空耳 soramimi

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「野菜の食べ方・選び方」 オフサイドブックス

2019-02-27 | 読書



気になる症例別 野菜の食べ方・選び方 オフサイド・ブックス

よほどのことがない限り喜んでよくだべる家族を抱えているので、まず喜ばれる献立、次に体にいい献立を考えます。お腹を減らして帰り、こっそりキッチンを伺ったり、ガレージに漏れる匂いで期待満々で入ってくる顔を見るとこれはウケそうだというのが判ります。それでも育ちざかりを過ぎると、好きなものばかり並べるわけにいかなくなり、最近食材やメニューを考え直しています。

長く台所係をして今更レシピ本もないように思うのですが、親譲りの献立にはない新顔の野菜や、季節にかかわらず売られている野菜も多くなって、目新しい成分や薬効が詳しく載っていたり、現代病予防を主にした本も見かけます。

野菜は旬のものからと教えられてきましたが、珍しいスパイスを使ったレシピなどを見ると、大げさではなく好奇心も手伝って楽しくなります。

我が家は郊外で(田舎で)まだ地場野菜のマーケットがありますのでできるだけ朝のうちに採りたてを飼ってくるのですが、おいしく食べるために改めて野菜の本を読んでみました。

子供の時から身近にある野菜などは大まかな知識は自然に身についていますが、元気な体を作るものを食べるということが大切なことで。
21世紀に入り「ヘルス・プロモーション」という予防医学の考え方が取り入れられるようになってきました。表面的な危険因子の除去だけでなく、健康によいこと、体全体がよくなることを積極的に生活習慣に取り入れることが病気の予防や治療につながる、という考え方です。

ここから始まり、食物連鎖、日本人独特の遺伝性や体質に目を向けること。ふさわしい食生活について実際に野菜をどう使うか、代表する身近な野菜や果物の名前を挙げて説明されています。

季節ごとの(旬な)野菜 
成分や和らげられる症状別(ガン・動脈硬化・肥満予防・高血圧・高脂血症など)

健康について気になるところがあるとき(脳の活性化・疲れ目・胃腸を守る・骨粗しょう症を防ぐ・更年期の悩み)

ちょっと具合が悪いとき(風邪気味・疲労・食欲不振・便秘・下痢・美肌効果・髪のおケア・二日酔い)
こんな時はどんな野菜を食べたらいいか。

薬品を所持方される前に、おいしくてきれいで体に役立つ。
できれば体脂肪や血圧が基準値で、元気で機嫌よくいられるよう。
たまにはちょっと高めの食材に甘えてみたりしながらも。
慣れないスパイスや、香味油や、野菜コーナーの隅にある地味な野菜の使い方にも慣れてみたいと楽しく読みました。

肥満は敵だ!甘いものは体の毒だ!などと唱えながら流行りの「安納芋」や「紅はるか」の焼きいもの匂いに誘われ、大きいのでカロリーオーバーかな、でも楽しいことはいいことだ、これでお昼ご飯の代わりだという誘惑にも負けつつ、カロリーも気にしつつおいしく健康に食べることができるのは嬉しいと思いました。

昨年から肥満指数もチェックするようになり、流行りの糖質オフのレシピ本が9冊も集まり積んでありました(いつの間にか)

思い出すために、時々開いて読んで役に立ちそうな嬉しい本でした。






HNことなみ
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「イノセント・デイズ」 早見和真 新潮文庫

2019-02-27 | 読書



評判がいいみたいだし、辻村深月さんの解説だし、知らない作家の慟哭ミステリか。 読んでみるかなと予約して待っていた。日本推理作家協会賞受賞作、なのだが。


※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。

多くの方が推薦しているので大っぴらには言えないがいってみる、期待外れだった。でもラストの衝撃で☆3を付ける。

冒頭から死刑判決が下されワオと度肝を抜かれる。
この薄幸の主人公、田中幸乃がなぜ死刑になるのか。控訴もしないでやすやすと死を受け入れたのか、というのがメインストーリーで、読みようによっては慟哭尽きないのだ。
ところが醒めて読めば冤罪臭はふんぷんだし、そう思うと仕組まれ感も顕著だし、純真無垢のマリア様だってもう少しは運命を受け入れ、祈りつつも正しく自分を大切にするでしょう。
これだけ書けば、本当に外れ感でがっかりしたかなと歯切れが悪くなってしまうが。

ストーリーは主人公側に肩入れすれば哀しくも美しい。

子供時代から恵まれず、人恋しさで出来た友達に裏切られ鑑別所に入れられる、親にも見捨てられ、不幸の深い穴の中で生きてきた。自分で死ねないなら死刑でもいいと思ってしまった、という救われない生き様で。
クズのような男に貢ぎ感謝もされず、ついにはよその女と一緒になるために無理やり引き離され、雲隠れされ、居場所を突き止めてみると男は双子の子供と妊娠中の女のいる家庭を持っていた。

悪意はないものの周りをうろつき、ストーカーにされる。
男のアパートが火事になり双子と妊婦が焼死した。世間は死んだ親子に同情し、周りをうろついていた幸乃が逮捕される。

意地悪い読みだろうかと思うのだが、やはりこの幸乃さん死ぬしかないかもと思ってしまう。

幸せだった子供時代の友達だけは理解してくれているようだが、弁護士になった男は、正義感も上滑りで事件から手を引いてしまう。このあたり不幸を際立たせるリアルな描写で現実にひき戻される。
不幸のせいで流れに逆らわず生きるのが楽なのか、そういう投げやりな生き方しかできなくなった女は、哀れだが流されていきつくところは自分で死ねないなら殺してもらうと思い詰めてしまって上告もしない。

イノセントなのか無智なのか、それが罪だったのだろうか。

死刑台に向かう途中で、持病の失神状態に陥りそうになる。女の看守は「倒れろ、倒れろ」と祈るように思う。心身喪失を理由にすれば彼女は助かるかもしれない。
だが幸乃は生きるより死に執着し、つよい意思で階段を上る。

意地悪くありきたり感を持ったが、この衝撃的なラストが受賞につながったのかもしれない。
奔走した幼馴染が無実の証拠をつかむが彼女はすでに柩の中、という幕切れも、いっそ助かっていればと思うが、生まれ変わらない限り幸乃の不幸が続きそうで、残酷この上もない物語だった。






HNことなみ

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