Cape Fear、in JAPAN

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令和版・海外俳優列伝(29)ウイリアム・ハート

2022-09-19 00:10:00 | コラム
50年3月20日生まれ・2022年3月13日死去、享年71歳。
アメリカ出身。

革命児ゴダールが鬼籍に入りましたが、90歳を過ぎていましたし、哀しみという感情は生まれてこず、どちらかというと「おつかれさまでした!」というような労いの気持ちのほうが強いです。
今年亡くなった映画人で、寂しいな…と思うのは、ウィリアム・ハートのほうだったりして。
(生死に対し、比較するのは下品な気もするけれどね!!)

作品選びに知性を感じることが多かったハート、けれどもケン・ラッセルの映画がデビュー作であったり、キャリア後期にはMCU系の常連になったりして、映画ファンのほうが偏見を持っていたのかも…とも思うのでした。





<経歴>

神学を学ぶも俳優への夢のほうが勝り転学、ジュリアード音楽院で演技を学ぶ。

映画俳優デビュー作は、79年の『アルタード・ステーツ/未知への挑戦』。
原作 パディ・チャイエフスキー、ケン・ラッセルらしい変化球のSFです。

面白いですよ!!

大人のサスペンス、キャスリーン・ターナーがひたすら色っぽかった『白いドレスの女』(81)、


『再会の時』(83)、『ゴーリキー・パーク』(83)を経た85年、『蜘蛛女のキス』で同性愛の囚人を好演しオスカー/カンヌの双方で主演賞を受賞する。

聾唖のヒロイン、マーリー・マトリンをしっかり支えた『愛は静けさの中に』(86)、
テレビ業界を描いた『ブロードキャスト・ニュース』(87)、


完成度の高い脚本に感動、でも新規の映画ファンには観られていない気がする『偶然の旅行者』(88)、



ブラックコメディの佳作『殺したいほどアイ・ラブ・ユー』(90)、
ウディ・アレンによるファンタジー『アリス』(90)、
『夢の涯てまでも』(91)のヴィム・ヴェンダース、『最高の恋人』(93)のアンソニー・ミンゲラ、
『スモーク』(95)はウェイ・ワン、、、という具合に、名だたる監督がこぞってハートを起用。

抜群の安定感により、信頼されまくっていたのでしょうね。

『ジェイン・エア』(96)、『ロスト・イン・スペース』(98)、『ダークシティ』(98)、『A.I.』(2001)、『ヴィレッジ』(2004)。

2000年代のキャリアで忘れ難いのは、やはり2005年のクローネンバーグ監督作『ヒストリー・オブ・バイオレンス』でしょうか。

主演のヴィゴ・モーテンセンが「すべて持っていきそう」でいてそうならない、エド・ハリスやハートがきちんとインパクトを残す快(怪)作です。

『グッド・シェパード』(2006)、『バンテージ・ポイント』(2008)、
『インクレディブル・ハルク』(2008)で初めてMCU系の作品に顔を出し、以降も・・・
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018)、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019)、『ブラック・ウィドウ』(2021)に出演。

しかし本年3月13日、前立腺癌の合併症により死去。
享年71歳、遺作は日本上陸の予定は未定の『The King's Daughter』(2022)になります。

よい意味で力が抜けている、その演技スタイルで「リアルの風」を吹かせた名優だったと思います。
合掌。

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明日のコラムは・・・

『令和版・海外俳優列伝(30)ウィリアム・ホールデン』
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