ストーリーとしての競争戦略 (Hitotsubashi Business Review Books) | |
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東洋経済新報社 |
第二章:競争戦略の基本論理
「競争戦略」をあっさりいてしまえば、「どうやって儲けるのか」という話
→競争がある中で、いかにして他社よりも優れた収益を持続的に達成するのか、その基本的な手だてを示す者が競争戦略 101㌻
◯競争戦略の第一の本質は「他社との違いをつくること」
「競争がある中で、いかにして他社よりも優れた収益を達成し、それを継続させるか、その基本的な手だてを示すものが競争戦略です」と先程述べましたが、「競争がある中で」というところをわざわざ強調したのにはわけがあります。競争というのは、要するに「放っておいたらもうけが出ない状態」のことを意味しています。109㌻
戦略とはある意味では、「北極の住人」の発想です。「最後は何とかなる、、、」ではなく、むしろ「放っておいたら絶対に何ともならない」というのが戦略的な思考です。108㌻
戦略には異なる2つのレベルがある
ひとつは競争戦略と全社戦略。
競争戦略は特定の業界、つまり競争の土俵が決まっていて、ある企業の特定の事業がその競争の土俵で他社とどのように向き合うかに関わる戦略。競争戦略は事業戦略ともいいます。67㌻全社戦略は事業が複数ある場合の事業ポートフォリオをどうするかを考えること。本書は競争戦略について。
企業の利益の源泉:
利益の第一の源泉は業界の競争構造
もう一つは戦略の必要性。
▶第一の利益の源泉である業界の競争構造がそれほど魅力的でなくても、第二の利益の源泉である戦略で勝負できれば、持続的な利益を獲得しうる。
cf.航空業界に置けるサウスウエスト、コーヒー業界におけるスターバックス→最近のセブンイレブンのコーヒーもそうだろう。
●戦略の違い
*どちらかが他方よりも優れているとか、正しいとかではなく、一般的には組み合わせであるのが普通。
創業間もない企業は、SP:(Strategic Positioning)よりになる傾向がある。
◉シェフのレシピに注目するのがポジショニング(SP:Strategic Positioning)の戦略論。厨房の中身に注目するのは組織能力(OC:OrganizationalCapability)に注目した戦略で、これをOC戦略と言います。113㌻
:戦略とはdoing differentであり、doing things betterではない。
▶ポーターの戦略論は、「競争があるという前提で競争に勝つ、というよりも、正面から競争をしなくても済むような位置取りを見つけようと言う考え方」121㌻
▶SPの戦略とは活動(activity)の選択、つまり「何をやり、何をやらないか」を決めること
SP(Strategic Positioning)の代表例としては、
□松井証券のネットサービス特化
:松井証券の急成長は証券業界の中で他社と違うことをしたから。従来の証券会社の営業から手を引き、インターネットの株式取引の仲介に特化した。ターゲットは法人顧客やたまに取引をする個人投資家ではなく、頻繁に株の売買を繰り返す、知識がかなり豊かな個人投資家に特化したから。
□デルもSP戦略をうまくとっている
デルといえばダイレクトモデルが有名だが、コスト競争力、受注生産、直接販売と行った要素から構成されている。より正確にいうと「最先端の技術を追いかけず、コモディティになった製品分野にしか手を出さないというもの。
▶OC(Organizational Capability)=組織能力に注目した戦略の代表例
競争に勝つためには独自の強みを持ちましょうという考え。経営資源の中で他社が簡単に真似できず、真似しようと思っても大きなコストが掛かり、簡単には変えないもの。簡単に真似できない者としては見えざる資産=組織に定着しているルーティン。あっさりいえばものごとのやり方。リクルートもこのたぐいなのだろう。
例といしては、
□セブンイレブンの仮説検証型発注
□トヨタのものづくりのノウハウ
→OC(Organizational Capability)=組織能力に着目した戦略は、意思決定の時点ですぐに手に入るような経営資源は、競争相手に対して本当に効果があるパンチになりえない、だからじっくりと時間をかけても独自の組織ルーティンに落とし込み、それを練り上げていかなければならない、という考えで、時間的な広がりがある。141㌻