気がつけば、貴志さんの本は、読んだ数が多い。
まず「黒い家」は不気味さが半端でなく面白く、テーマにも入り込んだ。次は「天使の囀り」で、これらは貴志さんのマイベストに入る。それから読み続け「新世界から」「悪の経典」などなどと続いたが、この「硝子のハンマー」と「狐火の家」を忘れていた。
* * *
日曜日の昼下がり、株式上場を控えた介護サービス会社で、社長の撲殺死体が発見された。エレベーターには暗証番号、廊下には監視カメラ、窓には防弾ガラス、オフィスは厳重なセキュリティを誇っていた。監視カメラには誰も映っておらず、続き扉の向こう側で仮眠をとっていた専務が逮捕されて・・・
弁護士青砥純子と防犯コンサルタント、榎本径のコンビが難攻不落の密室の謎に挑む。
日本推理作家協会賞受賞作
という本格的な密室殺人事件。
エレベーターで12階に行くには暗証番号でしか動かせない。そこに介護サービス会社の社長室、副社長室、専務室、各秘書の待機室があった。社長室、副社長室、専務室は鍵のないドアで繋がっていた。
以前、社長室が狙撃され、被害はなかったが、社長の強い意向で、前面の硝子は厚みのある防弾硝子に張り替えられていた。
また、要所には監視カメラが設置され、入るには、管理人がチェックもした。
日曜日、管理人はテレビの有馬記念に釘付け。落し物入れに馬券の入った封筒がおいてあったのを見つけたのだ。
しかしテレビと監視カメラのモニターは視野範囲内に設置されていて不審者を見逃すこともない。
社長の死体は、ゴンドラに乗って窓拭きをしていた清掃員が発見した。
社内にある、介護システム開発課では、介護用の猿を訓練し、介護ロボットも作り上げて、デモを行って見せていた。
専務が逮捕された、彼は犯行時間は眠りこけていたが密室状態の12階で、副社長は不在だった、専務の話は問題にされなかった。
弁護依頼を受けたのは青砥純子だった。
彼女は紹介された犯罪コンサルタントという男、榎本径とともに、密室の怪を解くことにする。
逮捕された専務に夢遊病に似た睡眠障害はなかったか。
監視カメラは正常に動いていたか、何も映らないマジックのような方法はないか。
榎本は職業柄、セキュリティーの知識は豊富な上に解錠の腕も抜群だった。
彼は、調査のために夜を選んで忍び込み、犯罪の痕跡を探す。
介護猿やロボットを使わなかったか。
さまざまな疑惑が生まれ、さらに混迷の度は深まっていく。
中ほどから、犯人の生い立ちなど倒叙法ミステリに移行する。
犯人と青砥、榎本の最後のやり取りは、榎本の面目躍如、冴えた推理が犯人の智恵に迫る。
犯人の巧緻を極める計画をついに突き崩す、このコンビは続きがあるらしい。
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貴志さんと法月倫太郎氏の対談がある。そこで、面白い話が展開し、作家の苦心談とともに、ひそかな楽しみのようなものが見える。
解錠に関して現実のセキュリティー事情など、深い専門知識が披露されている。
犯人の話の始まりで、ミスリードを狙ったということなど、私も、ひょっとしたらとうすうす思い、狙い通りそちら方面に行きそうなった(;^-^;)
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