僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

GUN

2014年02月25日 | SF小説ハートマン




チタン合金製のスライドがゆっくりと後退する。
ファイアリングハンマーが起こされ、ダブルカアラムマガジンに一発だけ収まっていた32㎜の金属筒がチェンバーに押し出される。

トリガーに掛かった人差し指が、押しつぶすように静かに引かれた。

トリガーの圧力がしだいに高まり頂点に達すると、大きな爆発音とともに開放された。
瞬時に激しくブローバックしたスライドがリコイルバッファに激突し、チェンバーから焼けただれ白煙を引く金属筒を2mほど弾き飛ばした。


大きく目を見開いたコーラスガールのFA(ファウンデーションアート)が赤く染まっていく。
ペプシマンの腕に全体重を預け、コーラスガールは事切れた。


呆然と立ちすくむ少年に駆け寄り、両手で堅く握られた銃を慎重に引き離す。


旧式の武器だ。火薬による金属弾の発射装置。
バレルには5条のライフリングが施され、GLOCK 32Ti-P AUSTRIA の刻印が読みとれるが、シリアルNOは意図的に削り取られている。
ハンデイウエポンがビーム式に変わる直前に使用されていたオートピストルの最終モデルだ。


なぜこんな物が。


ピストルは博物館で保存されている物もあるかも知れない。だが、発射可能な45ACP実包があったなんて…
ハートマンはまだ温かい薬莢を手に思考をめぐらせた。

トリガーを引くにはかなりの力が必要なはずだ。こんな少年がどうして、何のために。
少年のうつろな目は彼が何者かのマインドコントロール下にあることを示している。


ステップの謎は残されたままだ。















コメント
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