空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

「エミリ・ディキンスン アメジストの記憶」 大西直樹 彩流社

2019-04-18 | 読書






謎めいた詩人が少しずつ身近になってきた。


私事で恥ずかしいのですが、まずエミリ・ディキンスンの詩を初めて紹介してくれた友人のことを書きたいと思います。詩を書く仲間だった頃、彼女は英米文学を学んでいたにも拘わらず法務省に勤めていました。
私より少し年上で、明るくはきはきと話す人でした。なぜか私が書いた詩のようなものを気に入ってくれたのです。彼女の詩は抒情的で読者に抵抗感をもたせない読みやすく美しいものでした。なんとなく簡単に言えば個人的には彼女の詩に違和感をもっていたのですが、英米文学について評論風のものを書いていた中に、エミリ・ディキンスンの詩を訳して掲載したことがありました。
今探してもその掲載号が見つからず残念なのですが、蔦に絡まれた石棺に横たわるというようなことを謳った静謐で厭世的な作品だったと思います。
その後ディキンスンについて蔵書を読ませてもらい、その雰囲気にちょっとかぶれてしまっていたのです。彼女は二年間のアメリカ留学の後、心の病で退職し、転居した私は手紙だけの付き合いになったのです。上京ついでに訪問した時は、たくさんある蔵書にみんな白いカバーがかかっていて背表紙が見えないよう反対向きに並べてあり不思議なことに驚きました、好きな本は送ってあげると言われたのですがそのままになっていて、日本現代詩人会で花束を贈呈する役になったと嬉しそうに知らせてくれたのですが、間もなく入院して亡くなりました。お知らせのなかに最後の作品とご主人からの手紙が添えられてありました。

その後、ディキンスンから離れていたのですが、時間も経ち、改めてこの本を手に取ってみました。

私の覚えていたことといえば、名家の令嬢で、キリスト教の福音書による教育に馴染めず、ついに教会にも通わず、周りからは変わり者に見られていたこと。詩は公になったものは10編で、1800編近い詩稿はエミリ・ディキンスンが亡くなった後で、妹が見つけたこと。
最初の詩集は、兄の不倫相手が編纂して刊行したこと。没後100年の記念として刊行された全詩集が世界で評価されたこと。
新聞に投稿した詩を編集長に酷評され、当時女性の詩は認められにくかったこと。性格的にも社交的でなく、反面プライドが高く、館の二階からあまり出ないで詩を書く事だけに生きたこと。南北戦争も体験した時代にボストン近くの知的な地域でそだって独身のまま亡くなったというような大雑把なことだけでした。父の死後白い簡素なドレスで引き籠ってしまったという、なんとなく意思を通しながらも孤独そうな生涯にちょっと憧れたのかもしれません。

今回大西直樹著のこの本を読んで、近世の伝記のようなものは、時がたつにしたがって次第に正確な資料が見つかり、歴史がより明らかになっているということに気づきました。

エミリ・ディキンスンは平生は明るく朗らかなところがあったようです。ボストンに近いアーマストの街で19世紀の宗教的覚醒時代と呼ばれる中にいました。ポーやホーソーン、などなどこの時代は多くの作家や詩人が生まれています。ホーソーンの 緋文字を読んだときは、ピューリタン的戒律のきびしさから一人の女性を人間として目覚めさせ、周りも理解を深めていく過程が感動的でした。

そういった中でエミリ・ディキンスンも自己の生き方の覚醒と宗教との間で揺れ、こういった歴史的な背景の中で生まれた詩はやはり宗教的なテーマ多く、やはり文学は時代を超えないということを実感しました。先見的なリベラルに見えるエミリ・ディキンスンでさえ、多くは宗教的な香りを持った詩を書いています。

後年世評が高まった時になってやっと実像に近づいた詩集が出版される。エミリ・ディキンスンは若い女性で南北戦争の悲劇も体験し、恋もしたようで、「マスターレター」と呼ばれる三通の手紙は投函されずに残っているが、あて先は判らないままになっている。もう出尽くした感じがある今、この本を読むと結婚さえ考えたこともあったようで、まだ自伝には終止符が打たれない部分があるようです。

兄の結婚相手であるスーザンとは詩を見せ合う親密な友人だった。しかしスーザンと兄との間は冷たく、兄の不倫相手だった、活動的で美しいメイベルが編纂した詩集ではスーザンにはあまり触れられていません。意図的であり、歪曲された部分があると著者は書いています。
清純な隠遁者、白い服を纏いあまり理解者のない詩を書く、その神秘的なイメージを長く人々は信じ、私もそうだったのですが。

