暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

東大寺献茶式 2013-その2

2013年05月10日 | 献茶式&茶会  京都編
献茶式が終えて、副席の待合へ戻ると、
Aさん(お名前を伺わなかったのが悔やまれます)が待っていてくださって、
「思いがけず一席先に入らせてもらいましたので、
 次席に入れるようにお待ちしていました」
「おかげさまで献茶式に参列することができました。
 お世話になり、ありがとうございました!」
ただ、感謝感謝・・・のOさんと私でした。

            
               (大仏殿から中門を見る)

大仏殿西側集会所の副席は東京の染山宗江先生が席主を務められ、
Oさんの知り合いでもあるので、とても楽しみにしていたのです。
ところが席も終わり近くに献茶式から戻られたのですが、
先生がいらっしゃらなくっても粛々と茶会は進められました。
本床は、良子皇太后御染筆「藤花童子之絵」
脇床は、一如斎玄室筆「兜ノ絵」で、風薫る5月らしい掛物です。
この二つの絵を掛けられた席主の物語をぜひ拝聴したかった・・と残念です。

涼やかな風炉先が一目で気に入りました。
会記を拝見すると、お家元好「亀甲簾 遠山」とあり、武右衛門造です。
糸目肩衝切合釜に鬼面唐銅の風炉、
水指は黒真塗手桶、宗旦直書在判。
薄器は黒大棗(宗旦在判)、茶碗は雲堂手・・・箱書の道具が続きますが、
格調高い中にも優しさを感じる副席の設えでした。
「若草山」という彩りが美しい菓子(亀屋万年堂)と薄茶を美味しく頂きました。

ちょうど昼を過ぎたので、本坊の点心席でお腹を満たし、
真言院境内勘学院の東大寺席へ回りました。

             

             

勧学院の席はいろいろ印象に残っています。
正客は法華寺ご住職、次客は江戸千家宗匠、三客もお坊さま・・・という、
学問所・勧学院にふさわしい雰囲気で始まりました。
席主は元東大寺管長の上野道善師、お話がとても面白く迫力を感じます。
床の掛軸は「孔子云仁者寿」、
見事な牡丹がいけられ、つるべ花入は東大寺古材、香合は「大仏」、
そしてインパクトのある古材そのものの花台が垂涎の一品でした。

             

掛軸「孔子云仁者寿」の読みについてワイワイ沸騰していると、
お隣の金沢からいらしたという男性が
孔子いわく仁者はいのちながし・・・と教えてくださいました。
さらに「慈雲尊者華」と続くらしいです。
その後も、皆具(九谷)、主茶碗「墨染」の作者・吉村観阿氏のこと、
大樋焼、茶碗高台のみどころ、お勧めの茶会など、お話ししてくださり、
周りの皆さまとも親しくなって楽しいお席でした。

             
              淡交会奈良支部青年部の立礼席(施茶釜)

東大寺席に満足して大仏殿東回廊に設けられた施茶釜へ行きました。
席主は淡交会奈良支部青年部です。

GWの最中なので広い大仏殿の周りには人が溢れています。
誰にでも菓子と薄茶が振舞われる施茶釜なので、
ふだんお茶とご縁のない人もたくさん詰めかけたのではないでしょうか。
お茶を嬉しそうに飲んでいる老若男女の笑顔、特に子供たちの笑顔に
お茶の明るい未来を感じたのは私だけでしょうか。
施茶釜・・・お茶の原点かもしれない「施茶」に心がゆれ動いた最終席でした。

             

             


第三十二回華厳茶会を珍しく完全制覇(?)できて嬉しいです。
いろいろなお出会いに感謝いたします。
合掌!
                          

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