空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

秋がそこまで

2021-09-21 | 山野草

秋の連休の隙間に定期検診に行ってきました。近くのクリニックです。

 

外は秋の始まりでした。今年は庭をほじくったので、はびこって庭を真っ赤に染めていたヒガンバナが減ってしまって、ぽつぽつ咲き始めています。

もう20年も前に母が畑の畦から貰って来たもので、小麦粉と混ぜて足の裏に貼るといいと、子供が熱を出した時、布袋に入れて貼りました。

熱は下がったのですが、足の皮がふやけて歩けなくなりました。やはり田舎の熟練の技はもっと昔の人でないと危ないことです。

祖母は物知りでしたが。母ももうすっかり現代人だということでした。それ以後は花を見るだけになっています。

母を思い出す花が少なくなっていて、驚きました。大切に植え替えておこうと思いました。

四国の家では、子供の頃に何かと草木を煎じたりして飲まされました。

実は私は、どちらかといえば東洋医学が好きなのは子供の頃の名残りかもしれません。

植物はケミカルの世界より親しみがあります。(ような気がします)

 

今日は「小さい秋見つけた♬」です。

信号で止まって外を見ると、紅葉葉楓(アメリカフウ)が色づき始めていました。この木は可愛らしい実がなって、葉が落ちてもぶら下がっていていて好きです。

その実も落ちると、とげとげが取れてサッカ-ボールのようになります。車の窓越しに写してみました。

最近はあまり外に出ないのでバッグにカメラを入れることにしました。

紅葉葉楓(アメリカフウ)

 

お彼岸だしなと思って、クリニックの駐車場から見下ろすと畦にヒガンバナが咲いていました。

以前は畑を縁取るほどたくさん咲いていたのですが、減ってしまっています。

 

帰り道いつもきれいだなと楽しみに見ている「酔芙蓉」を写させてもらいました。

秋はそこまで来ているのに、早くコロナが収まってくれないと。

感染者は減ってきたようで喜ばしいことです。

ステイホームも長くなりました。

 

 

 


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「月魚」 三浦しをん 角川文庫

2021-09-17 | 読書
三浦しをんさんのデビュー作、「格闘する君に〇」に続く二作目の「月魚」を読んだ。
この作品が若いからというわけでもないだろうし、決めつけるのも失礼だ。こみいったストーリーでもなく楽しんで読める。

感情描写も、風景描写の瑞々しさも新鮮でとても美しい、何度読み返してもいいような気がする。後味もいい。
これも持ち味の一つかもしれない。
一度読んで好きになっていたので。「2021カドフェス」で再読。


「無窮堂」の若い店主、本田真志喜24歳、祖父から受け継いだ店を守っているが、本来の本好きで不満もない。少し色素の薄い(白皙の)美青年。
祖父の本田翁は古書の業界で力があり尊敬もされている。
店を持たず、仕入れた古書をセリに出して利ザヤを稼ぐ「せどりや」でやくざまがいの父親を持つ瀬名垣太一25歳。上背もあり多少荒い気性もある偉丈夫。見立ても天才的な古書屋。
やくざだが父親は目端がきいて才能があるのを翁は見抜いて可愛がり、太一も子供の頃から真志喜の遊び相手で一緒に育つ。

だが瀬名垣は二人で遊んでいるとき「無窮堂」の捨てようとした本の中から、日本に一冊しか残っていないという稀覯本を見つける。
これで父は「せどり」から抜けられる。
だが父は恩ある「無窮堂」の物だと頑として受けとらなかった。その目を持ったことを喜べと言った。

振り向くと真志喜の父の姿がなかった。

その時から真志喜の父親を追い出したという瀬名垣の罪の意識が重く背中にとりついた。

真志喜は屈託がなく瀬名垣が来るのを待っていた。そして瀬名垣と真志喜は古書好きというほかは全く違っていたが、それがなぜか微妙な禁忌の雰囲気を纏って大人になった。

山奥の素封家の主人が無くなり残った書籍を処分したいという。瀬名垣は真志喜とともに出かけて行った。土蔵の二階は専門書の書棚があったが、先妻の子供は売らずに図書館に寄付するのを望んでいた。だが若い後妻は頑として譲らず、瀬名垣たちは整理にかかった。そこにもめ事の折衷案として町からもう一軒の古書店を呼んだ。それは行方不明だった真志喜の父親だった。やはり「黄塵庵」という古書店を開いていた。

しかし出会った二人はもうすっかり他人だとお互いに実感した。
長い道のりをポンコツのトラックはあえぎあえぎ帰ってきた。

買い付けの旅から1か月後
瀬名垣が来た。
店を持つという、「開店祝いにあのトラックをやる」「いらん」


稀覯本「獄記」を見つけ出した時から世間に出ることを拒んできた瀬名垣は、店をもって人と交わろうと思った。
あの夏の日から真志喜は瀬名垣の傍にずっといたのだから。


甘い甘い、が、めでたい快い締めだ。うっすらと官能的。古書の流通の様もうっすらと。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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「地を這う虫」 高村薫 文春文庫

2021-09-15 | 読書

 

日陰にありながら矜持を保ち続ける男たちの、敗れざる物語です――裏表紙――
 
一言拝借しました。
充実して忘れがたい短編集です、先行の「黄金を抱いて跳べ」を読んで、その後「マークスの山」「リヴィエラを撃て」と前後して読み、あまりの面白さに買ってきて積んでいたのを、本棚の整理で掘り出しました。