著者は暗喩で飾られたエミリ・ディキンスンの特異な形の詩をとても深く理解し、よく伝わります。

エミリ・ディキンスンが現在、高く評価されるのは、彼女の作品が「ありきたり」なかったかでなかったからである。ここでも彼女の作品と人生を支配している逆説が支配している。友人のアバイア・ルートに「ありきたりって私、大嫌いなこと知っているでしょ」と少女時代に書き送っているように、定石どおりであることに興味を示さなかったのだ。


謎解きのような詩も多いという。閉じこもった部屋で書く詩は彼女だけの中で熟成し、読者の共感を得にくかったのかもしれない。広く公開されて読者の層が広がって、初めて彼女の理解者に迎えられたように思えます。

それほどエミリ・ディキンスンの詩は言葉も形も個性的であって多くの人には難しい部分も多かったようで、日本でも難解な現代詩といわれるような詩が現れ時代を築いてきました。

エミリ・ディキンスンは自分だけの詩を発酵させ、それがやっと多くの支持を得たのではないでしょうか。


彼女は四六時中、自分にとって詩的と思われる言葉を探して生きていたことだろう眠りにつこうとするときでも。その時ふと思いついた貴重な言葉を、朝起きるまで覚えておこうとしながらも眠り込んでしまったその感覚が淡い記憶として感じられるだけだ、ここに描かれている宝石は、詩としての言葉の比喩として読めるだろう。

私は、宝石を一つ手に握って
眠りについた
その日は暖かで、風はありきたり。
私は、宝石は大丈夫、といった
目覚めると手を叱りつけた
宝石はない。
今、残っているのは
アメジストの記憶だけ。

最後に、詩人の後世に与える影響について

詩人とはランプに光を灯すだけで
自分自身は、消えていく
芯を刺激して、
もし命ある光を

太陽のように、受け継ぐなら
それぞれの時代はレンズとなって
その周辺の広がりを拡張していく。

彼女の詩に触発された様々な芸術作品が、次々と世に発表されて来たその広がりはますます大きくなっている。。




偶然で驚いたのですが2017年7月にエミリ・ディキンスンの映画「静かなる情熱」が公開されていました。見てみようと思います。
お気に入り度:本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント本の評価ポイント












HNことなみ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボリジは無事にそだって花が咲いた。

2019-04-18 | 日日是好日

初めてのボリジはこんなに咲いてくれました。ありがとう。
今度は秋植えに挑戦してみます。

初夏の花のつぼみが大きくなってきたので、次はオダマキやアジサイの花を待っています。







HNことなみ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

バッテリーは純正で

2019-04-16 | 日日是好日

安いからと喜んで買ったのを使っていたら、子供に使わないように言われてびっくりした(*_*;
コピーしたリチュウム電池の発火がとっくにニュースになっているそうで。
「安いからって…… ニュース見ないの?新聞も読んでるのに」という。

よく見ると、こりゃだめだ(〃▽〃)ポッ。問題なさそうに見えるけど、、、。
これで捨てられるのかな。一緒に散歩もしたのにね。



キャノンの広告を見つけた。
オリンパスも注意している。

https://cweb.canon.jp/e-support/info/battery-anno.html

使えないものは売らないでくれ。もう(八つ当たり)。

こういうことは 自己責任(事故責任)で( ;∀;)。
あ~本代が減った。



で、馴染みの5Dは磨いて箱に入り。
これからおさがりのMARKⅡを使うことにした。ちょっと重いけど。
軽めのG7X君もいることだし。
いざとなればスマホだって使えるし、、、ああだこうだ。









HNことなみ





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ぼりじ咲く

2019-04-15 | 日日是好日

アレ! とびっくり。ボリジが俯いて咲いていました。あらまぁ初めまして。
春植えだから急いで咲いたのか。でも待ちくたびれていろいろ言ったけど気にしないでね。

ちょっと見ないうちにいろいろ咲いていた。




白い花は早めに写さないと錆びる。木瓜


ミニミニイチゴ。味もイチゴ。本名はワイルドストロベリー。
なんでワイルド?可愛らしくてアイスクリームの飾りにはできる。


ヒメウツギ(姫空木)少し早いけど花屋さんで買って来た。
これを植えておくと、もう初夏の花が咲き始めているように思う。
八重桜もまだなのに。桜に浮かれるこの季節が好きではない。
山に白い空木が咲いて山藤が木の形にそってうす紫に飾る。木の芽時というが
新緑が萌え出る不安定な時を自然の息吹が静かに覆ってまわりに降り注ぐ、
5月の陰に入りたい、日差しのきつい春の朝。


