僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

焼尻島

2006年09月01日 | SF小説ハートマン
焼尻は「やぎしり」と読むなぜ尻を焼くのだろう。すぐ隣の島は天売「てうり」島。北海道留萌の北、羽幌の港からフェリーで1時間弱の海に浮かぶ。周囲12km程。自転車で2時間もあれば一周できてしまうほどの小さな島だ。
もう少し北に位置する利尻島、礼文島が有名で観光も盛んであるのに対し、焼尻島は地味で観光客も少ない。

僕は海が見える丘のような牧草地がとても好きだ。以前にも写真を見せて貰ったことがあるけど、広々とした草原に遊ぶ真っ黒い顔の羊がとってもかわいいんだ。サフォークっていう食用の羊らしい。食べられちゃうのか…

牧草地の写真の中にあった一枚に見覚えのあるものが写っていた。

羊たちの水飲み場や柵に混じってどうと言うことのない小さな小屋が一軒ある。その屋根に独特の形をしたアンテナが立っている。普通のテレビのアンテナではない。パラボラ型でもない。似ているといえば街で見かける携帯電話の中継用アンテナのようでもある。

僕の記憶ではそれはただ一つ。ハートマンのスペースギアの駐機場入り口だ。

パソコンに向かっていたおじさんに聞いてみた。
「ねえおじさん、このアンテナみたいの何?」
おじさんは、うん?どれどれ。と言って僕の脇に来た。

僕が指さす写真を見た。それから僕の顔を見て唇をぎゅっと結んだ。いつもとちょっと違った顔だった。何か言おうとした時、

「お茶入れたからねぇ~」
と星見ちゃんが両手にお盆を持って入ってきた。お菓子の箱とママのゼリーと紅茶をまとめて乗せている。
「はいはいはい、テーブルの上空けてねぇ」
「おいおい、いちどにそんなに持っちゃ危ないよ。」
おじさんは立ち上がってお盆を受け取った。   つづく(写真はネットからお借りしました)http://www.yo.rim.or.jp/~yanapy/hokkaido/dohoku/yagisiri.html
コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする