暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

「野月の飯後の茶事」・・・その2

2021年10月16日 | 社中の茶事(2018年~)

               (初座の床)

(つづき)

飯後の茶事なので、日の入りの時間を見て、席入り時間を15時としました。

14時40分頃にお客さまがいらっしゃいました。板木が打たれ、半東HM氏が汲出しを運びます。

その日は冷房を入れるくらい暑かったので、冷たい梅ジュースを炭酸で割ってお出ししました。

待合には短冊「掬水月在手」(水を掬すれば月手に在り)、御筆は雪峯師、最初の月でしょうか。

 

 

亭主が迎え付けに出ている間に半東が濡れ釜をかけました。

初座の床は夕去り風に花を生けました。まだ明るいうちに花をお楽しみいただきたいのと、花だけでなく矢筈ススキと達磨萩を置き、武蔵野の野に茶席を設えてみました。

どんな花にするのか、我が家にもいくつか花が咲いていたのですが、敢えてご亭主に用意していただきました。

茶事の数日前から野山を歩いてススキや花を探したり、花屋さんも覗いていたようです。

「先生・・前日に目を付けていた数種のホトトギスが全部売り切れていて、8軒花屋さんをまわりましたが見つかりませんでした。ススキや野の花も良いものがなくって・・・リンドウ、鉄線、利休草、孔雀草を買ってきました」

8軒も花屋さんをまわったというAYさんの熱意に感動し、そのエネルギーが羨ましくもあり、私も新鮮な刺激を頂戴し、しっかりサポートしなくては・・・と改めて思ったことでした。

花入は簗(やな)篭、花はN氏から贈られた山のリンドウ、孔雀草、鉄線です。

 

ご挨拶が和やかに交わされ、初炭が始まったようです。

釜は長野新造の桐文車軸釜です。風炉中拝見の折に炭の置き具合や優雅な桐文の釜をゆっくりご覧いただいたようです。

香合は琵琶香合、琵琶の演奏を楽しみながら野月をみていただくという趣向のようで、香は沈香です。

次は点心です。少し遅い時間なので点心、吸物、八寸を用意しました。三客にお入りの小梶由香さんが腕をふるってくださった点心を暁庵も水屋でお相伴しました。彩りよく、味よく、量も丁度好く、お酒も一献だけ頂き、美味しかったです。酒はご亭主の故郷の産で蓬莱泉「空(くう)」(愛知県設楽町 関谷醸造)です。

 

点心の後に主菓子が出されました。

秋色の上品な彩りの手毬のような菓子です。銘は「秋日和」、鎌倉の創作菓子の「手毬」製でした。

菓子で中立となりました。

 

「野月の飯後の茶事」の献立と次第を記録しておきます。

 

「野月の飯後の茶事」の献立 (小梶由香)

 向付

  栗ごはん 鳥の丸 紅葉人参 銀杏 満月丸十 胡麻生麩照焼き

  菊菜と菊花のおひたし

 吸物   蕪 占地 軸三つ葉

 八寸   落鮎一夜干し  茗荷甘酢漬

 酒    蓬莱泉「空」 (関谷醸造、愛知県北設楽郡設楽町)

 

「野月の飯後の茶事」の次第 (約3時間、時間は目安です)

 待合(板木)- 席入 - 挨拶 ー 初炭 ー  点心・一献 ー 菓子 ー  中立(15分) 

14:50   15:00     15:20  15:40   16:20  16:30 

-(喚鐘)後入り ー 濃茶 -- 薄茶 ー  挨拶・見送り

  16:45   16:50  17:30  18:00

 

     「野月の飯後の茶事」・・・その3へつづく   その4へ   その1へ