名残の葉牡丹に昨日の雨が残っている。



あれボリジがさいた。野性的でずいぶんガッチリ武装しているような花だ。
とんがった口で柔らかい紫の花びらが面白い。中世の闘う少女。




HNことなみ








コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「桜の花びらが・・・」

2019-04-11 | 日日是好日

ことしも公園の満開の桜を楽しみました。
越してきたときはまだできたての公園で、弱弱しい小さな桜の木が枠に支えられて植えてありました。

回りのナンキンハゼも小さかったのですが、今では枝を短く剪定されて、春は裸の王様にような姿で目立つようになりました。それでも旺盛に新芽を伸ばして、秋に真っ赤に紅葉して、葉が落ちると白い小さな実がたくさんぶら下がっています。

散り始めた桜の花びらは、風に乗って近くの家の屋根を超え我が家のガレージにも積もります。

一本ある八重桜もチラホラと色が見え始めていました。



















HNことなみ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

茄子は英語で<eggplant>だって 趣味の園芸は身を助ける(か?)

2019-04-06 | 日日是好日
div style="text-align:left"> 
園芸店でなすとトマトの苗を一本ずつかった。たくさん植えると売るほどできたので、一つくらい収穫出来たら、宝石扱いでもしようかと。これこそ趣味の園芸です。

 

 




画像になまえをつけて保存するのにトマトはいいけど茄子はどうだっけ、と調べてみた。
eggplantだって。花屋さんにあった黄色い茄子は原種かも。


トマトの苗は、面白いから黄色いトマトにする?と訊いたら、やっぱり赤だという。
小粒でとんがった初めて見るのにした。


ボリジの苗もあった。つぼみばかり見ていたが、先に茎が伸びて花が咲くらしい。
いろいろ言ってゴメン。根っこで咲いても目立たないもんね。


おさがりのカメラをどこにでも連れて行って愛用してきたがとうとうバッテリーがダメになった。
中国製は純正の1/3の値段でそれも二本セット。それにチャージャー対応。充電したけど問題はない。
中国らしいぴっかぴかの恥ずかしいようなシルバー。秋に新機を買うからまたくれるらしいけど、
2005年から愛用のEOS5Dはまだまだいけるのだ。٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

 






HNことなみ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山椒をうえた。

2019-04-05 | 日日是好日


掘りたてのたけのこが積んであった。山城のような名産地ではないけれど周りに竹林が多い、切り口も白くおいしそうだ。

でもその話ではなくて、タケノコは木の芽和えにしたらおいしいだろうなぁと思うと、前の家の庭でいっぱい実をつけていた先代の山椒の木を思い出す。
新芽は摘んであえ物に、実は佃煮にする、毎年繰り返してきた。それが家を建て直した後、移植した場所が気に入らなかったのか枯れてしまった。

その後、木の芽和えは近所の山椒の木が頑張ってくれて、頃合いをみて持ってきてくれていたが、そこも庭を新しくして山椒がなくなった。

ことし思い出して小さい木を買ってきたが実がなるかどうかわからない。

ただ、ポットのまま玄関のたたきの置いてあったが、廊下までにおいがこもった。帰ってきた息子が、「おっ山椒植えるの」という。
「下の葉はむしってタケノコと食べる」というと。わずかに仰天したようすで「タケノコは炊いたのがいい」という。
「葉をむしるのは気の毒だ、小さいのに」
(むしるがすこしなまなましくて悪かったのか)「木から少し頂いて」と言い直したが、それでもだまっている。毎年の季節料理なのに。
「子供の山椒の木はせめてもう少しそだてて、揚羽の子供にも食べさせて余るくらいになったら」という。

あの枯れた木だって子供の頃があったのだ、植えた時を知らんだろうけど、木の芽和えにして食べて来たのだ、覚えてないだろうけど。
「揚羽の赤ちゃんが育ったらってそれいつのこっちゃ」