☆愁訴の花

田岡は定年後小さい警備会社で働いていた。上司だった須坂の命が危ないので見舞いに行くように連絡が来る。
そこに妻殺しで服役していた小谷が電話をしてきた。出所していたのか。

彼はなにかと噂のある女性と結婚して、警官の身にそぐわない家を買った。招かれて行ったことがあるが内装や家具は質素だった。六千万の家は半分が頭金だったらしい。これを奥さんが工面したという。どうやって。

夫婦はどうもうまくいってない様子だったが、妻が殺され小谷が捕まった。捜査中に行方不明になりその後自首したのだ。
調べが進むと奥さんは覚醒剤の販売をしていたらしい。殺された部屋にはリンドウが一枝活けられていた。田岡はその花が頭の隅に残った。

もう助からないだろう上司から呼ばれて一通の封書を預かった。その記録で上司の恩情とリンドウの花がつながった。
退職してやっと落ち着いた生活だったが、忘れがたい事件が蘇る。

リンドウにまつわる真相は心の底に葬られた。一人の警官と、死ぬまで胸に秘めた上司の心情が哀しい物語。

☆巡り逢う人びと

刑事だったが、今は金融会社で債権の回収をしている。借りたものは返すのが当然、彼は仕事と割り切っている。
課長からまだかまだかと嫌味を言われるがうまくかわしている。

行き詰った町工場に再三行き、居座ることもあるが、社長は行方不明だという。
若い工員が親し気に近づいてきて刑事時代にどんぶりを奢ってくれたねという、そんなこともあった。あの頃と同じカバンだね。

もう工場は追い詰められている。昔ぐれて陰のあった工員は明るい顔になり社長の穏やかさがうかがえた。
ふと仕事を変えようかと思う。

駅で高校時代の知り合いを見つけた。彼は顔色も悪く俯いたまま座っていた。声をかけると穏やかに親し気に笑いながら近づいてきた。
また彼にあった。電車で一日中往復しているようだ。

工員が頭を打って重傷だという。
不動産業者が例の債権回収は話が付いた、社長が帰ってきて白紙委任状に判を押したもう行かなくてもいいという。そんなに簡単になぜだろう。

現役時代、彼は恐喝事件で父親を逮捕した、残された家族が一家心中をした、仕事への精神的な苦痛を覚え、自ら退職したのだったが、民間に移っても、結局自分が似たような世界にいることに、密かに愕然とした。

債務者を締めあげている顔は刑事時代と一つだった。だが扱われかたが変わった。組事務所に行ってもお茶も出なくなった。

病院で出あった社長はあの電車の男だった。整理した残金は工員の補償金だと笑った。
自分の胸のうちで最後の自己弁護の糸が一本、切れる音を聞いた。矛盾と痛恨と怒りと、かすかな希望が折り重なった複雑怪奇な響きだった

人のいい社長に工員ともみ合ったことは言うなと固く口留めしたが、彼はただ笑った。

☆父が来た道

警視庁捜査二課にいた息子は父のつてで永田町の元高官の運転手をしている。今、収賄事件が大きなニュースになっている。しかし見ざる聞かざるの運転手兼ボディーガードの仕事ぶりは重宝されている。

父親は地方で政治にかかわっていた。買収などの嫌疑で実刑判決を受けたのは父親ひとりだった。
父の後を継がず警視庁に入ったが、父親の有罪が決まって依願退職をし、今の仕事についている。
自分は父親とは違う。
行きつけの店の気のいい女と生きて行こうか。

政治家の世界を書いて高村さんの筆は生き生きとして細やかだ。

☆地を這う虫
足元のコンクリートをゲジゲジが這っていた。
ゆっくりと蠕動運動をくりかえす虫の進路は、何を探しているのか、行きつ戻りつ遅々として定まらない。だが、自然の摂理で生きている虫に、自分の行先が分からないということはない以上こいつは本能に従って、こうして右へ左へと這いまわっているに違いなかった。虫なりの秩序もあるはずだ。

省三は習慣になっている動作で手帳を出し「ゲジゲジを見た」と書きつけた。

定年後ふたつの職場を掛け持ちして、碁盤の目のように整然と区画整理された住宅地を往復している。三分で自宅に着くところを時間をかけて毎日違う道を歩いている。300メートルを一辺とする正方形の中をジグザグに歩く。
もう家の並びも形も住む人の習慣まで頭に入っている。

そこで空き巣が頻発した。省三は住民から見れば変な人で警察の聴取を受けて気分を悪くした。
しかしいつも閉まっている小窓が開いている家があった。そこに空き巣が入ったという。次の空き巣も窓を開けたままだった。

もう抑えられない。夜を待って省三は窓が開いていた二階の部屋に忍び込んだ。そこで散弾銃で狙っている空き巣と遭遇。危機一髪のところで目的に思い当たる。

恐るべしこだわりの習慣と記憶術。
面白かった。

というよくできた短編だが、高村さんのほかの大長編作品を読んでいたら、このくらいの話は安心だと思った。
中でも「巡り逢う人びと」は余韻が残る、市井の人々の日々がもの悲しくも優しい。
 
 


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雲の形

2021-09-14 | 日日是好日

陽がさしてきたので買出しに行きました。降りそうで降らないお天気でした。

空を見ると、雲が行こうか帰ろうか、迷っているようで、怪しい変化の形を見せてくれました。

 

東の空に白鳥が飛んでいました。

西空は雨雲が上空に帰っていくところで

時間が経つと秋らしい空がやってきて、、、明日も晴れるかな。

 

 

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