族の息子が行方不明になったね。そのときもカレーの炊き出しをしただろう?
延々と続く話の糸は、教会や、妊娠した少女や、通報してやってきた警官やを巡り、哀切な最後に続いていく。

「道楽者の金庫」
遺品整理業者と一緒に値のつく本の選別を任された葉村晶は今も探偵でアルバイト。古くてもいい本もあるが、見るとこけしの数がハンパではない。その中に、貴重品を入れた金庫を開く手がかりのこけしがあるという。東北の別荘まで探しに行き、てんやわんやの話。
こけしが見つかったことは見つかった、その貴重品はと言うと???なものだった。


それぞれ面白い、短い話なので、楽しめた。



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「月食」を写して、風邪

2014-10-10 | その外のあれこれ


ちょっと遅いニュースで(^∇^)

玄関のドアをあけたら正面の上の辺りに赤い月が見えた。
家が騒がしいと思ったら、「さぁ写そう」と言う家族がスタンバっていた。
じゃ私もと、ごそごそとカメラの用意をした。

出来上がりは、私も夫も手振れで未熟者夫婦(;^ω^A

息子のマクロレンズがこのくらいに写った。
私のレンズも手振れ補正があるのに残念

朝から風邪で熱が下がってなかった。写真はそのせいではないけれど、喉がますます痛いし、まだ熱がある。

おかげで氷枕を入れて気持ちよく積読の解消をしている。ごほんごほんと咳が出るし、鼻をかみすぎてぴりぴりする。

これで少しは痩せるかと思えば食欲だけはある。「食べたいものある?」ときかれたのであれやこれやメモって頼んだ。

やはり、だるくて調子が出ない。








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タント君が凹んだ

2014-10-08 | その外のあれこれ



午前中、コーラスで気持ちよく話し、歌ってうきうきでかえってきた。
スーパーに寄って買い物をして、駐車場で車のそばまできたら、「ドカン、バリバリ」と大きな音がして、わたしの車の前に白いFITがバックでぶつかった。
横のスペースに入れるつもりがうまくいかず、もしかしてバックギアのままアクセルを踏んだかもしれない。年配の女性だった。
女の運転はダメと言うけれど自分のことを思うと、性別に関係なく下手なものは下手だ。
「病院の帰りでボーっとして、、、」
それを聴いて、そうなのか 私も病院帰りに悩んだことがあった。
車は凹んだならなおせばいいや。と思った。これが人身事故だったら「ボーっとしていた」も通らないだろうけど、まぁいいか。
警察に届けて、すぐに来てくれたおまわりさんと話しをして、帰った。

あちらの保険会社からも折り返したように連絡が来た。
担当の方が付近の地理に詳しいので驚いていたら、同じ市内の人だった。世間は狭い。
清く正しく暮らそう(^∇^)

車がないと不便だと言ったら、すぐに代車も来るらしい。

新車だが、変な顔も見慣れて、案外乗りやすい。燃費もまずまず。
停車するとエンジンが止まる。発進するのは何秒か遅いけれど、レースに出るわけじゃないし、後続車が怒るほどでもない。地球にはやさしいかも。
スライドドアも、同じサークルでちょっと足の不自由な方のアッシー君をしているが乗り降りがしやすい。

よくみると左のバンパーがガツンと凹んでいる。取替えるだけで治るのかなぁ。これは見ないと解らないそうだ。
運転に支障がないので乗って帰ってきた。ガレージの奥でこっちを見ているのがなんかかわいそうだ。

前の車も分かれるのが辛かった('-'*)エヘ 








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「その鏡は嘘をつく」 薬丸岳 講談社

2014-10-05 | 読書




 「天使のナイフ」を読んで違う作品も読んでみたいと思っていた。いろいろ雑事に紛れて一気に読み通すことが出来なかったが、やっと終わった。
二冊とも同じ傾向を感じる。人間が持つ善意や、良心に触れる部分が、いい読後感に繋がっている。


エリート医師が殺害された。犯人に近いと思われる予備校生が姿を消した。検事の志藤と刑事の夏目が、真相を追って捜査を始める。
二人の人柄の違いや、異なった立場から、輪郭のはっきりしない事件に向かっていく姿が興味深い。

志藤は直感と鋭い分析力で、犯人を割り出す。理詰めで行くと犯人は逃れられない立場になる。

殺された医師は、今の地位を手に入れるために何をしたか。志藤の挙げた被疑者は間違いがないのか。

殺害された医師の発見のために騒ぎを起こした予備校生の真意は。


病院経営者の両親を持って、恵まれた富裕族の子弟は、病院を継ぐ運命のために、医師を目指して予備校で教育を受ける。全ての子どもが医師に向いているとは限らない。運命と自己の間の葛藤を利用して、殺された医師は何をしたのか。

事件をはさんで志藤と夏目の人格の違いや、事件の背後の人たちの苦しみが、暗いながらも読みきる力になる。

哀切な話もあって解決するが。真実や人生の深みは余り望みすぎてはいけない。

上質のエンターテインメントとして十分書ききれている。素直に感動的なシーンを受け入れて読み通した。

他の作品も読んでみたい。




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「神かくし」 南木佳士 文春文庫

2014-10-01 | 読書

南木さんの作品と付き合ってきたが、2005年刊行のこの作品では、病気から立ち直り、まだ不安を残しながらも、診察を続けられるようになった生活が語られている。
身の回りの暮らしや、人との交わり、過去の出来事に繋がる思いなどが深く静かに、それが生活のリズムの背後で過ぎていく。秋に読む本にはぴったりだった。
ただ、山や川の呼吸が聞こえるような環境を知っているか、一山越えたかのような人生の境地にあっても、まだ迷いがふっきれない思いを共有できなければ、この作家の歩みについていくのは難しいかもしれない。

新進気鋭の医師だった頃から、挫折を繰り返しながらたどり着いた今の生活が、私小説とでもいうような味のある文章で綴られている。


「神かくし」

まだ病気からしっかり治りきってない秋、二人の老婆と、なぜかキノコ採りに行くことになる。体調を心配しながら付いていき、山姥のような姉妹と雑木林を徘徊する。姉は外来患者で顔見知りだが、人工的な治療を固辞して、自然にまかせて生きている。
川のほとりで採ったキノコでうどんを煮てくれた。アケビも採って食べてみた。
濡れた服を着替えてベッドにもぐりこんでいたらかえって来た妻が
「山って、きのうそうやって寝てたのに、朝起きたらいなくなってて、私が帰ってきたらまたそうやって寝てて、そのあいだに山に行ってたなんて、それじゃあまるで神かくしじゃないのよ」
 うつを発病して以来の夫の行動半径の極端な狭まりを知りつくしている妻には、一日中山にいたとの証言が信用できないのは当然だった。
「神かくしかあ。それだよ、それ」


「濃霧」
叔父さんの叙勲祝賀会が鄙びた山奥の旅館で開かれた。濃霧に閉ざされた会場は世間から離れた秘境のようなところだった。何かしらつながりがある人たちだろうが、人間関係を説明されてもさっぱり理解できなかった。
一族が集まった中で、隣に座った老人が、祖母と異父弟だと知ったり、叔父からは早く墓を整えろと言われたり、血縁の集まりは知らないことも煩わしいこともあった。
病院の老医師のことを思い出した。望みとは違った道に進んで医師になったと言う話に
「後悔はしておられないんですか」
「起きてしまった出来事はそれをそっくり身に纏うしかありません、そうやってみんなとんでもない老人になってゆくんです」
と、嬉しそうに笑い続けていた。

