(つづき)
穏やかな音色で銅鑼が5つ打たれました。
後入すると、床に白玉椿が白磁の壷に生けられていました。
李朝の台でしょうか? ぴったりとお似合いです。
席について再び正面の床を見ると、白玉椿のあまりの見事さに感動し・・・「魯山人みたい・・・」
茶入が品川棚の天板に莊られています。釜の湯相もよろしいようで濃茶が待ち遠しいです。
濃茶点前が始まりました。
小堀遠州流の茶事は3回目ですが、袱紗のさばき方、茶巾の畳み方(千鳥茶巾)、茶筅の向き、茶入や茶杓の清め方、茶碗の拭き方などを頭に焼き付けるように拝見しました。
武家茶道らしく堂々とした佇まいの中にも修練されたお点前で、さすがRさまです。
白磁の大ぶりな茶碗に濃茶が掬い出され、湯が入ります。
丁寧に練られたアツアツの濃茶は薫り高く、濃さもほどよく美味しゅうございました。
濃茶を頂くと、茶巾で清め、戻さずに少し進めて次客へ手渡しました。(裏千家は同じ場所で飲み清めますが、少しずつ飲み口をずらして頂きます)
三角に折られた出し袱紗を使って、小堀遠州流の仕方で茶碗を乗せ、清めた後、そのまま次客のKTさまへ手渡しました。
白磁の茶碗は李朝時代の祭器だとか、呉器茶碗に似て、おおらかで存在感がありました。
私も高麗や李朝のものが大好きで、3年前に訪れた韓国・慶尚南道の古窯跡を巡る旅を思い出しました。
茶銘は「天王山」、宇治の山政小山園詰、初めて頂いた濃茶です。
茶入は遠州お好みの丹波焼「生野」写、仕覆は渋い玉虫色の荒磯緞子でした。
茶杓は銘「破沙盆」、わかったようでわかりにくい禅語です・・・う~ん?
濃茶が終わり、再度、待合へ中立をしました。
本来なら鎖の間へ動座して薄茶を・・・ということらしいですが、茶室が1つなので・・・。
再び席入りすると、魔法をかけたように短い時間で別室の鎖の間になっていました。
三度・・・鎖の間の床にて
床には再びお軸が掛けられていました。
壽山 青く老いず・・・茶を寿ぐ山はいつまでも青々として若く、老いることを知らない・・・ご亭主の心意気を感じます。
花や花入、そして花台も変わっていて、前と違う雰囲気でステキ!でした。
さらに点前座には香炉卓のような優美な棚に遠州好みの高取水指が置かれ、風炉先屏風も前と変わっていました。
さらにさらに炉縁が真塗から木の炉縁に変わり、もうびっくりでした。
手品か魔法みたいで、そのご趣向にワクワクし、Rさまの茶事を堪能しました。
やっと興奮が収まると、ご亭主が茶碗3つを重茶碗をで持ち出して、薄茶点前が始まりました。
選んでくださった茶碗のお話も楽しく、雲鶴の茶碗でお代わりまで頂戴しました。
薄茶席に懐石を手伝ってくださったYさまとKTさまが入られて、急ににぎやかになり、楽しくお話が付きません・・・。
最後に、書院に莊られている文具や珍しい燭台のことを嬉しそうにお話してくださいました。
居心地がよく、いつまでもRさまのお話に耳を傾けていたかったのですが、早や、お別れの時間になりました。
Rさま、奥さま、Yさま、KTさまの暖かなおもてなしが忘れられず、時々反芻して茶事の余韻を楽しんでいます・・・
ありがとうございました!!
和楽庵の茶事に招かれて・・・(1)へ戻る