Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

令和版・海外俳優列伝(164)ダスティン・ホフマン(後)

2024-10-10 00:10:00 | コラム
ホフマンさん、第二夜です^^

若いころの反逆・反体制・カウンターカルチャーのイメージは、このひとがニューシネマの誕生と同時に俳優デビューしたからでしょう。

キャリア前半は、そんな映画史が色濃く反映されたものです。


自分の身体を売りにして大都会にやってきた主人公が、知り合ったラッツォ(ホフマン)とともに地獄めぐりをすることになる『真夜中のカーボーイ』(69)は、米国を象徴するカウボーイ・スタイルが男娼の小道具として機能するさまを捉えた残酷な青春映画。


監督は英国のジョン・シュレシンジャー、
現在公開中の『シビル・ウォー』がたいへん話題ですが、これもまた英国人が米国を捉えた作品で、こういうことってあると思うんですよね、つまり外側の人間だからこそ「見えてくる、なにか」というものが。

『ジョンとメリー』(69)、『小さな巨人』(70)。

サム・ペキンパーの『わらの犬』(70)は、「窮鼠猫を嚙む」を地で行く物語で、徹底的に虐げられた主人公が、最後の最後に逆襲し、自身の暴力性に気づいてしまい「帰り道が分からない」と呟いて幕を閉じる。


スティーブ・マックィーンと共演した脱獄物『パピヨン』(73)、
『レニー・ブルース』(74)、

ロバート・レッドフォードと共演、ウォーターゲート事件を暴いた新聞記者を演じる『大統領の陰謀』(76)、


ナチが絡む不気味なスリラー『マラソンマン』(76)は、再びシュレシンジャーと組んだ快作、
『ストレート・タイム』(78)に至るまで、70年代の出演作はどれも娯楽作として一級品ではあるものの、それ以上に作者の訴えたいものが上回っている気がするのですよね。

その、ちょうど境目に位置するのが『クレイマー、クレイマー』(79)でしょうか。

離婚問題と女性の社会進出が声高にではなく、スマートに描き出されていた佳作かと。



80年代以降は、舞台活動と並行していくため映画の空白期間が出来たりもしますが・・・

意外と女装が似合うコメディ、しかし最後は泣ける『トッツィー』(82)、
ウォーレン・ベイティ、イザベル・アジャーニと共演した『イシュタール』(87)、

そして『レインマン』(88)…トム・クルーズってすごいと思うんですよ、ホフマンにしろジャック・ニコルソンにしろポール・ニューマンにしろ、彼と共演することでかつての輝きを取り戻している感があるのですから!


ショーン・コネリー、マシュー・ブロデリックと泥棒一家を演じた『ファミリービジネス』(89)、
『ディック・トレイシー』(90)、『ビリー・バスゲイト』(91)、
スピルバーグの「超」問題作『フック』(91)、『靴をなくした天使』(92)、

ウィルスパニック物の佳作『アウトブレイク』(95)、


オールスター映画『スリーパーズ』(96)、『ウワサの真相』(97)・・・などなど(イシュタールはビミョーだけど)ハズレなしのキャリアを展開。


そのほかの出演作に・・・
『ニューオリンズ・トライアル』(2003)、『ネバーランド』(2004)、『パフューム ある人殺しの物語』(2006)、『主人公は僕だった』(2006)、
『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(2014)、『疑惑のチャンピオン』(2015)、『マイヤーウィッツ家の人々』(2017)。


2012年―『カルテット! 人生のオペラハウス』で念願の監督デビューを果たす。



87歳になった現在は、さすがに露出は減少してますが、最後にもういっちょ、ほぼ引退状態のジーン・ハックマンと共演した作品とかに出てもらいたいものだけれど、どうかな^^

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明日のコラムは・・・

『令和版・海外俳優列伝(165)ダニー・アイエロ』
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