暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

長屋門公園・正午の茶事(3)

2009年09月02日 | 茶事
後座の床は太郎冠者(有楽椿)と雪柳を
竹の花入に活けました。
古木の梅が描かれた二双の屏風を広げ、梅観のしつらえです。
水指は砥部焼(愛媛県松山市)の手付き白磁。  

静寂の中、濃茶をひたすら心をこめて練りました。
稽古ではとても使いやすかった茶杓が茶入れにすっと置けません。
緊張していたのでしょうね・・・。

濃茶は伊藤園の「万暦の昔」です。
「まろやかでおいしかった」と言われ、安堵しました。

茶碗は長次郎「喝喰」写しの黒楽と渡辺陶生作の赤楽茶碗。
茶入は二十数年前に始めて購入した古瀬戸の肩衝「初心」です。
茶杓は銘「颯々」、特別に仙台から「お道具参加」してくださった
インターネットのお仲間、Mさまの作です。

Mさまは三回の危篤をくぐり抜けた大病のあとに、
ウツになり、5年間そして今も闘っています。
治療のために自らいろいろな再生作業にとりくみ、
その中で茶杓、干菓子盆などが次々と製作されていきました。

「颯々」は、四国の遍路みちで聴いた自然のサウンド、
風、波、雨の音、そして歩くたびに響く金剛杖の鈴の音・・・
そんな音を思い出しながら、茶杓「颯々」のことをお話しました。

一瞬、今も遍路みちを歩き続けている自分の姿が
鈴の音とともに頭の中をよぎって行きました。

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  吾が庭に一つ咲きたる太郎冠者 
        長屋門茶事待ちわびたごと

  障子越し子供らの声聞きながら 
        茶杓持つ手にぬくもりのあり