○ 新規事業を始めるときに推進部局が事業計画書を作成して、取締役会等で審議しますね。事業計画書は、いつも右肩上がりで事業が順調に成長するモデルです。事業を行った人なら誰でも分かりますが、こんなものはただの数字遊びで、その通りになることはありえません。具体的な販売数量・単価・地域等、新規事業の詳細な人員計画も無しに数字の独り歩きで、担当部門は如何に魅力的な事業であるか、利益を確保できる事業かを説明します。数字に落とすと、売上が上がるぞ、利益も出るぞという錯覚に陥る人も居ます。そうなる気になるのですね。
○ 最近は、ガバナンスをきちんとする為に社外取締役を入れろという動きになっています。事業を知らない学者・弁護士・公認会計士等が社外取締役に選任されます。こういった人たちは、その道では能力もあり優秀な人たちなのでしょうが、共通する致命的欠陥があります。即ち①自分で事業を創造して育てたことが無い、②数字を見て、この計画は楽観的なのではないかと意見を述べるわけですね。私に言わせればナンセンスですね。
○ では、事業計画書で何を見るかです。一言で言えば、事業計画の前提条件と定性的な分析がどれだけキチンとされているかを見るのですね。工場操業の人員計画、その賃金、賃金上昇率(新興国では、毎年10%とか20%の上昇は当たりまえ)、物流コストは適正か、税金はどうなっているのか、組織図・組織構造はどういった考え方をしているか等。設備投資の金額は、業者からの見積もりがベースとなります。運転資金はキチンと見込まれているか、従業員のトレーニングコスト等も織り込んでいるか、減価償却は現地のGAAPに沿っているか、建設会社はどこか(日系ならまだしも、現地建設会社の場合は、必ずエンジニアリング会社を入れないと手抜き工事をされます)、資金は十分か、資本金の金額、借り入れを行うときの親子ローン及びその金利率(現地通貨建てですから10%とかも良くあります)。
こういった事項を見るのが重要ですが、一番重要なことは、誰が行うか、その経験・力量・経営力はあるかですね。結局数字にとらわれることなく、人を見るということでしょうか。
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