僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

お父さんの島

2006年09月04日 | SF小説ハートマン
星見ちゃん家で焼尻島の写真をたくさん見せてもらったけれど、おじさんに聞こうとしたあの写真のことは、曖昧になってしまった。おやつをご馳走になりながら星見ちゃんが始めたフラダンスにみんなで大笑い。涙を流して盛り上がってしまったんだ。
この事は今度おじさんにしっかりと聞いてみなければいけないと思っている。

家に帰る途中一つの可能性を思いついて僕は走り出した。

「ただいまー。」
玄関で大きな声を出し、そのままお父さんの書棚に向かった。
「なーに、宇宙(ひろし)なの?ドタバタしないで、靴ちゃんと片付けてねぇ」
リビングで掃除機をかけていたママが応えた。

写真のアルバムを何冊か持ち出してトントの所へ持って行った。
「ねえトント…。」
床にアルバムを広げ、トントに話しかけた。最近トントはあまり話をしたがらない。向こうから僕に話しかけてくることもほとんどない。僕が話しかけても、ハイ、とか、分かりません、とかしか言わない。普段もじっとして動かないことが多い。病気なのかちょっと心配だ。

僕が見たかったのは、お父さんの田舎だという黒島の写真だ。
お父さんと星見ちゃんのおじさんは同じ「島育ち」なので話が合うと言っていた。お父さんは北海道の焼尻島ではなくて、沖縄の島だ。僕は赤ちゃんの時一回行っただけで、どんなところかまだ知らない。

何枚か見ていくうちに可能性は確信に変わっていった。

「やっぱりそうだ!」     つづく

写真はネットからお借りしましたhttp://www.kuroshima.net/
コメント (3)
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