毎年揚羽がきて葉をしっかり食べて(しまって)どこかに飛んで行った、残りの新芽を負けずに収穫して食べていたが、揚羽は毎年来て、子供たちが喜んでいた。

雨も上がったので庭に植えたが、木の芽はスーパーのパックを買ってこよう。これがいつまで続くのか。
早く実がなれ柿の種(^^♪ 替え歌を歌って記念写真を一枚。




今日も変わりないないボリジ、じれったいではないですか。
見ている鍋は沸かないというけれど、ボリジくんお前もか笑


公園の桜はもうすぐ満開。











庭の匂いすみれ






HNことなみ


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「令和」

2019-04-01 | 日日是好日
元号が決まった。記念すべき日なのでやはり書いておかないと「令和」


万葉集の梅の花の歌32首の序文にある「初春の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風和(やわら)ぎ、
梅は鏡前の粉(こ)を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫(かお)らす」


ということで、これからも平和で住みやすい国であってほしいものだ。という平凡な感想。






小雨が降っている。寒いのであまり元気がない、ボリジは今日も変わらない姿。
毎日見ても同じ顔ではツマラナイのだ。


はなにらも雨に濡れて俯き加減。でも目出度いので花一輪、というか三輪。








HNことなみ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「アメージング・グレイス」 2006年 イギリス映画

2019-04-01 | 映画

   
原題
AMAZING GRACE
製作年
2006年
製作国
イギリス

キャスト
ウィリアム・ウィルバーフォース [ヨアン・グリフィズ]
バーバラ・スプーナー [ロモーラ・ガライ]
フォックス卿 [マイケル・ガンボン]
タールトン卿 [キアラン・ハインズ]
ウィリアム・ピット [ベネディクト・カンバーバッチ]
トマス・クラークソン [ルーファス・シーウェル]
ジョン・ニュートン [アルバート・フィニー]
オラウダ・エクィアノ [ユッスー・ンドゥール]


18世紀のイギリス経済は奴隷によって支えられていたと言っていい。
先日「アメージング・グレース」物語 を読んだが、その中に時代背景と奴隷貿易廃止法案成立のために活躍した、ウィリアム・ウィルバーフォースのことがちらっと書かれていた。

この映画は、ウィリアム・ウィルバーフォースがどうして世論に立ち向かい奴隷解放活動に政治生命をかけたか。またケンブリッジ時代からの友人だった、若いピット首相や賛同してくれる同志とともに何度もの挫折を乗り越えて、ついに法案を成立させて多くの奴隷の人権を復活させた。その人間愛と信仰心が感動的な作品になっていた。
四面楚歌に近い議会での彼の飽きることがない演説シーンや、経済力を持つ議員たちの反対。それは時代の当然の流れだった。フランス革命やアメリカの独立戦争で経済的にも痛手を被り、当時世界経済を牽引していたピット政権は、安易に奴隷の人権を認めることはできなかった。しかし陰ながらウィリアム・ウィルバーフォースを支えたピット首相は毛色が変わっている。家庭も持たず政治力に必要な人々とも深くは交わらず、ワインを愛し、若くして亡くなってしまった、政治しか知らなかったとはいえある意味一種の自由人として生きればよかったのかもしれない。彼の行った政策はイギリスを支えたのかもしれないが。
ウィリアム・ウィルバーフォースは地位も爵位までも持つ議会議員たちに立ち向かうために、庶民の中に入りこみ世論を味方につけようとする。
財力があり信仰心を持つ彼の一途な想いが熱い。
アメージング・グレースを作ったジョン・ニュートンの自伝の働きもあったかもしれない。それがウィリアム・ウィルバーフォースを動かしたかもしれない。しかしすでに彼は老いていた。それでも奴隷貿易についていたことを深く悔やんでいた。
二人の話し合いは映画的に脚色している部分もあるかもしれないが、恵まれた環境で育ったウィリアム・ウィルバーフォースが奴隷の悲惨な境遇を知って、彼らも同じ人間として苦しみを自身の心に同期させ、命がけで救おうとする、やはり偉大な行為に身を投じた一人の青年の意志から広がっていった歴史的な奇跡を描いた映画だった。

賛美歌の「アメージング・グレイス」はすでに出来上がっていた時代だったし、教会からすでに広く歌われるようになっていたかもしれない。最後のシーンで流れるバグパイプの演奏は胸を打つ。いい映画だった。

奥さんのバーバラは賢くて優しく魅力的だった。
ウイルバー・フォース役のヨアン・グリフィズはなんとなく岡田准一に見えて仕方がなかった。なんか似てますよね。 笑

  





HNことなみ






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする