(紅梅と竹林が早春の息吹を感じる里山・・・散歩道にて)
新規感染者数がだいぶ減少してきて、あと一っ歩!でしょうか。
緊急事態宣言の解除をじっと待っていますが、待ちきれずに今週から希望者だけお稽古を始めました。
4月以降に茶事や茶会の予定が待っているからです。
1月初め、今にも緊急事態宣言が発令されそうな時、初釜を中止する決断をぐずぐず迷っていました。理由の一つに、中止するとお茶の神さまから「お前のお茶の覚悟はその程度のものだったのか・・・」とお叱りを受けるような気がしたのです。
前にも書きましたが、7日の東京都の感染者数が2447人と報道され、たった1日で患者数が1000人も増加したことにもうびっくり! すぐに中止を決断し、初釜中止のメールをしました。
・・・そして、社中の生徒さんから次のようなメールが届きました。
「先生に不躾なお尋ねですが、
お茶で一番大事なことはなんでしょうか?
ふと、頭をよぎりましたので・・・。」
緊急事態宣言を前にして、私からなかなか初釜中止の連絡が来ない時に、ふとそのような疑問が起こったようです。
そのメールの問いかけは私にとって、とても重く、されどとても嬉しいものでした。
今までも何度も自らに問いかけてきました。
「お茶にとって大事なこととは?」
「お茶事にとって大事なこととは?」
「あなたにとって大事なこととは?」
そのたびに答えが違いましたが、真剣に考えることが一番良かった・・・と今しみじみ思います。
(「白珪尚可磨」のお軸 太玄師の御筆)
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質問を受けた時すぐに、20年も昔のこと、7年近く中断していたお茶を再開し、東京で茶事を習い始めた頃の自分を思い出しました。
「先生、茶事とは・・・茶事とは何でしょうか?」
今思うと、怖いもの知らずの質問でした。
茶事の先生は一瞬驚いた様子でしたが、その答えを探すようにしばらく考えていらっしゃいました。そして
「「私から茶事とは何・・・」ということはとても申せません。答えようがないのです」
とても誠実で正直な先生だと思い、感謝しながら
「先生、考えてくださって本当にありがとうございました!」
(「私もその答えを求めながら、これから茶事をやっていきます」・・・と心の中で誓っていたような・・・)
茶事とは? 茶とは? 答えがあるようで、答えがない。
答えは人によって違うだろうし、その答えも時と場合によって変化するだろう。
・・・だから、お茶もお茶事も奥深く、面白く、いつまでも一生懸命に真剣に追いかけているのかもしれない。
(久しぶりに茶通箱のお稽古中です)
改めて、今おもうことは
お茶で一番大事なことは
「お茶に対峙する人の心持にあると思う」
対峙する人は自分一人のこともあるし、一人ではないこと(時)もある。
お茶のまさにその場で、一人一人がどんなことを考え、感じ、自分の中に取り込んでいくか
・・・それは千差万別である。
その違いも含めて対峙する心がその時の「お茶で一番大事なこと」に通じていると思うのです。
そして、まさにその時に出逢えた人とのご縁、これも「お茶で大事なこと」だと思うし、そのご縁を育て合っていくことも「お茶で大事なこと」だと思う。
答えになるかどうかわかりませんが(そもそも正解がないので・・・)、そんなことを考えました。
(コロナ禍ですが、一生懸命にお茶に取り組んでいます・・・)
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後日、質問者の生徒さんが我が家へいらした時に、上記のようなことをお話ししました。
生徒さんは頷きながら聞いてくださって、私から同じ質問がメールで返って来たので、一生懸命考えたそうです。
お聞きすると、私の答えと似ていましたが、
「先生から質問が返されて、あれこれ一生懸命考えることが良かったし、そのことが今は大事なことだと思います」
( ヨカッタ!・・・ )