2020年の映画回顧、本日はその第二夜。
13選のうち、09位~05位の発表です!!
第09位『ミッドナイトスワン』
予備知識ゼロ、ゆえに期待値ゼロの状態で観た本年収穫の一本。
こういう出会いがあるから、映画好きはやめられない。
身体は男だが性自認は女、というキャラクターを草彅剛が熱演。
性転換手術用の貯金を、居候をつづける少女のために使おうと決意するくだりに胸が打たれた。
チュチュ、煙草、金魚、ネオン・・・小道具や背景がきちんとしたディティールとして働き、多くを語らずとも登場人物たちの悲哀が浮かび上がる。
だからこそ、925秒もの予告編を公開する意義はあったのかな? と思ったり。
第08位『ジョジョ・ラビット』
ノリのいい音楽、ダンスとともに繰り広げられる変化球の反戦映画。
(どういうわけか)ナチズムを信奉する少年と、(どういうわけか)彼の家に隠れて住んでいたユダヤ人少女との出会い。
映画史上で最も悪役にされている実在の人物、ヒトラーを茶化しに茶化し、最後は「愛だよ、愛。」と謳ってみせたのは俊英監督のタイカ・ワイティティ。
主人公の、イマジナリーフレンドとしてのヒトラーをワイティティ自身が演じているというのは、彼が目指したところはチャップリンの『独裁者』だったのかもしれない。
第07位『音楽』
カルト的な人気を誇る大橋裕之の漫画『音楽と漫画』『音楽 完全版』をベースにしたアニメーション。
大雑把にいえば、ヤンキーたちが音楽の世界を目指す物語。
デジタルが主流になった業界に反旗を翻すかのような4万枚超の作画は、迫力というより「あたたかみ」を感じさせ、アナログなはずなのに新鮮な驚きを与えてくれる。
このインディーズに共鳴したのが、ゆらゆら帝国で知られる坂本慎太郎と、岡村靖幸。
ふたりのほかにも沢山の音楽関係者が集結、ライブシーンのリアリティはこうして生まれたものだろう。
第06位『パラサイト 半地下の家族』
「―計画を立てると必ず、人生そのとおりにいかない」
貧乏で悪知恵ばかり働く一家が「就職先」に決めた金持ちの豪邸に「住みつこう」とする、韓国の鬼才ポン・ジュノによるブラックコメディの快作。
後半の展開に首を傾げる向きもあるが、映像の力、そして「これがこの映画の理屈」という開き直りで押し切ってしまうところが気持ちよかった。
カンヌでパルムドール、オスカーで作品賞&国際長編賞を受賞。
日本でも「年にいちどしか劇場に行かない」ひとたちが本作を選び、爆発的なスタートを記録したがコロナで失速、本来であればもう少しロングランしていたことだろう。
第05位『のぼる小寺さん』
卓球部の隣りで黙々と壁を登りつづけるクライミング部の小寺さん。
そんな彼女に興味を抱く、卓球部の近藤や不登校気味の梨乃、彼女を密かに写真におさめるまりかたちの「平熱から微熱程度の青春の揺れ」を切り取った佳作。
原作は、珈琲による人気漫画。
地味だがハズレの少ない青春映画を撮ることで知られる古厩智之が監督、主にアニメーションの世界で結果を残してきた吉田玲子が脚本を担当している。
河原で小寺さんがネイルを塗ってもらうところなど、繊細な描写が冴えていて、やっぱりディティールって大事なんだなぁと感心。
ちなみに、「こでら」ではなく「こてら」さんです。
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明日のコラムは・・・
『「外」からの変革 ~2020映画回顧3~』
13選のうち、09位~05位の発表です!!
第09位『ミッドナイトスワン』
予備知識ゼロ、ゆえに期待値ゼロの状態で観た本年収穫の一本。
こういう出会いがあるから、映画好きはやめられない。
身体は男だが性自認は女、というキャラクターを草彅剛が熱演。
性転換手術用の貯金を、居候をつづける少女のために使おうと決意するくだりに胸が打たれた。
チュチュ、煙草、金魚、ネオン・・・小道具や背景がきちんとしたディティールとして働き、多くを語らずとも登場人物たちの悲哀が浮かび上がる。
だからこそ、925秒もの予告編を公開する意義はあったのかな? と思ったり。
第08位『ジョジョ・ラビット』
ノリのいい音楽、ダンスとともに繰り広げられる変化球の反戦映画。
(どういうわけか)ナチズムを信奉する少年と、(どういうわけか)彼の家に隠れて住んでいたユダヤ人少女との出会い。
映画史上で最も悪役にされている実在の人物、ヒトラーを茶化しに茶化し、最後は「愛だよ、愛。」と謳ってみせたのは俊英監督のタイカ・ワイティティ。
主人公の、イマジナリーフレンドとしてのヒトラーをワイティティ自身が演じているというのは、彼が目指したところはチャップリンの『独裁者』だったのかもしれない。
第07位『音楽』
カルト的な人気を誇る大橋裕之の漫画『音楽と漫画』『音楽 完全版』をベースにしたアニメーション。
大雑把にいえば、ヤンキーたちが音楽の世界を目指す物語。
デジタルが主流になった業界に反旗を翻すかのような4万枚超の作画は、迫力というより「あたたかみ」を感じさせ、アナログなはずなのに新鮮な驚きを与えてくれる。
このインディーズに共鳴したのが、ゆらゆら帝国で知られる坂本慎太郎と、岡村靖幸。
ふたりのほかにも沢山の音楽関係者が集結、ライブシーンのリアリティはこうして生まれたものだろう。
第06位『パラサイト 半地下の家族』
「―計画を立てると必ず、人生そのとおりにいかない」
貧乏で悪知恵ばかり働く一家が「就職先」に決めた金持ちの豪邸に「住みつこう」とする、韓国の鬼才ポン・ジュノによるブラックコメディの快作。
後半の展開に首を傾げる向きもあるが、映像の力、そして「これがこの映画の理屈」という開き直りで押し切ってしまうところが気持ちよかった。
カンヌでパルムドール、オスカーで作品賞&国際長編賞を受賞。
日本でも「年にいちどしか劇場に行かない」ひとたちが本作を選び、爆発的なスタートを記録したがコロナで失速、本来であればもう少しロングランしていたことだろう。
第05位『のぼる小寺さん』
卓球部の隣りで黙々と壁を登りつづけるクライミング部の小寺さん。
そんな彼女に興味を抱く、卓球部の近藤や不登校気味の梨乃、彼女を密かに写真におさめるまりかたちの「平熱から微熱程度の青春の揺れ」を切り取った佳作。
原作は、珈琲による人気漫画。
地味だがハズレの少ない青春映画を撮ることで知られる古厩智之が監督、主にアニメーションの世界で結果を残してきた吉田玲子が脚本を担当している。
河原で小寺さんがネイルを塗ってもらうところなど、繊細な描写が冴えていて、やっぱりディティールって大事なんだなぁと感心。
ちなみに、「こでら」ではなく「こてら」さんです。
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明日のコラムは・・・
『「外」からの変革 ~2020映画回顧3~』