隣の席の老人が
「本を書くっつうのは怖えことだ」
と老人が背をさすってくれた。「おれのおやじはなぁ、うけをねらって村の後家の浮気の噂を本にしただ。みんなに笑われて温泉の源泉井戸に飛び込んで死んだ女がいただ。酸の強え湯でなぁ、引き上げられたときにはにゃあ、はあ骨になってただ。それっきり本なんぞ書かなくなっちまってこの宿におさまっただ」
「なにをおっしゃりたいんですか」y
「たぶん、おめえのおばあさんはそういうこんを教えなかっただんべから、教えておくまでだ。おれだってここでおめえに会わなきゃあ語るまでもなかった。先に死ぬもんが語ることを語るのは仁義だ」
老人の表情は喜怒哀楽のいずれにも分類不能で、語りの単調さだけが印象に残った。

帰り道に濃霧が立ち込めるところは象徴的。

「火映」
高校の同級生だった山内が亡くなった後、その妻から手紙が来て。書いてあった小説が送られてきた。山内には運動でも勉強でも勝てず、彼は東京の医学部に現役で合格し、論文を発表して肩書きも上がっていた。
高校時代、英文を完璧に和訳して見せた山内が書いたその小説「火映」は、下手な小説だった。
淡い思いを抱いた看護婦と見た火口のうえに火が映っていた。爆発の前触れだと看護婦が言ったので、車を発進させて大急ぎで逃げた。と言う風景が書かれていた。原稿は山内の息吹をまざまざと感じさせた。
ふと着替えをして電車に乗り新幹線で高校まで行ってみた。街はすっかり当時とは変わっていた。

「廃屋」
生家の屋根が飛んで崩れたので、なおすからと親切な隣人から連絡があった。任せきりにも出来ないと、訪ねることにした。体調がいいので、山を越えて歩いてみた。
いつの間にか視線が下に向いており、意識して顔を挙げるとそのたびに軽い浮遊感をおぼえる。仕方なくほんの数歩前の地面ばかりを見て道を登っていった。いつか下りになる、いつか下りになる、いつか下りになる・・・・
空白になった頭の中におなじことばが回転し始め、呼吸が同調し、身体が極めて単純な歩く機械と化す。目的はいつか歩くそのものになっている。

川は綺麗に護岸工事され、家の庭は防護壁も壊れ後ろの森の木々に呑まれそうになっていた。

「底石を探す」
岩魚つりに熱中していた頃、ポイントの場所でいつも乗っていた石があった。川の水が減ったときにその石に、つり大会で準優勝したときの釣果の数17を彫り付けた。病気が治りかけた十数年後、またその川で釣りをした。つれなかったので諦めたが、昔いつも近くで元気に釣りをしていた老人が、車椅子に乗って現れた。カンテラつきの「水面」を貸してくれると言う。それで水の中を覗きながら石を探した。思った場所ではなかったが苔の生えた石が見つかった。


中では「濃霧」と「廃屋」が読み応えがあった。

「廃屋」にたどり着く話の中に息子の破れたスニーカー、散歩の途中で探した四つ葉のクローバー、赤い花が咲く満天星のこと、「歩く坊さん」、物置にあった古いランプにまつわる話、広辞苑で読んだあおぞら「青空」のこと、どれも小さなエピソードになって文中に埋まっている。物語の中にしっくり馴染んで忘れがたい、そういったものと呼応する精神的な状態が、淡々と書かれている。






*朝から集まりがあって出かけた。忙しいのに早目に出た、酔芙蓉が余り綺麗なので、一声かけて写させてもらうことにしていた。朝だと花も崩れてなくて、新鮮だとわと、自然に笑みが出てカメラを出し、イザと思ったらモニターに「カードがありません」。もう帰る時間ないし、家の人にまた声を掛けるのも気が引けるし、、、
泣けてしまった (*´□`*)゜わ~~ん。

小さい薄っぺらいカードで探してもない、昨日読み込ませた後どこに置いたのだろう (*´□`*)゜わ~~ん。



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