僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

Fanky Jog

2014年02月18日 | SF小説ハートマン

頭の中を空にして一人ハートマンは走っている。
トレーニング専用に作られたジョギングチューブの中をひたすら走る。

速度はいつもの70%にセットした。
今日は少し長く走ろうと思ったからだ。


チューブはゴーグルをつけなくても360度の方向に好きな映像を描き出す
もちろん。これが「映像」と呼ぶにふさわしいかどうかは別の問題だが…

テンキーをいくつかたたくだけでどこでも走れると言うわけだ。

100年前のニューヨーク、朝霧に濡れたセントラルパーク
火星のコローニーによくある赤褐色のガイドアベニュー
エリジウムステーションの長い上り坂のような外周
馬が走る抜けるモンゴルの草原

今は、ラウンドサイトを地球№126にセットした。一番好きなサイトだ。 
これでジョギングチューブの左側がセイシャルブルーの海岸、右側がブリリアントグリーンの熱帯樹林になる。

アロマフレグランスの効果は人間の五感を完璧に欺く。
背後に並ぶコントロールパネルさえ見なければ、そこがバーチャルスペースだとは誰にもわからないだろう。

不可視光線オプションは限界ぎりぎりまで上げておいた。
フレッシュアップしたばかりの皮膚をチリチリと焼く紫外線も悪くない。


ミュージックチャンネルは女性ソウルににセットしたままだ。
いつも大好きなダイアナ・ロスのファンキィでグルービーな歌声から始まる。

しかし今日は足が重い気がする。
いつものように体がリズムを刻まないのだ。


ハートマンの心がまだ回復しきっていないせいかも知れない















※画像はあまりにきれいなのでつい黙ってお借りしてしまいました
 著作権の問題がある場合は速やかに削除いたします










コメント
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