ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

東京モーターショー2019のトヨタ展示会場では、未来移動社会をイメージしたコンセプト車を公開しています

2019年10月25日 | イノベーション
 2019年10月24日から東京モーターショー2019が東京都江東区有明の東京ビッグサイト(国際展示場)などで始まりました。

 今回は、会場が東京ビッグサイトと青海展示棟の2カ所に分かれて開催されています。青海展示棟部分では、体験乗車できるコースを設けたために、2カ所に分かれたようです。

 その青海展示棟に設けられたトヨタ自動車の展示会場では、未来の移動社会をイメージしたコンセプト車を公開しています。

 未来の移動社会では、日ごろの移動手段としては、無人運転車になるとアピールしています。自動運転電気自動車(EV)の「イーパレット」は無人運転車ですが、移動店舗にも使えるという仕様です。

 イーパレットの小型版「マイクロパレット」は、病院に向かう途中の車内で医者から問診を受けることを前提としていて、移動中に問診を済ませのために、病院に着いた瞬間から診察が始まるという仕様です・





 1人乗りの自動運転車などでは、自分の好みに合わせて仕様をつくり込んだ内装を想定し、移動中に、それを利用します。

 トヨタ自動車の豊田章男社長は「人を中心とした未来のモビリティー社会を体験してほしい」と説明しています。



 豊田社長は「今回のトヨタブースには来年発売される車はひとつもない。未来の社会とまちで移動サービスを提供するモビリティーばかり置いている」と説明しました。

 このトヨタブースにはスポーツコンセプトEV車「イーレーサー」(e-RACER)も展示されています。









 未来のモビリティー社会が自分で運転しない無人運転車になると、逆にプライベートな時間では、自分で運転するスポーツカーがほしくなり、所有すると説明しています。

 以前にテレビコマーシャルで豊田社長は「馬車などに使うウマはいなくなったが、競走馬は残った」と語り、個人がスポーツ目的で乗る個人用カーは生き残ると説明しています。

 トヨタ自動車の展示会場では、未来の移動社会をイメージしたコンセプト車だけですが、もちろんトヨタ自動車系のレスサスの展示会場では、発売予定の電気自動車を展示しています。

 レスサスの展示会場では電気自動車のコンセプトカー「LF-30 Electrified」を公開しています。





 この電気自動車では、各ホイールにモーターを配置した“インホイールモーター”方式を採用しています。4つのホイール・タイヤが一つひとつ独立して動き、自由に駆動力を制御ことができるという仕様です。“インホイールモーター”方式はコンセプトカーでは実際に使われていますが、市販車では初めての採用です。

 この電気自動車「LF-30 Electrified」は市販される予定です。

日本経済新聞紙の中面に掲載された「市場が暴く技術大国の陰」という解説記事を拝読しました

2019年10月25日 | 日記
 2019年10月22日に発行された日本経済新聞紙の中面に掲載された「市場が暴く技術大国の陰」という解説記事が気になりました。

 この解説記事は「Opinion」の中の「Deep Insight」という記事です。紙面の半分程度を占る長い解説記事です。

 書き手は梶原誠さんという日本経済新聞紙の本紙コメンテーターです。以前には論説委員などをお務めになられた識者の方です。

 日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞 電子版では見出し「市場が暴く技術大国の陰 割安株を放置していいのか」です。



 このところ「日本の株式市場が回復し、日経平均株価は10月に入って800円近く上昇した」という文章で始まります。

 しかし「(株式)市場関係者の間でささやかれている日本企業への否定的な評価が気に掛かるれる」という文章が続きます。

 それは「技術あって経営なし」ということです。

 この「技術あって」とは、たとえばリチウムイオン2次電池を開発した旭化成の吉野彰名誉フェローがノーベル化学賞を受賞したように、日本人科学者は独創的だと指摘します。

 日本の自然科学系のノーベル賞の受賞者数は、今世紀に入って18人と、米国に次ぐ堂々の世界第二位だと評価しています。(その一方で、米国は約70人と断トツの一位で、大きく差をつけています)

 さらに「技術の層の厚さが産業の競争力をいかに支えるかは、自然科学系のノーベル賞の受賞者がまだいない韓国の反応を見ればわかる」と指摘しています。

 リチウムイオン2次電池は、韓国の産業の成長株となる産業だが「核心の部材の多くは日本製であり、日本の技術なしでは生産がおぼつかない」と、韓国の新聞紙の朝鮮日報が書いてると紹介しています。

 このことは「韓国の半導体産業が日本製の先端部品に頼るもろさを認識したばかりだ」と、解説しています。

 その一方で、日本の市場関係者(日本株の保有者)が「経営なし」との疑いを持つ理由は、たとえば「株価純資産倍率(PBR)」が低いことに不安をいだいていると指摘しています。この「株価純資産倍率(PBR)」は株が資本金などの純資産よりどれだけ高く買われているかを示す指標です。

 日本企業の場合は、9月末時点でPBRは1倍を下回っています。投資家は期待どころか、今の企業の価値は減ると読んでいることになります。

 日本企業の多くは技術があるのに、「株安を放置し、企業買収の標的になりそうな企業は、株価を割高に持って行き、自らを守るのが上場企業のあるべき姿だ」と指摘しています。

 日本企業の中でお手本になる企業の1社は村田製作所だと述べています。世界シェア40パーセントを誇る積層セラミックコンデンサー(MLCC)無しでは、米国アップル社のiPhoneは生産できないと解説しています。

 さて、この解説には、いくらか反論したい部分もあります。まず「自然科学系のノーベル賞の受賞者数は、今世紀に入って18人と、米国に次ぐ堂々の世界第二位だ」とのご指摘は、1990年代から2000年ごろまでの研究成果のおかげです。

 最近は、自然科学系のトップ10%論文という優れた評価の論文に入る日本の科学研究者が書いた論文が伸びていません(増えていません)。米国、ドイツ、英国、中国の科学研究者の10%論文での伸びに比べて、日本の論文は伸びていません。

 世界中の科学研究者が自分の研究成果の元になった、あるいは参考になった科学論文として日本の科学研究者が書いた論文を引用・参考にしていません。

 この結果、日本の科学研究を支えている研究開発費を出している公的な官庁・機関からは「いずれ日本は自然科学系のノーベル賞の受賞者が大幅に減る」とみている方が増えています。本気で心配しています。

 この理屈でいうと「技術の層の厚さが産業の競争力を支える」点でも、将来は企業の事業に不安が広がります。現在でも、半導体や液晶などの分野では、韓国、台湾、中国にほとんどの市場を支配されています。かっての(2000年ごろの)電子立国日本ではなくなっています。家電製品も、日本企業の家電事業部門は中国などに売却しています。

 そして、リチウムイオン2次電池のプロトタイプを研究開発した旭化成は、リチウムイオン2次電池の事業化には失敗しています。

 その一方で、旭化成の吉野彰名誉フェローたちは、正極と負極の電界液のを隔離するセパレータ(厚さ20~30ミクロンのポリエチレン系微多孔膜)を事業化し、これを販売しています。まさに、部品・部材事業では成功しています。

 この事例は、なかなか意味が深いものです。

 日本では、リチウムイオン2次電池の製品化・事業化はソニーが成功しました。しかし、最近はソニーはリチウムイオン2次電池の事業を手がけていた子会社を、村田製作所に売却しています。村田製作所は、2017年9月にソニーから約175億円で同事業を買収しています。

 これは、なかなか微妙な事業の売買事例です。村田製作所の電子部品の拡充にとって、何を意味するのかなどは、さらなる解明が必要です。